勘違い令嬢の行動力が異常な件~愛しの貴方が男が好きだというのなら男にだってなってみせます~

バナナマヨネーズ

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第九話

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 ミハエルの肩に担がれるようにして連れてこられた場所は、ミハエルの執務室だった。
 丁寧にソファーに降ろされたシユニナは、どうしてこうなったのか全く理解できなかった。
 今までに見たこともないような、不機嫌そうな、それでいて拗ねているような、そんな表情をしているようにシユニナには見えてしまったのだ。
 
 何も言えずに、ただ黙ってミハエルの言葉を待っていると、大きなため息が聞こえてくる。
 
 
「はぁぁ……」

 ミハエルの聞いたこともないような疲れたようなため息にシユニナは、びくりと肩を震わせてしまう。
 そんな、シユニナの様子に気が付いたミハエルは、美しい銀色の髪をかきあげて言うのだ。
 
「悪い……。これは俺が悪い。すまなかった」

 何に対しての謝罪なのか分からなかったが、シユニナにもミハエルに謝罪される理由がなかった。
 
「どうして……。副団長様が謝るんですか? 副団長様は何も悪くなんてありません」

 シユニナがそう訴えると、ミハエルが困ったような表情になっていた。
 
「いや……。君やあの騎士にそう言う意図はないと分かっていても……。これは、心が狭い俺が圧倒的に悪い」

 ミハエルが何を言っているのか、シユニナには全く理解できなかった。
 言われた言葉だけを素直にとらえれば、まるで嫉妬しているようなものの言い方だった。
 だが、そんな訳あるわけがないのだ。
 ミハエルが好きなのは……。
 そこまで考えて、シユニナはピンと来てしまう。
 そして、恥ずかしい思い込みに顔が赤くなってくるのが分かって、両手で顔を覆っていた。
 
(うわぁ~~~。なんて恥ずかしい思い違いを。先輩に嫉妬したのかと思ったけど、私だわ。きっとミーシャは、ああいう感じの男性が好きで、先輩とイチャイチャしているように見えて、気分を害されたのね)

「申し訳ございません……。以後気を付けます……」

 素直に謝罪の言葉を口にするシユニナだったが、何故かミハエルが自分の隣に密着するように座ったことで首を傾げる。
 さらには、両手をぎゅっと握られてしまい、ますます困惑するのだ。
 
「ああ。分かってくれて嬉しいが、こんなに心が狭い俺は嫌いか?」

 嫌いなわけなどなかった。寧ろ、嫉妬している顔も素敵だと思っていたところだった。
 だからシユニナは首を横に振って否と行動で示す。
 
「そうか……。だがな、シユニナも俺の婚約者だという立場を忘れるな。ここでは、身分を隠しているとはいえ、シユニナは俺の婚約者なんだ」

(あれ…………? なんか、思っていたのと違う? これじゃぁ、私のこと好きみたいじゃない? あれ?)

 シユニナが、目を丸くさせて首を傾げる姿を見たミハエルは、薄く笑みを浮かべた後、シユニナの前髪を上げて丸く形のいい額にちゅっと音を立ててキスをするのだ。
 
 突然の出来事にシユニナが硬直していると、ガタンと大きな音がしたのだ。
 
 何事かとそちらに視線を向けたが、扉が微かに空いているだけで誰も居なくなっていた。
 しかし、瞬時にいろいろな可能性が頭を過ったシユニナは、慌ててミハエルの胸を押していた。
 
「なななななぁっ!! 駄目です! 離れてください! 誰かに見られたかもしれないです。すぐに後を追って、説明しないと!!」

「何を言っている。何も問題などないだろう?」

(大有りです!! だって、ミーシャは、男色家ってこと隠したいんだよね? なのに男の姿の私とこんな……、こんなことしていたら意味ないじゃない!!)

 シユニナは心の中でぐるぐると考えている間、ミハエルは、そんな事関係ないとばかりにシユニナを抱きしめる力を強くしていたのだ。
 
 
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