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第八話
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ベルナー様とのお茶会も恒例になってきたある日、毎年恒例となっている舞踏会の警護任務の割り振りがされた。
私が身を置く団長直属部隊は、もちろん王宮の一角を任されていた。
それはとても名誉なことだけど、わたしにとっては、とても困難な状況を指示していた。
王宮内は許可のない魔力使用を禁止しているからだ。
騎士団内では、魔力で身体能力を上げることは推奨されていたから、遠慮なく魔力を使用していたけど、警護任務ではそれは不可だった。
申請をすれば警護時に魔力で身体強化をすることも可能だけど、そんなことをすればわたしの足が動かないことが知られてしまう。
さらには、そのことからわたしがフェルルカだということに気が付く人が出てくるかもしれない。
でも、このままではシュナイゼルの騎士団内での評価に関わる事態に発展してしまう可能性もあった。
もし、騎士団内での評価が悪ければ、将来侯爵家を継ぐときに不利が生じる可能性があると思うと、どうにかしなければならないという思いが強まったのだ。
悩んだ結果、ベルナー様に相談することにしたのだ。
でも、何と相談しようか……。
考えた末に自分でもバカバカしい理由を口にしていたのだ。
ベルナー様からお茶に誘われたとき、チャンスだと思いわたしはそのバカバカしいことを口にしていたのだ。
「ベルナー様にご相談なのですが……。今度の警護任務の時に魔力使用を許可していただきたいのです」
わたしがそう切り出すと、ベルナー様は目を丸くしていた。
だけど、頭ごなしに却下することもなく、わたしに理由を聞いてくれたのだ。
「ふむ。理由は?」
「お恥ずかしながら、わたしは見ての通り華奢な体格をしています。そのため、普段から魔力で身体強化を行いそれを補っています。警護任務でも力を発揮できるように使用を許可して欲しいのです」
「なるほど」
そう言ってベルナー様は、座っていたソファーから腰を上げて向かいに座るわたしの腕を掴んだのだ。
「華奢だな……。このまま力を込めれば折れてしまいそうだ」
そう言いながらもわたしの腕を掴む力は優しいのもだった。
そして、ベルナー様は、ニヤリとした表情でとんでもないことを言い出したのだ。
「そうだな。うん。分かった。今回の警護任務からゼルを外す」
「えっ?」
「ただし、ゼルには極秘任務に就いてもらう」
ベルナー様のまさかの言葉にわたしは言葉を失っていた。そんなわたしにお構いなしのベルナー様は、困った表情で頭をかいて言ったのだ。
「お前にはその日、俺の側に居てもらうという特別任務を与える。詳細はゼルの意志を確認してからだ。当日、自宅待機するか、俺の与える極秘任務に着くか選べ」
任務内容を聞いていない状況で選択させようとするベルナー様は狡いと思うけど、きっとそれだけ大変な任務なのだろう。
任務内容を聞いた後に辞退は認められないということだと理解したわたしは、悩んだのは一瞬で、直ぐに頷いていた。
だけど、この後頷いたことを途轍もなく後悔することになるなんてこの時の私は知る由もなかったのだ。
「分かった。協力に感謝する。それでは、極秘任務内容の詳細を説明する」
「はい……」
「と、その前に少し俺の話をさせてもらう」
そう言ったベルナー様は、言いづらそうしながらも口を開いたのだ。
「実はな、両陛下が俺の婚約話を進めようとしてるんだよ」
そう言われたわたしは、ベルナー様に婚約者がいないことを思い出していた。
「俺だって分かっている。王族の勤めとして、いずれ国のために結婚するときが来るってことは。でも、猶予が欲しいんだ」
そう言ったベルナー様は、見たことのないような辛そうなお顔で言ったのだ。
「好きな人がいるんだ……。でも、その人を思う気持ちは熱いくらい胸にあって……。その気持ちが少しでも小さくなるまでもう少し時間が欲しいんだ。王族として失格だと分かっている。でも、気持ちの整理を付けたいんだ。そうでなければ、俺と結婚させられる相手に悪いからな……」
そう言って、辛そうに表情を歪めたベルナー様を見て、その気持ちが分かってしまったわたしは頷いていた。
「分かりました……。ですが、そのお話が今回の極秘任務とどのような関係が?」
気持ちはわかるけど、脈絡のない話にわたしは戸惑いつつもそう尋ねてしまっていた。
だけど、次の瞬間。
さっきまでの切なさ満天の表情が晴れて、とても楽しそうな表情でベルナー様は言ったのだ。
「ありがとう! それなら、ゼルには俺の恋人として同行してもらうからよろしくな」
「はい? えっ? えええーーーーーーー!!!」
私が身を置く団長直属部隊は、もちろん王宮の一角を任されていた。
それはとても名誉なことだけど、わたしにとっては、とても困難な状況を指示していた。
王宮内は許可のない魔力使用を禁止しているからだ。
騎士団内では、魔力で身体能力を上げることは推奨されていたから、遠慮なく魔力を使用していたけど、警護任務ではそれは不可だった。
申請をすれば警護時に魔力で身体強化をすることも可能だけど、そんなことをすればわたしの足が動かないことが知られてしまう。
さらには、そのことからわたしがフェルルカだということに気が付く人が出てくるかもしれない。
でも、このままではシュナイゼルの騎士団内での評価に関わる事態に発展してしまう可能性もあった。
もし、騎士団内での評価が悪ければ、将来侯爵家を継ぐときに不利が生じる可能性があると思うと、どうにかしなければならないという思いが強まったのだ。
悩んだ結果、ベルナー様に相談することにしたのだ。
でも、何と相談しようか……。
考えた末に自分でもバカバカしい理由を口にしていたのだ。
ベルナー様からお茶に誘われたとき、チャンスだと思いわたしはそのバカバカしいことを口にしていたのだ。
「ベルナー様にご相談なのですが……。今度の警護任務の時に魔力使用を許可していただきたいのです」
わたしがそう切り出すと、ベルナー様は目を丸くしていた。
だけど、頭ごなしに却下することもなく、わたしに理由を聞いてくれたのだ。
「ふむ。理由は?」
「お恥ずかしながら、わたしは見ての通り華奢な体格をしています。そのため、普段から魔力で身体強化を行いそれを補っています。警護任務でも力を発揮できるように使用を許可して欲しいのです」
「なるほど」
そう言ってベルナー様は、座っていたソファーから腰を上げて向かいに座るわたしの腕を掴んだのだ。
「華奢だな……。このまま力を込めれば折れてしまいそうだ」
そう言いながらもわたしの腕を掴む力は優しいのもだった。
そして、ベルナー様は、ニヤリとした表情でとんでもないことを言い出したのだ。
「そうだな。うん。分かった。今回の警護任務からゼルを外す」
「えっ?」
「ただし、ゼルには極秘任務に就いてもらう」
ベルナー様のまさかの言葉にわたしは言葉を失っていた。そんなわたしにお構いなしのベルナー様は、困った表情で頭をかいて言ったのだ。
「お前にはその日、俺の側に居てもらうという特別任務を与える。詳細はゼルの意志を確認してからだ。当日、自宅待機するか、俺の与える極秘任務に着くか選べ」
任務内容を聞いていない状況で選択させようとするベルナー様は狡いと思うけど、きっとそれだけ大変な任務なのだろう。
任務内容を聞いた後に辞退は認められないということだと理解したわたしは、悩んだのは一瞬で、直ぐに頷いていた。
だけど、この後頷いたことを途轍もなく後悔することになるなんてこの時の私は知る由もなかったのだ。
「分かった。協力に感謝する。それでは、極秘任務内容の詳細を説明する」
「はい……」
「と、その前に少し俺の話をさせてもらう」
そう言ったベルナー様は、言いづらそうしながらも口を開いたのだ。
「実はな、両陛下が俺の婚約話を進めようとしてるんだよ」
そう言われたわたしは、ベルナー様に婚約者がいないことを思い出していた。
「俺だって分かっている。王族の勤めとして、いずれ国のために結婚するときが来るってことは。でも、猶予が欲しいんだ」
そう言ったベルナー様は、見たことのないような辛そうなお顔で言ったのだ。
「好きな人がいるんだ……。でも、その人を思う気持ちは熱いくらい胸にあって……。その気持ちが少しでも小さくなるまでもう少し時間が欲しいんだ。王族として失格だと分かっている。でも、気持ちの整理を付けたいんだ。そうでなければ、俺と結婚させられる相手に悪いからな……」
そう言って、辛そうに表情を歪めたベルナー様を見て、その気持ちが分かってしまったわたしは頷いていた。
「分かりました……。ですが、そのお話が今回の極秘任務とどのような関係が?」
気持ちはわかるけど、脈絡のない話にわたしは戸惑いつつもそう尋ねてしまっていた。
だけど、次の瞬間。
さっきまでの切なさ満天の表情が晴れて、とても楽しそうな表情でベルナー様は言ったのだ。
「ありがとう! それなら、ゼルには俺の恋人として同行してもらうからよろしくな」
「はい? えっ? えええーーーーーーー!!!」
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