殺戮人形のわたしが敵国の黒騎士様の最愛になるまでの話

バナナマヨネーズ

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第十五話 食事

 黒騎士を先頭にして進んだ先にあった食堂はとても広い部屋だった。
 屋敷で過ごすようになってから、与えられた部屋でのみ過ごしていたティアナは、初めて足を踏み入れた食堂を見て目を丸くさせた。
 その広さと、シンプルながらも所々に置かれたセンスのよさそうな絵画や置物。
 そして、大きなテーブルの上に並べられた見たことも無いような豪華な食事。
 先に席についていた黒騎士は、立ったまま動きを止めていたティアナに視線を向ける。
 そして、ティアナに手招きをする。
 どうしたらいいのか分からないティアナは、背後に立っていたマーサに助けを求めるように視線を送っていた。
 それに対して黒騎士は小さく笑ってから言うのだ。
 
「おいで」

 無視することも出来ないティアナは、ゆっくりとした足取りで黒騎士から一番距離のある席に浅く腰を掛けていた。
 それを見た黒騎士は、何とも言えない困ったよな、それでいて寂しそうな、そんな表情でティアナを見た後、おもむろに席を立った。
 そして、あっという間にティアナの隣に座ったのだ。
 
 それを見たマーサは、あっという間にテーブルセッティングを終えて、再び部屋の隅で待機の姿勢に戻っていた。
 
「それじゃあ、いただきます」

 そう言った黒騎士は、目の前の料理に手を付ける。
 綺麗な所作で、あっという間に皿を空にする。
 見ていて気持ちがいいほどの食べっぷりだった。
 黒騎士をぼんやりと見つめているティアナの前に黒騎士はサラダや肉料理の乗った皿を寄せて、視線で食べるようにと促す。
 
 テーブルマナーなど知らないティアナは、どうしていいのか分からず、身動きが取れずにいた。
 そんなティアナの思いに気が付いたのかは分からないが、黒騎士は優しい声音で言うのだ。
 
「食事は美味しく食べられればいい。難しく考えなくてもいいんだよ」

 そう言って、小さく切った肉を刺したフォークをティアナの口元に運んだのだ。
 目の前の肉と、黒騎士の顔を視線で何往復かした後、覚悟を決めて目の前の肉を口に入れた。
 
 蕩けるほどに柔らかい肉にティアナは、頬を押さえて、思わず笑みを浮かべてしまっていた。
 それを見た黒騎士は、驚いたように目を見張る。
 しかし、その表情は一瞬で消えていた。
 少し、悲しそうな笑みを浮かべた後、ティアナの頭を撫でて言うのだ。
 
「そうだ。沢山食べて大きくなりなさい」

 そう言われたティアナは、黒騎士のその表情に目が離せなくなっていた。
 どこかで見たことのあるような、そんな表情をした黒騎士に胸が痛くなった。
 どこで? そんなことを考えていたティアナだったが、その答えが浮かびそうになった次の瞬間、掴みかけていたものが吹き飛んでしまったいた。
 
 バーーーーーン!!
 
「笹垣君!! 今日こそ群青の魔法使いを……え?」

 そう言って勢いよく食堂に飛び込んできた加奈は、目の前の光景に目を丸くさせて言葉を途切れさせたのだ。
 
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