殺戮人形のわたしが敵国の黒騎士様の最愛になるまでの話

バナナマヨネーズ

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第十六話 乱入者

「ちょっと!! 笹垣君?! 何よその見すぼらしい子は?!」

 そう言って、加奈はティアナをじろりと睨みつける。
 鋭い視線に肩をびくりとさせたティアナを庇う様に前に出た黒騎士は、困ったように眉根を寄せて柔らかい口調ではあったが、加奈を注意していた。
 
「赤城……。彼女は病み上がりのようなものなんだ。そんなに睨みつけるな。彼女は……。俺の客だ」

「はぁあ? どうしてそんな子庇うのよ!」

「庇うとか、そういう……。いや。彼女は俺が保護してるんだ。庇うのは当然だ」

「保護? っ! まさか、その女が群青の魔法使いなの?!」

「……。そうだ」

 加奈は、射殺さんばかりの視線でティアナを睨みつけるも、黒騎士によって阻まれる。
 
「どうしてよ! 沢山の人が酷い目に合ったのよ!!」

「そうだな。だが、誰も死ななかった」

「死なないからよかったとでも言うの?!」

「そう言う訳じゃない。戦争していたんだ」

「だから何よ!」

「俺たちにも事情があるように、この子にも抱える事情がある」

「知らないわよ!!」

 険悪な空気にティアナは立ち上がって、黒騎士の服を掴んでいた。
 
「ごめんなさい……。ごめんなさい」

 必死に声を絞り出すティアナに苛立ちを隠せない加奈は、ティアナに掴みかかろうとして黒騎士に止められていた。
 
「ごめんなさい……。わたし……。処刑されても誰も恨みません。それだけのことをしたって自覚はあるんです……。あの時……、子爵様に殺してもらいたかった……」

 絞り出すようにそう言ったティアナ。
 黒騎士は、その発言を聞いて、黙ってはいられなかった。
 
「違う!! 俺は、君に死んでなんか欲しくなかった!」

 そう声を張り上げた黒騎士は、ティアナを抱きしめていた。

「俺が……、もっと早く知っていれば……。君が……」

「いたっ……。痛いです……」

 縋るような抱擁にティアナが痛がると、黒騎士は慌ててその身を離していた。
 それでも、ティアナを再び抱き寄せた黒騎士は、ティアナの青い瞳を見つめて、しっかりとした声音で言うのだ。
 
「本当は、食事の後に話すつもりだった。かなりショックな話になる」

 そう言ったあと、黒騎士は加奈を振り返り、怒りの滲んだ視線で見たのは一瞬で、すぐに視線を逸らしながら言うのだ。
 
「今日は帰ってくれ。だが、こちらの話が終わったらだ。赤城と七瀬と城永の三人には、俺たちがこの世界に召喚された時のことで聞くことがある」

 そう言われた加奈は、一瞬で顔を真っ青にしていた。
 それを見た黒騎士は冷静さを取り戻すべく深呼吸をした。
 そして、加奈を振り返ることもせずに、ティアナを連れてその場から移動した黒騎士は、自室に向かったのだった。
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