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第十九話 可能性
それは、湊がこの世界に召喚されてから八年の月日が流れた時だった。
湊以外の全員が元の世界に戻ることを諦めても、湊だけは諦めず方法を探していた。
手掛かりは、ルーマニア王国にいるという、召喚魔法開発に携わったという魔女の家系の人間だ。
その特徴は、強力な魔力を持っているという少なすぎる情報のみだった。
それでも戦場で魔法使いを見かけるたびに何とか情報を聞き出そうとするも、その頃には英雄として知られすぎてしまっていたのだ。
戦場での湊と言えば漆黒の甲冑が代名詞となっていた。
ならばと、ある時から甲冑を脱ぎ、あまり知られていない素顔で戦場をふら付くようになっていたのだ。
いつ頃からか願掛けで伸ばした髪は、気が付くと肩甲骨あたりまで伸びてしまっていた。
長く伸びた髪を無造作に頭の高い位置で結び、ラフな格好で戦場で手がかりを探しつつ、戦争を終わらせるために甲冑に身を包み戦いに身を投じる。
そんな生活が続いた時だった。
とても美しい女性と出会ったのは。
その女性は、美しく整った顔は窶れ、血だらけの姿で泣いていた。
「もう……いや……。どうしてこんなことに……」
気配を殺していた湊に気が付かない女性は、さらに弱音を吐き出し続けた。
「私はどうなってもいいからティアナだけでも逃がさないと……。ああ、私たちが何をしたというの……。すべては先祖がやったことで、私たちは何も悪くない……。いいえ、同じ血筋として私が……。私が全ての償いを……」
そう言う女性の言葉に湊は可能性を感じたのだ。
先祖が何かをやった代償だと。そう女性は言ったのだ。
とうとう見つけたかもしれない手がかりを逃すことは出来ないと湊は気配を殺したまま女性に近づいていた。
そして、後ろから口を抑えながらその身を拘束する。
「抵抗はするな。俺の質問にだけ答えろ」
女性は一度体を大きく震わせたが、小さく頷いて見せたのだ。
それを見た湊は、出来るだけ落ち着いた声を心がけながら慎重に質問をしていく。
「貴女は召喚魔法について知っているな?」
その質問に女性は体を震わせてから、数秒後に小さく頷く。
「そうか……。大丈夫と言っても安心できないと思うが、俺は貴女を傷つける気はない。質問にだけ答えてくれればいい。次の質問だ。貴女は、召喚魔法の原理もしくはその術式を知っているか?」
女性は、少し悩んだ様子を見せてから口を塞いでいる湊の手を小さく叩く。
一瞬悩んだものの、女性が何を言いたいのかを理解した湊は口を塞いでいた手を離していた。
「知ってはいるわ。でも、再現できるほどではないわ」
「そうか……」
女性の返答に落胆しつつも一番聞きたかった質問を口にする。
「ならば、召喚したものを元の世界に戻すことは可能か?」
湊の質問に女性は無言になってしまった。
下を向き、何かを考えた女性は、ただこう答えるのみだった。
「わからない……。そんなこと考えたことも無かったわ……」
湊は少しの希望を感じてしまっていた。
考えたことが無い。つまりは、これからそれを考えてもらえれば可能性が出てくるのではないのかと、そう希望を感じたのだ。
湊以外の全員が元の世界に戻ることを諦めても、湊だけは諦めず方法を探していた。
手掛かりは、ルーマニア王国にいるという、召喚魔法開発に携わったという魔女の家系の人間だ。
その特徴は、強力な魔力を持っているという少なすぎる情報のみだった。
それでも戦場で魔法使いを見かけるたびに何とか情報を聞き出そうとするも、その頃には英雄として知られすぎてしまっていたのだ。
戦場での湊と言えば漆黒の甲冑が代名詞となっていた。
ならばと、ある時から甲冑を脱ぎ、あまり知られていない素顔で戦場をふら付くようになっていたのだ。
いつ頃からか願掛けで伸ばした髪は、気が付くと肩甲骨あたりまで伸びてしまっていた。
長く伸びた髪を無造作に頭の高い位置で結び、ラフな格好で戦場で手がかりを探しつつ、戦争を終わらせるために甲冑に身を包み戦いに身を投じる。
そんな生活が続いた時だった。
とても美しい女性と出会ったのは。
その女性は、美しく整った顔は窶れ、血だらけの姿で泣いていた。
「もう……いや……。どうしてこんなことに……」
気配を殺していた湊に気が付かない女性は、さらに弱音を吐き出し続けた。
「私はどうなってもいいからティアナだけでも逃がさないと……。ああ、私たちが何をしたというの……。すべては先祖がやったことで、私たちは何も悪くない……。いいえ、同じ血筋として私が……。私が全ての償いを……」
そう言う女性の言葉に湊は可能性を感じたのだ。
先祖が何かをやった代償だと。そう女性は言ったのだ。
とうとう見つけたかもしれない手がかりを逃すことは出来ないと湊は気配を殺したまま女性に近づいていた。
そして、後ろから口を抑えながらその身を拘束する。
「抵抗はするな。俺の質問にだけ答えろ」
女性は一度体を大きく震わせたが、小さく頷いて見せたのだ。
それを見た湊は、出来るだけ落ち着いた声を心がけながら慎重に質問をしていく。
「貴女は召喚魔法について知っているな?」
その質問に女性は体を震わせてから、数秒後に小さく頷く。
「そうか……。大丈夫と言っても安心できないと思うが、俺は貴女を傷つける気はない。質問にだけ答えてくれればいい。次の質問だ。貴女は、召喚魔法の原理もしくはその術式を知っているか?」
女性は、少し悩んだ様子を見せてから口を塞いでいる湊の手を小さく叩く。
一瞬悩んだものの、女性が何を言いたいのかを理解した湊は口を塞いでいた手を離していた。
「知ってはいるわ。でも、再現できるほどではないわ」
「そうか……」
女性の返答に落胆しつつも一番聞きたかった質問を口にする。
「ならば、召喚したものを元の世界に戻すことは可能か?」
湊の質問に女性は無言になってしまった。
下を向き、何かを考えた女性は、ただこう答えるのみだった。
「わからない……。そんなこと考えたことも無かったわ……」
湊は少しの希望を感じてしまっていた。
考えたことが無い。つまりは、これからそれを考えてもらえれば可能性が出てくるのではないのかと、そう希望を感じたのだ。
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