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現在編
はじめての※
しおりを挟むそして夜、
俺はベッドの上で唸っていた
(ついにこの日が来たか)
想いが通じ合ったあの日から時折体を重ねていたが、いかんせん俺が処女のため挿入には至らず。
互いに高め合うなかで次第に俺の理性が溶かされ、感じまくってるうちに気づいたら朝になっている。あいつは変態なので起きると俺の体は齧られてボロボロになっている。
(俺は経験豊富な暗殺者のはずなのに……)
いつもしてやられるばかりなのは屈辱だ。今日こそ、俺のテクでメロメロにしてやる。
ふと目線を向けた先、優しい紫が目に入る。テーブルにはシアンにもらった花が飾られている。
「可愛らしいだってよ、キザなやつ」
機嫌取りのためにこういうことをする男じゃないからこそ、まっすぐな愛情に胸があたたかくなる。
「花を見て可愛いとか嬉しいとか、そんなことを思う日が来るとはな」
ベッドに転がり幸せな気持ちで眺めていると、
「その花は別名でリラというらしい」
シアンが部屋の中に入ってくる。
「お前にぴったりだと思ってな」
ベッドに腰掛けて微笑む。
死の花と呼ばれた俺が、こんなに可憐で愛らしい花の名をもらった。
運命とは不思議なものだ。
「俺、こんな可愛らしくねぇよ」
「俺にとってお前はこんなかんじだ」
「目がおかしい」
「そんなことないだろう」
目を見合わせて小さく微笑み合う。そっと、シアンが俺をベッドに押し倒した。
「なかなか時間が作れなくて悪い」
「本当だわ、お前浮気されてもしらねぇぞ」
「浮気は、許せないな」
「しないしない、お前野生の獣みたいな目になるのやめろ、こえぇよ」
「今日もたくさんシルシをつけよう」
「お前のマーキングいてぇんだよ」
「……喜んでるくせに」
「は?なんて?」
「ふ、キスしていいか」
「……いちいち聞くなよ」
ゆっくり唇が重なる。口内を味わうようにキスを重ね、送り込まれる唾液を混ぜ合わせて嚥下する。一つになるみたいで気持ちいい。
「……ふ、はぁ……」
口を離して乱れた息を整える。愛しい男の顔を見つめて眼帯をそっと捲ると、閉じられた瞼が見えた。
「……なんで治さねぇの?」
ユツキの力があれば失った眼球を再生することは容易なはずだ。
「…………なんでだろうな?」
男が小さく笑い首をかしげる。
「教えてくれねぇのかよ」
「お前にはわからない」
「……その言い方ムカつくな……、ん」
再び重なる唇、今度はたくましい腕も同時に動き出す。胸の突起を挟まれ、襲いくる気持ちよさを体を捻って逃がそうとする。
「ん……ぁ、ばか……、そこばっかり、するな……」
「逃げるな、興奮する」
はだけた胸に噛みつかれる、鎖骨、喉仏、乳首、舐めながら齧られて、捕食される快感に下半身が反応した。
「……ん、やめっ!」
「お前は美味しいな」
「くっそ……っ!」
体中触れてくるのに、立ち上がり雫をこぼすそこには直接触れてくれない、それでも高まりつづける体。
「や、やだって、……もう、だめ……んぐ、」
激しい口付けに息が上がる、限界寸前の体を後ろに反らして快感を逃した、その瞬間。
「あぁっ!」
鋭い歯が肩に食い込む、その痛みで体が弾ける。強制的に追い立てられ精を放った身体は、余韻で震えている。
「……はぁ、くっそ……」
今日もやられっぱなし、このままわけがわからなくなってはいつもと同じだ。震える体に気合いを入れてなんとか体を起こす。
「今日はお前にヤラレっぱなしじゃねぇぞ」
「……何をしてくれるんだ?」
「ふふん」
起き上がり、男の下着を食んで下ろす。下半身は雄々しく立ち上がり、大きくなっている。
「デカすぎだろ…」
過去経験したことのないレベルの大きさに若干ビビりながらも、裏筋を攻め舌で感触を楽しむ。上目で伺った男の顔はまだ余裕がありそうでムカつく。
口を開け男の陰茎を含むが、到底全部は収まらない。
(くそ、こんな規格外のモンどうやって攻めりゃいいんだよ)
可能な限り口に含み、入らない部分は手を使って補う。喉を開いて先端だけでも中で締める。
「っん、ふ、んぐ」
苦しい、が不可能ではない。
「…………、っ」
何度か繰り返すうち徐々に育っていくそれ、上目で覗く男の顔がわずかに快感で歪んでいるのが見える。
(俺だって、テクはあるんだ。あんまり発揮できてないだけで)
さぁ、ここから追い上げようか、と思った瞬間。
「んぐ、」
男の大きな掌が後頭部にまわり、下半身に押しつけられる。
「んん、っ、んぐ」
苦しい、苦しい、息ができない!
何度も押し付けては離される、その度に水面から顔を出すように必死で息をする。
「……はぁ、」
気持ちよさそうな声が頭上から響く。この男は俺で気持ちよくなってるんだ、そう考えると苦しいのも気持ちよく感じる。いつも通り俺の頭はおかしい。
「……ぅ」
男が小さく震える。喉の奥で弾ける感触、鼻から息をして反射を逃し、意識してゆっくり嚥下する。鈴口を軽く啜った後口から陰茎を引き抜き、口角についた精液を舌で舐め取る。
「…………ご馳走様」
邪魔な長い髪を耳にかけてよける、ちょっと滲んだ涙はご愛嬌ということで。ふふん、俺だってやればできるんだよ。
自慢げに男を見上げると……
「……ひ、」
その時のシアンの目は、完全に獲物を前にした捕食者のそれだった。
「なんでキレてんだよ!おかしいだろ!ってか元気になってるのは何!?」
「…………ふぅーー、経験がないわけがないと分かってはいたが、実際他の男の影がチラつくとどうしても抑えられないものがあるな。一生懸命奉仕する愛おしさと過去への嫉妬で頭がどうにかなりそうだ」
本当に混乱してるらしい男の様子に、ちょっと驚く。
「まぁ、流石に多少の経験はあるだろ、俺だって子供じゃないんだし」
「分かっている、だから困ってるんだ」
「いいじゃん別に、ちょっとくらい経験あっても処女なんだし」
「……………………は?」
なんだ、その顔は。別にいいだろ
「……いや、だから俺の体に入るのはお前が初めてなんだし、他の細かいことは気にしなくていいだろ」
なんか童貞告白するみたいで謎に気恥ずかしいな、いや男で処女は別に恥ずかしくないか。
「……ってか、反応ないの恥ずいんだけど……っひ!」
男の目は先ほどの比ではないレベルでギラついていた。それこそ、人を殺せそうなレベルで。
「なんでだよ!こえぇって!」
「……これは、お前が悪い」
「はぁ!?なぜ!?ってかデカすぎだろ!!どうなってんだお前!!!」
「さぁ、夜は長いぞ、楽しい夜にしよう」
だから、その笑顔、怖いんだって!
「……っ、ふぁ、……んあぁ、」
男の太い指が後孔で蠢く、狙いをつけた指に中のしこりを擦られ体が勝手に跳ねる。
どれくらい時間が経ったのか、とろけた頭ではもう何もわからない。
目線でねだると微笑んで口付けてくれる愛しい男、啄むような触れ合いが嬉しくてどんどんぐずぐずになる。
「っあ!あ、ぃや…」
「……もう3本だ、あと少し頑張れるか?」
「……ん、」
腹の異物感とときどき弾ける快感で頭がいっぱいになる。あやすように口付けられ、身体中を愛でながら広げられる。
意識が朦朧としてきた頃、耳元でシアンが囁いた。
「……いいか?」
余裕に見せていた男の切羽詰まった声にちょっとときめく。
「……いいよ、全部あげる」
男の首に腕を回して抱きつく。
「正面からは……」
「顔見てしたい」
「辛いかもしれないぞ」
「いいよ」
本当はちょっと怖い、昔の嫌な記憶が頭を過ぎったりする。
でもお前なら全部預けられるから、だから
「お前なんだって、感じながらしたい」
「あぁ、俺だけだ」
グッと固いものが後孔に触れる
「……ぅ、あ」
太く長大なそれがゆっくり中に入ってくる、圧迫感で苦しい、苦しいはずなのに、
「……痛いか?」
溢れた涙を拭き取られる、心配そうなシアンの声
「違う、お前と、…やっと一つになれたって、そう思ったら」
「……あぁ、俺たちは一緒だ、約束したろ」
「うん」
キスを繰り返し圧迫感に体が馴染むのを待つ、
「ぁあ、う」
少しずつ腹の中を犯す存在感、その杭が今まで何度も教えられたしこりを穿った瞬間、今までとは比べ物にならない快感が体を走り抜けた
「ぁんっ!やぁ」
「覚えのいい体だ、偉いぞ」
「……ふは」
褒められて体の力が抜ける
「んんっ!、あぁ、やっ!つよ、すぎ、」
激しい抽挿に頭が白く弾ける。痛みも圧迫感も、全部置き去りにした強烈な快感。必死で目の前の男にしがみつく。
「あぁ、や、お前っ、手加減しろよ!」
「してる」
「嘘っ!ぁん」
悪態の合間に嬌声が混じる、暴力的な気持ちよさに振り回される。
激しさの中ふと目を開けたとき、
(……なんだ、お前も一緒なんじゃん)
目の前の男の顔に浮かぶ余裕のない表情、自然と笑みが浮かぶ。
「なぁ、気持ちぃな」
「……あぁ、最高だ」
繋がったまま激しく口付けあい、そのまま強く腰を打ちつけられる。前で立ち上がり雫をこぼすそれを、男は優しく擦る。
「や、だめ、っいっちゃ」
「我慢しなくていい」
「あぁ、っん!」
同時に与えられる激しい快感、俺はすぐに白旗をあげる。自身の陰茎を掴んで男に懇願する
「や、だめ。一緒がい……、」
「っぐ、あんまり可愛いことを言うな」
「一緒っていった」
「……そうだな、じゃぁもう少し頑張れるな?」
覆い被さる男が微笑む
「あぅ!や、ぁん!」
激しい抽挿が再開される、奥も手前も、触れられる場所が全部気持ちいい。
どんどん高い場所に連れて行かれる、一緒にのぼっていく感覚、気持ちよくて、幸せで、勝手に言葉が溢れる。
「っ好き、大好き」
「俺もだ、愛してる」
深く口付け、果てる。
「ぁあ、う」
腹の奥が濡れる感触、初めての感覚に腰が甘く震える。お腹をさすって、小さく呟く
「……ん、うれし」
シアンと愛しあった証、このままずっとお腹の中に入れときたい。
「……、お前は」
「え?」
「煽るのも大概にしろよ」
「え、いや。待て!なんでそんなデカく」
「お前が悪い」
「なんで!?ちょ」
覆い被さる獣、夜はまだまだ終わらないらしい。
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