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第五話 隷属
戦争の道具として捕らえられたマリカとマリカを都合よく動かすための人質として捕らえられたティアナ。
二人はすぐにルーマニア王国の最前線の砦に連れてこられていた。
マリカが嵌めさせられた首輪は、隷従の首輪だった。
上官の命令に逆らうことが出来ず、逆らえば相当な痛みを与えられる。
死の淵に立たされた人間の底時からを知っているようで、兵士が逃げないように家族を人質にとることにも抜かりはなかったのだ。
それから三年。
マリカは、休む間も与えられずただひたすら、一人でも多くの帝国兵を屠るために戦わされ続けたのだ。
マリカの魔法使いとしての実力は凄まじいものだった。
そのため、他の魔法兵よりも酷使され続けたのだ。
ティアナはというと、マリカによってその身を守られていた。
本来なら、ティアナも魔法兵として送られるところだったが、隷従の魔法が完成するほんの一瞬の隙に行われた魔力封じの魔法がティアナを戦争送りから守っていたのだ。
月に数回はマリカとの時間を貰っていたティアナは、会うたびにマリカに泣きついていた。
「お母さん……。お願いだから、魔法を解いて……。ボロボロなお母さんの代わりにわたしが戦うから……」
「ううん。ティアナには、お母さんの帰りを待っていて欲しいな」
「でも……」
「大丈夫。アルマーノ帝国に凄い騎士様がいてね。彼がきっとこの戦争を終わらせてくれるよ。だから、もう少し待って。本当にもう少しだから……」
マリカの言葉はある意味真実になった。
アルマーノ帝国の英雄的人物。通称黒騎士。
彼は、この戦争において、ルーマニア王国の最大の障害だった。
彼自身の戦力もさることながら、その指揮能力は絶大なのもだった。
彼が頭角を現してから、アルマーノ帝国の被害はみるみる縮小していったのだ。
それでも、一騎当千の魔法使い部隊との接敵は分が悪かった。
だが、このまま戦争が続けば黒騎士が戦争を終結に導くだろうことは誰もが思い浮かべただろう。
黒騎士の他にも五人の英雄の存在がルーマニア王国を脅かしていた。
アルマーノ帝国兵を支える回復役として名を馳せる大僧侶姫。
回復魔法自体が希少で、魔力が持つ限り負傷した兵士たちを何度も回復させるうえ、ある程度の欠損んはなかったかのように再生させる奇跡の回復魔法の使い手。
現在はあまり戦場に姿を見せなくなったが、一番戦争の規模が大きかったころに活躍していた槍鬼人と呼ばれた天才槍遣い。
高火力の爆炎魔法を得意とする爆炎の魔法使いは、広範囲戦術魔法としても優秀で、幾多のルーマニア王国兵を苦しめた。
狂戦士と呼ばれる、目の前の敵兵を嬉々として殴り殺す拳闘士。
最後に、暗黒騎士の存在はルーマニア王国兵の恐怖の象徴だった。
魔法使いが多いルーマニア王国でも滅多にいない希少な暗黒魔法の使い手。
精神に作用する魔法と、神業的な剣技の腕で黒騎士に続く戦果を挙げていた。
そんな、六人もの英雄を抱えるアルマーノ帝国は、徐々にではあるがルーマニア王国を追い詰めていたのだ。
しかし、戦争が長引けば長引くほど魔法兵たちへの負担は大きくなるばかりだった。
もちろん、マリカの負っている負担も相当なものだった。
それでも、大切なティアナを守るためには、命を削ってでも耐え抜く覚悟で戦場に立っていたのだが、そうもいかなくなってきていたのだ。
魔法を使うたびに血を吐き、魔法の威力も落ちる一方だった。
そんなマリカを前にしてもただ待っているだけなんてティアナには出来なかった。
「お母さん。わたし、戦う。だから、お母さんは休んでいて」
人質として捕らえられてからの三年間。
マリカに魔法を解くことを拒否されてからのティアナは、掛けられた魔法を自力で解くため、解除方法を探し続けていたのだ。
そして、マリカの命が尽きる前にとうとう魔力を取り戻すことに成功したのだ。
最初は、マリカと共に逃げることも考えたがすぐにそれを断念した。
それは、忌々しくもマリカの首に嵌められた首輪の存在だ。
その首輪には、とある効果が付与されていた。
それは、首輪を嵌めたものが痛みをものともせずに離反した場合に起こる魔法。
首輪を中心に周囲一キロほどを巻き込んで爆発するという効果が付与されていたのだ。
今まで、何人もの脱走者が爆発により、家族諸共この世を去っていた。
ティアナは、それを防ぐための方法を考えたが最後に行くのは隷属の魔法を解くと言うものに行きつく。
しかし、自分に駆けられた魔法の効果を打ち消す方法は得たが、自分以外に掛けられた魔法の効果を打ち消すことが出来ないティアナは、マリカの代わりに戦場に立ちつつ、マリカに掛けられた隷属の魔法を解く方法を探すべく決意したのだ。
二人はすぐにルーマニア王国の最前線の砦に連れてこられていた。
マリカが嵌めさせられた首輪は、隷従の首輪だった。
上官の命令に逆らうことが出来ず、逆らえば相当な痛みを与えられる。
死の淵に立たされた人間の底時からを知っているようで、兵士が逃げないように家族を人質にとることにも抜かりはなかったのだ。
それから三年。
マリカは、休む間も与えられずただひたすら、一人でも多くの帝国兵を屠るために戦わされ続けたのだ。
マリカの魔法使いとしての実力は凄まじいものだった。
そのため、他の魔法兵よりも酷使され続けたのだ。
ティアナはというと、マリカによってその身を守られていた。
本来なら、ティアナも魔法兵として送られるところだったが、隷従の魔法が完成するほんの一瞬の隙に行われた魔力封じの魔法がティアナを戦争送りから守っていたのだ。
月に数回はマリカとの時間を貰っていたティアナは、会うたびにマリカに泣きついていた。
「お母さん……。お願いだから、魔法を解いて……。ボロボロなお母さんの代わりにわたしが戦うから……」
「ううん。ティアナには、お母さんの帰りを待っていて欲しいな」
「でも……」
「大丈夫。アルマーノ帝国に凄い騎士様がいてね。彼がきっとこの戦争を終わらせてくれるよ。だから、もう少し待って。本当にもう少しだから……」
マリカの言葉はある意味真実になった。
アルマーノ帝国の英雄的人物。通称黒騎士。
彼は、この戦争において、ルーマニア王国の最大の障害だった。
彼自身の戦力もさることながら、その指揮能力は絶大なのもだった。
彼が頭角を現してから、アルマーノ帝国の被害はみるみる縮小していったのだ。
それでも、一騎当千の魔法使い部隊との接敵は分が悪かった。
だが、このまま戦争が続けば黒騎士が戦争を終結に導くだろうことは誰もが思い浮かべただろう。
黒騎士の他にも五人の英雄の存在がルーマニア王国を脅かしていた。
アルマーノ帝国兵を支える回復役として名を馳せる大僧侶姫。
回復魔法自体が希少で、魔力が持つ限り負傷した兵士たちを何度も回復させるうえ、ある程度の欠損んはなかったかのように再生させる奇跡の回復魔法の使い手。
現在はあまり戦場に姿を見せなくなったが、一番戦争の規模が大きかったころに活躍していた槍鬼人と呼ばれた天才槍遣い。
高火力の爆炎魔法を得意とする爆炎の魔法使いは、広範囲戦術魔法としても優秀で、幾多のルーマニア王国兵を苦しめた。
狂戦士と呼ばれる、目の前の敵兵を嬉々として殴り殺す拳闘士。
最後に、暗黒騎士の存在はルーマニア王国兵の恐怖の象徴だった。
魔法使いが多いルーマニア王国でも滅多にいない希少な暗黒魔法の使い手。
精神に作用する魔法と、神業的な剣技の腕で黒騎士に続く戦果を挙げていた。
そんな、六人もの英雄を抱えるアルマーノ帝国は、徐々にではあるがルーマニア王国を追い詰めていたのだ。
しかし、戦争が長引けば長引くほど魔法兵たちへの負担は大きくなるばかりだった。
もちろん、マリカの負っている負担も相当なものだった。
それでも、大切なティアナを守るためには、命を削ってでも耐え抜く覚悟で戦場に立っていたのだが、そうもいかなくなってきていたのだ。
魔法を使うたびに血を吐き、魔法の威力も落ちる一方だった。
そんなマリカを前にしてもただ待っているだけなんてティアナには出来なかった。
「お母さん。わたし、戦う。だから、お母さんは休んでいて」
人質として捕らえられてからの三年間。
マリカに魔法を解くことを拒否されてからのティアナは、掛けられた魔法を自力で解くため、解除方法を探し続けていたのだ。
そして、マリカの命が尽きる前にとうとう魔力を取り戻すことに成功したのだ。
最初は、マリカと共に逃げることも考えたがすぐにそれを断念した。
それは、忌々しくもマリカの首に嵌められた首輪の存在だ。
その首輪には、とある効果が付与されていた。
それは、首輪を嵌めたものが痛みをものともせずに離反した場合に起こる魔法。
首輪を中心に周囲一キロほどを巻き込んで爆発するという効果が付与されていたのだ。
今まで、何人もの脱走者が爆発により、家族諸共この世を去っていた。
ティアナは、それを防ぐための方法を考えたが最後に行くのは隷属の魔法を解くと言うものに行きつく。
しかし、自分に駆けられた魔法の効果を打ち消す方法は得たが、自分以外に掛けられた魔法の効果を打ち消すことが出来ないティアナは、マリカの代わりに戦場に立ちつつ、マリカに掛けられた隷属の魔法を解く方法を探すべく決意したのだ。
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