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第一部
第22話 ダメな大人がいます
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タイガ君の事は気になるけど、まずは依頼の話を終わらせないといけないね。
値段交渉の前に、レシピの話になった。
まずは、どのような材料が必要なのか、作成の手順などを聞いた上で価値を決めたいとのことだった。
私は、筆頭錬金術師のロジエルさんに必要材料と、手順を話そうとしたが、私の作り方は錬金窯さんありきなので、このまま話していいか迷ってしまった。
「ロジエルさん、お話の前に少し待ってもらえますか?」
そう言って、ロジエルさんの許可をもらってから、駆君とタイガ君に相談した。
「錬金窯さんのこと、どう話したらいいかしら?」
「この際だから、そのまま話して何かあった時の後ろ盾になってもらえばいいさ」
「僕もそう思います。ただ、他言無用。ここにいる者以外には、絶対に話さないと約束してもらった方がいいと思います。城側も、レシピは資料として必要ということですし、専売も認めているくらいだから、小春さん以外が作れなくても問題ないと思いますしね」
後ろ盾か、確かに無いよりはあったほうがいいよね。そう思い、改めてレシピと作成過程について話したのだ。
すると、ロジエルさんは困惑した表情で言ったのだ。
「……。えっと、今までそのような方法を聞いたことがないのですが?」
「私も、錬金術を教えてくれた人たちから、この方法で出来ると言った話は聞きませんでしたね。やってみると意外と出来てしまうものですよ」
「確かに、試したことはないが……。その、使っている窯は誰が作成したものですか?」
「借りている物件なので、ギルドで確認出来ると思いますよ」
そう言って、同席していたギルドマスターを見た。
「おいおい、うちで管理している物件で特殊なものなんて聞いたことないぞ。一応確認してくるから待ってろ」
ギルドマスターはそう言って会議室を出て行った。数分ほどで会議室に戻ってきたが、手元の紙を見ながら特殊な作りではないと説明した。
「管理している物件の資料を確認したが、他の工房でも置いている普通の錬金窯だそうだ。因みに、ギルドにある窯と同じ作りだ」
そう言って首を傾げた。すると、ロジエルさんがギルドにある窯で試しに何か作ってみて欲しいと言ってきたのだ。
試してみてもいいけど、うちの錬金窯さんじゃないと意味ないと思うと思ったが、熱心にお願いされてしまったので、「ちょっと試すだけだしね、失敗してもいいか」と考えて、作ることに承諾した。
ギルドの錬金窯のある工房スペースに移動してから、ギルドから借りた材料で作ろうとしたけど、全然材料が足りなかった。なので、一旦工房に戻って【幸福のワイン】の材料を取ってきて、ギルドで作ることにした。
錬金窯さんじゃないから、材料を無駄にすると考えつつも、そこまで希少な材料でもないので良いだろうと思い直した。
「それじゃぁ、持ってきた材料をお借りした錬金窯にいれます。一応、うちの錬金窯さんにもしていることなので、こちらでもしますが、『どうかうまくいきますように』と、一応成功を祈願します。それで終りです。はい。何も起こらないですね。うちの錬金窯さんがすごいだけと証明できましたよ」
そう言って、諦めてもらおうとした。錬金窯では、何か作成されている反応はあり、今頃、謎のダークマターが作成されているのであろうとも、途中で開けることは出来ないので謎の物体が出来あがるのを待つことになった。
数分ほどで『ポンッ』といつもの音がしたので、出来あがったものを見てみる。
「……」
あれ?おかしい、出来てるわ。
「なんか、上手くいったみたいです……。飲んでみます?」
そういって、出来あがった液体を借りたコップに注いで差し出した。
「飲んでみたいが、今は執務中……。いや、試飲も執務のうちですね。頂きましょう」
宰相さん、最初断るのかと思いきや、逆に仕事を理由に飲むんだね。飲みたかったんだね。いいんですけど……。
「美味!!これが、【幸福のワイン】なのですね」
「ギルドに数本渡したのですが、飲まなかったのですか?」
そう、あの日作ったワインボトルすべてにワインを注いで持ってきていたのだ。
一本で良いかと思いきや、数本持っていると知ったギルドマスターは全部置いて行けと、まさに山賊が追いはぎをするかの如く迫ったのだ。
鬼気迫るものを感じた私は、すべて置いてきたという訳です。
それを聞いた宰相さんは、笑っているけど全然笑っていない顔でギルドマスターを見た。正直怖いです。
「おや、少量しかなかったから、ギルドで試飲をしたら無くなってしまったと、言っていませんでしたか?」
「ソウダッタカナ?」
あっ、お城には話だけして実物は渡していなかったんだ。これ、大丈夫なの?
あれれ~?おかしいぞ~?といった様子で宰相さんはさらに笑顔を強めてギルドマスターを見た。
「試飲でなくなったのは本当だ!!ただ、美味しすぎて全部飲んでしまっただけだ!!」
ダメな大人がいます。ギルドマスターは開き直ってそう叫んだのだった。
値段交渉の前に、レシピの話になった。
まずは、どのような材料が必要なのか、作成の手順などを聞いた上で価値を決めたいとのことだった。
私は、筆頭錬金術師のロジエルさんに必要材料と、手順を話そうとしたが、私の作り方は錬金窯さんありきなので、このまま話していいか迷ってしまった。
「ロジエルさん、お話の前に少し待ってもらえますか?」
そう言って、ロジエルさんの許可をもらってから、駆君とタイガ君に相談した。
「錬金窯さんのこと、どう話したらいいかしら?」
「この際だから、そのまま話して何かあった時の後ろ盾になってもらえばいいさ」
「僕もそう思います。ただ、他言無用。ここにいる者以外には、絶対に話さないと約束してもらった方がいいと思います。城側も、レシピは資料として必要ということですし、専売も認めているくらいだから、小春さん以外が作れなくても問題ないと思いますしね」
後ろ盾か、確かに無いよりはあったほうがいいよね。そう思い、改めてレシピと作成過程について話したのだ。
すると、ロジエルさんは困惑した表情で言ったのだ。
「……。えっと、今までそのような方法を聞いたことがないのですが?」
「私も、錬金術を教えてくれた人たちから、この方法で出来ると言った話は聞きませんでしたね。やってみると意外と出来てしまうものですよ」
「確かに、試したことはないが……。その、使っている窯は誰が作成したものですか?」
「借りている物件なので、ギルドで確認出来ると思いますよ」
そう言って、同席していたギルドマスターを見た。
「おいおい、うちで管理している物件で特殊なものなんて聞いたことないぞ。一応確認してくるから待ってろ」
ギルドマスターはそう言って会議室を出て行った。数分ほどで会議室に戻ってきたが、手元の紙を見ながら特殊な作りではないと説明した。
「管理している物件の資料を確認したが、他の工房でも置いている普通の錬金窯だそうだ。因みに、ギルドにある窯と同じ作りだ」
そう言って首を傾げた。すると、ロジエルさんがギルドにある窯で試しに何か作ってみて欲しいと言ってきたのだ。
試してみてもいいけど、うちの錬金窯さんじゃないと意味ないと思うと思ったが、熱心にお願いされてしまったので、「ちょっと試すだけだしね、失敗してもいいか」と考えて、作ることに承諾した。
ギルドの錬金窯のある工房スペースに移動してから、ギルドから借りた材料で作ろうとしたけど、全然材料が足りなかった。なので、一旦工房に戻って【幸福のワイン】の材料を取ってきて、ギルドで作ることにした。
錬金窯さんじゃないから、材料を無駄にすると考えつつも、そこまで希少な材料でもないので良いだろうと思い直した。
「それじゃぁ、持ってきた材料をお借りした錬金窯にいれます。一応、うちの錬金窯さんにもしていることなので、こちらでもしますが、『どうかうまくいきますように』と、一応成功を祈願します。それで終りです。はい。何も起こらないですね。うちの錬金窯さんがすごいだけと証明できましたよ」
そう言って、諦めてもらおうとした。錬金窯では、何か作成されている反応はあり、今頃、謎のダークマターが作成されているのであろうとも、途中で開けることは出来ないので謎の物体が出来あがるのを待つことになった。
数分ほどで『ポンッ』といつもの音がしたので、出来あがったものを見てみる。
「……」
あれ?おかしい、出来てるわ。
「なんか、上手くいったみたいです……。飲んでみます?」
そういって、出来あがった液体を借りたコップに注いで差し出した。
「飲んでみたいが、今は執務中……。いや、試飲も執務のうちですね。頂きましょう」
宰相さん、最初断るのかと思いきや、逆に仕事を理由に飲むんだね。飲みたかったんだね。いいんですけど……。
「美味!!これが、【幸福のワイン】なのですね」
「ギルドに数本渡したのですが、飲まなかったのですか?」
そう、あの日作ったワインボトルすべてにワインを注いで持ってきていたのだ。
一本で良いかと思いきや、数本持っていると知ったギルドマスターは全部置いて行けと、まさに山賊が追いはぎをするかの如く迫ったのだ。
鬼気迫るものを感じた私は、すべて置いてきたという訳です。
それを聞いた宰相さんは、笑っているけど全然笑っていない顔でギルドマスターを見た。正直怖いです。
「おや、少量しかなかったから、ギルドで試飲をしたら無くなってしまったと、言っていませんでしたか?」
「ソウダッタカナ?」
あっ、お城には話だけして実物は渡していなかったんだ。これ、大丈夫なの?
あれれ~?おかしいぞ~?といった様子で宰相さんはさらに笑顔を強めてギルドマスターを見た。
「試飲でなくなったのは本当だ!!ただ、美味しすぎて全部飲んでしまっただけだ!!」
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