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番外編
【IF】ざまぁ、滅亡END 2
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それから、アメジシスト王国は悪天候が続いた。
毎日、バケツを引っくり返したような大雨が続いたのだ。
大雨のせいで作物は腐り、収穫することができなくなった。
さらに、続く大雨のせいで、道は泥濘み道行く人々は、馬車の事故に合う頻度が増えたのだ。
教会では、精霊の祟りだという神父や司祭が現れだした。
そんな中、予定通りカインの結婚式が執り行われることになった。
参列者は、その異様な光景に息を呑んだ。
新郎であるカインは、すっかり窶れていたのだ。
美しい青銀の髪は真っ白になっていた。15歳のカインがまるで、老人のようなその姿に、参列者たちは目を見張ったのだ。
そして、カインの隣にいる、イシュミールになりすましたイシュタルはというと、カインとは対象的に艶めく肌に美しいストロベリーブロンドを結い上げた姿だった。
純白のウエディングドレスを纏ったその姿は、まるで妖精のようだった。
しかし、隣りにいるカインの老人のような容貌のせいで台無しではあった。
そんな中、大聖堂で結婚式は粛々と進行した。
しかし、二人が誓いの言葉を述べようとした際に異変が起こったのだ。
その日も大雨だった。
しかし、式が進むにつれてその雨は酷くなっていったのだ。
大粒の雨は、いつしか大粒の氷となっていた。
大聖堂内も急激に気温が下がり、吐く息は白くなっていったのだ。
そんな中、カインが急に胸を押さえて蹲ったのだ。
大量の汗を流しながら、蹲るカインは何度か咳をしていた。
最後に、大きな咳をした際に「ゴボリ」と、嫌な音が出た。
口元を押さえていたカインの指の隙間からは、真っ黒な血が滴り落ちていた。
しかも、どろりとした真っ黒な血だったのだ。
その後、何度か大きな咳を繰り返した後に、カインは真っ白なタキシードを黒く染めて「どさり」と、崩れ落ちてから息絶えたのだった。
カインの様子を見るために、近くにいた司祭たちがカインの死に驚いていると、次にカインの血が付いてしまった司祭が同じ様に咳をし始めたのだ。
まさかと思いながらも、周囲の司祭たちは、咳き込む司祭から距離を取りながら見つめていた。
すると、その司祭もカインと同様に、黒いドロリとした血を吐いた後に事切れたのだ。
その場は、静まり返った。
しかし、次の瞬間大勢の叫び声で溢れかえったのだ。
伝播するかのように、大聖堂に集まった人々は次々に黒い血を吐いて息絶えていった。
あっという間に、大聖堂にいた者全てが黒い血を吐いて死んでいった。
王族も、貴族も、商人も。
見物のため、大聖堂の周囲に集まっていた民衆も、全てが同様に死に絶えたのだ。
ただ、たった一人だけそんな惨状の中で生き残った者がいた。
それは、イシュミールに成り済ましたイシュタルだった。
イシュタルは、次々に黒い血を吐いて死んでいく人々をただ見ていた。
その騒ぎを聞きつけたのだろう、式に参列していなかった騎士たちが駆けつけてきたのだ。
その場は、大勢の死体と黒い血で染まり、悪臭を放っていた。
騎士たちは、ただ一人生きているイシュタルに事情を聞くべく近づいたのだ。
すると、イシュタルに触れた一人の騎士が、急に咳き込み出したのだ。
驚いた他の騎士は、咳き込む騎士の背を擦り落ち着けようとしたが、その甲斐もなく咳き込む騎士は、黒い血を吐いてからどさりと、倒れて死んでいたのだ。
これを見た騎士たちは、恐怖に青ざめた。
我先にと、イシュタルから離れようとしたが、既に遅く次々と死んでいったのだ。
後方で、この騒ぎを見ていた騎士たちは、大聖堂を封鎖すべく行動したのだ。
しかし、封鎖してイシュタルから距離をとったにも関わらず、被害は拡大していったのだ。
さらに、最悪なことに、長雨のため王都を出るための道が土砂で全て塞がれていたのだ。
王都から逃げることも出来ず、人々はただ迫りくる死に恐怖した。
しかし、一人の男が勇気を持って言ったのだ。
「なぁ、この騒ぎの元凶は、あの場で唯一人生き残っていたあの女だろう?だったら、元凶の女を殺せばいいんじゃないか?」
毎日、バケツを引っくり返したような大雨が続いたのだ。
大雨のせいで作物は腐り、収穫することができなくなった。
さらに、続く大雨のせいで、道は泥濘み道行く人々は、馬車の事故に合う頻度が増えたのだ。
教会では、精霊の祟りだという神父や司祭が現れだした。
そんな中、予定通りカインの結婚式が執り行われることになった。
参列者は、その異様な光景に息を呑んだ。
新郎であるカインは、すっかり窶れていたのだ。
美しい青銀の髪は真っ白になっていた。15歳のカインがまるで、老人のようなその姿に、参列者たちは目を見張ったのだ。
そして、カインの隣にいる、イシュミールになりすましたイシュタルはというと、カインとは対象的に艶めく肌に美しいストロベリーブロンドを結い上げた姿だった。
純白のウエディングドレスを纏ったその姿は、まるで妖精のようだった。
しかし、隣りにいるカインの老人のような容貌のせいで台無しではあった。
そんな中、大聖堂で結婚式は粛々と進行した。
しかし、二人が誓いの言葉を述べようとした際に異変が起こったのだ。
その日も大雨だった。
しかし、式が進むにつれてその雨は酷くなっていったのだ。
大粒の雨は、いつしか大粒の氷となっていた。
大聖堂内も急激に気温が下がり、吐く息は白くなっていったのだ。
そんな中、カインが急に胸を押さえて蹲ったのだ。
大量の汗を流しながら、蹲るカインは何度か咳をしていた。
最後に、大きな咳をした際に「ゴボリ」と、嫌な音が出た。
口元を押さえていたカインの指の隙間からは、真っ黒な血が滴り落ちていた。
しかも、どろりとした真っ黒な血だったのだ。
その後、何度か大きな咳を繰り返した後に、カインは真っ白なタキシードを黒く染めて「どさり」と、崩れ落ちてから息絶えたのだった。
カインの様子を見るために、近くにいた司祭たちがカインの死に驚いていると、次にカインの血が付いてしまった司祭が同じ様に咳をし始めたのだ。
まさかと思いながらも、周囲の司祭たちは、咳き込む司祭から距離を取りながら見つめていた。
すると、その司祭もカインと同様に、黒いドロリとした血を吐いた後に事切れたのだ。
その場は、静まり返った。
しかし、次の瞬間大勢の叫び声で溢れかえったのだ。
伝播するかのように、大聖堂に集まった人々は次々に黒い血を吐いて息絶えていった。
あっという間に、大聖堂にいた者全てが黒い血を吐いて死んでいった。
王族も、貴族も、商人も。
見物のため、大聖堂の周囲に集まっていた民衆も、全てが同様に死に絶えたのだ。
ただ、たった一人だけそんな惨状の中で生き残った者がいた。
それは、イシュミールに成り済ましたイシュタルだった。
イシュタルは、次々に黒い血を吐いて死んでいく人々をただ見ていた。
その騒ぎを聞きつけたのだろう、式に参列していなかった騎士たちが駆けつけてきたのだ。
その場は、大勢の死体と黒い血で染まり、悪臭を放っていた。
騎士たちは、ただ一人生きているイシュタルに事情を聞くべく近づいたのだ。
すると、イシュタルに触れた一人の騎士が、急に咳き込み出したのだ。
驚いた他の騎士は、咳き込む騎士の背を擦り落ち着けようとしたが、その甲斐もなく咳き込む騎士は、黒い血を吐いてからどさりと、倒れて死んでいたのだ。
これを見た騎士たちは、恐怖に青ざめた。
我先にと、イシュタルから離れようとしたが、既に遅く次々と死んでいったのだ。
後方で、この騒ぎを見ていた騎士たちは、大聖堂を封鎖すべく行動したのだ。
しかし、封鎖してイシュタルから距離をとったにも関わらず、被害は拡大していったのだ。
さらに、最悪なことに、長雨のため王都を出るための道が土砂で全て塞がれていたのだ。
王都から逃げることも出来ず、人々はただ迫りくる死に恐怖した。
しかし、一人の男が勇気を持って言ったのだ。
「なぁ、この騒ぎの元凶は、あの場で唯一人生き残っていたあの女だろう?だったら、元凶の女を殺せばいいんじゃないか?」
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