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第二十八話
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突然のラヴィリオ皇子殿下の登場にわたしとジーン様は視線を合わせた後、示し合わせたかのように誤魔化し始めた。
だって、さっきのことを知られたら……。
とても大変なことになるわ。
「何でもないですよ」
「何もないです」
同時にそう言い放つわたしとジーン様。
ラヴィリオ皇子殿下が、ジーン様に鋭い視線を送ったように感じた後、わたしの隣に座った。
そして、じっと何も言わずに見つめられること数十秒。
ベール越しでも感じる視線。
ああ、これは自分から謝った方がいいのかもしれないと、わたしが覚悟を決めたよりも早くラヴィリオ皇子殿下が動いていた。
ぎゅっとわたしを抱きしめたラヴィリオ皇子殿下は、頬を寄せてわたしの耳元に囁く。
「ティアリア……」
低く甘く響く声に何故か背中がぞくりとしてしまう。
ぐっとさらに抱き寄せられたわたしは、ラヴィリオ皇子殿下から香る甘い香りに包まれる。
これは……。
「申し訳ございません……。でも、わたしの体がアレを求めてしまうのを止められなかったのです……」
「そうか……」
「怒りましたよね……。駄目だと言われていたのに……」
「いいや、俺はお前のことが心配なだけだ」
「ラヴィリオ皇子殿下……。なら!」
それなら、アレを今後も口にしてもいいですかと、わたしがそう言おうとしたけど、ラヴィリオ皇子殿下の言葉にそれを言い出すことは出来なかった。
「駄目だ。もし、アレをお前が求めるというのなら、俺のを口にしろ」
「…………」
「はぁ……。どうしてこうなったんだ。声が擦れている。喉をやられているかも知れないから、医者を呼ぶからな。ジーン!」
「はいはい」
強い口調で名前を呼ばれてジーン様は呆れたような声音でそう言うと部屋を出て行ってしまった。
きっと、お医者様を呼びに行ったのだろう。
その後、すぐにお医者様を連れたジーン様が部屋に戻ってきたわ。
そして、お医者様はわたしの口の中を見て、いくつかの飲み薬を用意してくれた。
ラヴィリオ皇子殿下がわたしのことを心配してくれるのは嬉しいわ。
でも……。
でも…………。
「どうしてアレを口にしては駄目なのですか? わたしは、好きでアレを口にしたいのです! ラヴィリオ皇子殿下はいいました。わたしが欲しいものを与えてくれると……。なのに何故ですか?」
わたしがそう言うと、ラヴィリオ皇子殿下はわたしを抱きしめて言うのだ。
「アレは、お前の体に障る。もう少し、体が元気になってからでないと駄目だ」
「わたしは十分元気です」
「そんな訳ない。現に声が枯れている」
「でも……」
「今回は少量だったからそれくらいで済んだが、摂取量が多ければ……」
わたしが初めてアレを口にしたときの出来事をラヴィリオ皇子殿下は思い出していることに気が付いたわたしは恥ずかしさについ大きな声を出してしまっていた。
「もう忘れてください! あれは、初めてでちょっと失敗してしまっただけです! 今は、ちゃんと見極められますから」
「どうだろうな? 現に声が枯れている」
うう~。少しの刺激にも反応してしまうこの弱い体が恨めしい。
「くすんっ……。あれくらいの量でこうなってしまう我が身恨めしいです……。でも、わたしはアレが好きになってしまったんです……。だから、許してください」
「はぁ……。どうしてこうなったんだ。辛い物を食べると体調を崩すというのに、よりによって、辛い食べ物を好きになってしまうとは……。ジーン、本当に恨むからな……」
そう、わたしはあることが切っ掛けで辛い物が好きになってしまっていたの。
でも、体が受け付けないようで、それを口にしすぎてしまうと頭痛や腹痛、喉の痛みという症状が出てしまうのだ。
それでも、アレはとても素晴らしいものだと思うの。
ただ辛いだけではなく、ほんのりとした甘みと複雑に配合された香辛料の奥深い旨味。
アレを知ってしまった今、もう前の何も知らなかった時のわたしには戻れそうになかったわ。
だって、さっきのことを知られたら……。
とても大変なことになるわ。
「何でもないですよ」
「何もないです」
同時にそう言い放つわたしとジーン様。
ラヴィリオ皇子殿下が、ジーン様に鋭い視線を送ったように感じた後、わたしの隣に座った。
そして、じっと何も言わずに見つめられること数十秒。
ベール越しでも感じる視線。
ああ、これは自分から謝った方がいいのかもしれないと、わたしが覚悟を決めたよりも早くラヴィリオ皇子殿下が動いていた。
ぎゅっとわたしを抱きしめたラヴィリオ皇子殿下は、頬を寄せてわたしの耳元に囁く。
「ティアリア……」
低く甘く響く声に何故か背中がぞくりとしてしまう。
ぐっとさらに抱き寄せられたわたしは、ラヴィリオ皇子殿下から香る甘い香りに包まれる。
これは……。
「申し訳ございません……。でも、わたしの体がアレを求めてしまうのを止められなかったのです……」
「そうか……」
「怒りましたよね……。駄目だと言われていたのに……」
「いいや、俺はお前のことが心配なだけだ」
「ラヴィリオ皇子殿下……。なら!」
それなら、アレを今後も口にしてもいいですかと、わたしがそう言おうとしたけど、ラヴィリオ皇子殿下の言葉にそれを言い出すことは出来なかった。
「駄目だ。もし、アレをお前が求めるというのなら、俺のを口にしろ」
「…………」
「はぁ……。どうしてこうなったんだ。声が擦れている。喉をやられているかも知れないから、医者を呼ぶからな。ジーン!」
「はいはい」
強い口調で名前を呼ばれてジーン様は呆れたような声音でそう言うと部屋を出て行ってしまった。
きっと、お医者様を呼びに行ったのだろう。
その後、すぐにお医者様を連れたジーン様が部屋に戻ってきたわ。
そして、お医者様はわたしの口の中を見て、いくつかの飲み薬を用意してくれた。
ラヴィリオ皇子殿下がわたしのことを心配してくれるのは嬉しいわ。
でも……。
でも…………。
「どうしてアレを口にしては駄目なのですか? わたしは、好きでアレを口にしたいのです! ラヴィリオ皇子殿下はいいました。わたしが欲しいものを与えてくれると……。なのに何故ですか?」
わたしがそう言うと、ラヴィリオ皇子殿下はわたしを抱きしめて言うのだ。
「アレは、お前の体に障る。もう少し、体が元気になってからでないと駄目だ」
「わたしは十分元気です」
「そんな訳ない。現に声が枯れている」
「でも……」
「今回は少量だったからそれくらいで済んだが、摂取量が多ければ……」
わたしが初めてアレを口にしたときの出来事をラヴィリオ皇子殿下は思い出していることに気が付いたわたしは恥ずかしさについ大きな声を出してしまっていた。
「もう忘れてください! あれは、初めてでちょっと失敗してしまっただけです! 今は、ちゃんと見極められますから」
「どうだろうな? 現に声が枯れている」
うう~。少しの刺激にも反応してしまうこの弱い体が恨めしい。
「くすんっ……。あれくらいの量でこうなってしまう我が身恨めしいです……。でも、わたしはアレが好きになってしまったんです……。だから、許してください」
「はぁ……。どうしてこうなったんだ。辛い物を食べると体調を崩すというのに、よりによって、辛い食べ物を好きになってしまうとは……。ジーン、本当に恨むからな……」
そう、わたしはあることが切っ掛けで辛い物が好きになってしまっていたの。
でも、体が受け付けないようで、それを口にしすぎてしまうと頭痛や腹痛、喉の痛みという症状が出てしまうのだ。
それでも、アレはとても素晴らしいものだと思うの。
ただ辛いだけではなく、ほんのりとした甘みと複雑に配合された香辛料の奥深い旨味。
アレを知ってしまった今、もう前の何も知らなかった時のわたしには戻れそうになかったわ。
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