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第三部
第七章 二度目の恋と最後の愛 4
用は済んだと、カインは早々に王宮を辞そうとしたが王妃がそれを許さなかった。
王妃は、庭園のサロンにカインを呼びつけたのだ。
カインは、早く屋敷に戻り、シーナに改めてプロポーズをするつもりだったため、気もそぞろだったが、サロンで王妃に言われた言葉で絶句したのだった。
「ところで、貴方の恋人となった?シーナちゃんって甘いものが好きなのよね?ね?ここに、蜂蜜のたっぷり掛かった美味しい蜂蜜パイがあるんだけど、ああ、わたくしだけじゃ食べ切れないから、誰か一緒に食べてくれる人はいないかしら~」
そんな事を言いながら、カインのことをチラチラと見る王妃に、カインは頭を抱えた。
「母上……、それなら、そのパイを少し頂いていきます。シーナにお土産として持っていきますので」
まさかのカインの言葉に王妃は非難の声をあげた。
「ちょっと、カイン!貴方ね、今の流れでそうなる?普通、一緒に食べてくれる人を求めている人間に対して貴方非道よ!ここは、シーナちゃんを連れてくる流れでしょう?」
「いえ、まったく」
カインの即答に王妃はさらに言い募った。
「鬼畜!!ロリコン!!母の寂しい心を慰めようとかいう気持ちはないの!?念願の娘が出来ると言う喜び分かっているでしょう!!ミーちゃんの時は貴方が接触を禁止するから、お話することも出来なかったんだし、今度こそ娘となることをキャッキャウフフしたいのです!!」
「はぁ、母上のその性格が……。今回も禁止です。純情無垢なシーナの教育に悪いので。パイの感想は聞いて手紙を書くので安心してください」
「むっ!!王妃命令よ!!ナッちゃんを連れてきなさい!!」
「はぁ、結婚の挨拶をしに一緒に来ますよ……」
「約束ですよ。嘘だったら、貴方の恥ずかしい話をナッちゃんに言ってしまいますからね」
「うっ……。分かりました……」
こうして、帰り際に王妃によって、シーナを王宮に連れて行くことを約束させられたカインだった。
用事が済んだカインは、急ぎ目で屋敷に戻った。
屋敷の修繕工事の手配は既にしているが、業者が入るのは明日になるという話だったので、瓦礫と化した屋敷の部分はそのままとなっている。
リビングに向かうと、楽しげな声が聞こえてきていた。
その温かくも優しい空気にカインの口元は自然と綻んでいた。
この時までは。
リビングに入ると、カインの目に飛び込んできた光景に絶句した。
リビングのソファーに座るシエテの膝に乗せられたシーナの姿があった。
しかし、ただ膝に乗せられているだけではなく、後ろから抱っこするようにぎゅっと抱きしめてピッタリと体を密着させた姿だった。
さらに、シーナにお菓子を手ずから食べさせているという、なんと羨ましい事をしているんだとカインはその姿に嫉妬の炎がメラっと燃え上がるのを感じた。
だが、その炎もある者の言葉に霧散した。
「旦那様、おかえりなさい。お茶のご用意は出来ているのでお掛けください」
そう、謁見の間で別れたはずのミュルエナがそこにいたのだった。
王妃は、庭園のサロンにカインを呼びつけたのだ。
カインは、早く屋敷に戻り、シーナに改めてプロポーズをするつもりだったため、気もそぞろだったが、サロンで王妃に言われた言葉で絶句したのだった。
「ところで、貴方の恋人となった?シーナちゃんって甘いものが好きなのよね?ね?ここに、蜂蜜のたっぷり掛かった美味しい蜂蜜パイがあるんだけど、ああ、わたくしだけじゃ食べ切れないから、誰か一緒に食べてくれる人はいないかしら~」
そんな事を言いながら、カインのことをチラチラと見る王妃に、カインは頭を抱えた。
「母上……、それなら、そのパイを少し頂いていきます。シーナにお土産として持っていきますので」
まさかのカインの言葉に王妃は非難の声をあげた。
「ちょっと、カイン!貴方ね、今の流れでそうなる?普通、一緒に食べてくれる人を求めている人間に対して貴方非道よ!ここは、シーナちゃんを連れてくる流れでしょう?」
「いえ、まったく」
カインの即答に王妃はさらに言い募った。
「鬼畜!!ロリコン!!母の寂しい心を慰めようとかいう気持ちはないの!?念願の娘が出来ると言う喜び分かっているでしょう!!ミーちゃんの時は貴方が接触を禁止するから、お話することも出来なかったんだし、今度こそ娘となることをキャッキャウフフしたいのです!!」
「はぁ、母上のその性格が……。今回も禁止です。純情無垢なシーナの教育に悪いので。パイの感想は聞いて手紙を書くので安心してください」
「むっ!!王妃命令よ!!ナッちゃんを連れてきなさい!!」
「はぁ、結婚の挨拶をしに一緒に来ますよ……」
「約束ですよ。嘘だったら、貴方の恥ずかしい話をナッちゃんに言ってしまいますからね」
「うっ……。分かりました……」
こうして、帰り際に王妃によって、シーナを王宮に連れて行くことを約束させられたカインだった。
用事が済んだカインは、急ぎ目で屋敷に戻った。
屋敷の修繕工事の手配は既にしているが、業者が入るのは明日になるという話だったので、瓦礫と化した屋敷の部分はそのままとなっている。
リビングに向かうと、楽しげな声が聞こえてきていた。
その温かくも優しい空気にカインの口元は自然と綻んでいた。
この時までは。
リビングに入ると、カインの目に飛び込んできた光景に絶句した。
リビングのソファーに座るシエテの膝に乗せられたシーナの姿があった。
しかし、ただ膝に乗せられているだけではなく、後ろから抱っこするようにぎゅっと抱きしめてピッタリと体を密着させた姿だった。
さらに、シーナにお菓子を手ずから食べさせているという、なんと羨ましい事をしているんだとカインはその姿に嫉妬の炎がメラっと燃え上がるのを感じた。
だが、その炎もある者の言葉に霧散した。
「旦那様、おかえりなさい。お茶のご用意は出来ているのでお掛けください」
そう、謁見の間で別れたはずのミュルエナがそこにいたのだった。
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