緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#7

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 居間に上がらせてもらい、改めて、挨拶をした。
 「遠い所、わざわざ済まないね…。最近、神社の方は、朝と夕、それから時間が空いた時に、足を運んでいるだけで、殆どは無人にしているんですよ。」
 お茶の入った湯飲みを、私たち三人の前に差し出し、そう語った。
 「何せ、参拝客も滅法減って、今じゃ、副業でもしないと、食べていけない世の中ですから…。」
 物腰の柔らかい口調で、そう言って退ける、生駒さんの、その姿は、“頑固オヤジ”からはかなりかけ離れた人物だ。
 「そうですか…。私が言うのもあれですけど、世の中、何処も不景気ですからね…。我々テレビ業界も、ネットの波に、飲まれつつありますからねぇ…。」
 寺井さんが、世間話に、花を咲かせる。
 「そうだろう…。ところで、今日は、同意った要件で、いらしたのですか?まさか、神社の取材ではないでしょう?もしそうなら、下調べも無しに、神社の方を先に見に行ったりしませんでしょうに。」
 「察しが速くて助かります。今回お伺いした件は、他でもなく、例の洋館についてです。」
 寺井さんが、真剣な口調で、今回の取材内容を、説明しだした。その間、私と大谷は、口を挟む隙が無かった。
 「なるほど…。話は分かりました。確かに私は、あの洋館について、ある程度の事は、知っていますし、それを、貴方方にお話しするのも、可能です。」
 その言葉を聞いて、私には、嬉しさと怖さの感情が、ほぼ同時に襲ってきた。
 「ですが、条件が、一つ。これは、“私”から聞いたと、絶対漏らさないで頂きたい。」
 「…要望とあらば、そちらに従いまし、録音録画等は、致しませんので、ご安心下さい。」
 寺井さんが、そう即答し、胸元のポケットから、メモ帳を取り出した。
 「解りました。では、お話しします。」
 


 これは、今から40年近くも前の話です。当時、あの洋館には、立花夫妻と、その子ども、長男、長女、次男からなる3人、それから、使用人が1人、合わせて6人が暮らしていました。
 夫婦仲は大変良く、周囲からは、“おしどり夫婦”ともてはやされていました。子どもたちも、それぞれ歳は離れていたものの、特別仲が悪い訳でもなかった。
 だが、ある日突然、長女の失踪により、その平和な日常は、脆くも崩れてしまった。
 一家と警察、村の若い衆総出で、森の中や、通学路周辺の河川など、捜索したが、発見には、至らなかった。
 彼女が容姿端麗であったことから、何かしらの事件に巻き込まれたとして、町全体で噂になり始めた矢先、今度は、長男が突如失踪しました。
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