緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#13

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 「中もまぁまぁ、綺麗だな。」
 寺井さんが、照明で、辺りを照らした。外見同様、建物内は、埃が少し積もっているくらいで、痛んでいる箇所や、朽ちている部分などは、見受けられない。
 これ程古い廃墟なら、雨漏りや、白アリなどの影響で、屋根や床が抜けて居ても、不思議ではない。寧ろ、そっちの方が、自然だろう。だから、これ程まで、綺麗なのは、不自然だ…。
 「誰か、手入れでもしに来ているんですかね…。」
 大谷が、そう呟いた。
 「それだったら、こんなに埃は積もらねぇだろう。」

 それから、玄関で、内部の様子などを、撮影し、私たちは、スリッパに履き替え、廊下に上がり込んだ。
 多少床が軋む音がするが、それでも、歪むことなく、歩ける。
 私たちは、一番近くにあった、右側の扉を開けた。
 そこは、大広間らしく、長いテーブルが一つと、16脚程の椅子が、周りに並んでいた。また、窓際の中央の壁には、暖炉の様なものがあり、煙突が、天井まで伸びている。
 奥の方には、大きなグランドピアノが、鎮座している。
 「天井高いですね…。シャンデリアまで、ある…。」
 大谷の、その言葉に釣られ、私も天井を、見上げた。
 その瞬間だった。視界の端に、何か、動くものを、捉えた。
 私は、慌てて、そちらの方を、見た。そこには、何の変哲もない、出窓。位置的に、玄関前の庭が、見える筈だ…。
 私は、恐る恐る窓の方に、歩みを進め、外の景色を眺めた。
 特に何も変わった様子はなく、私たちのワゴン車と、建物全体を照らす、照明が、数機あるだけだった。
 「どうかしました?」
 「何でもない…。」
 私は、ただの見間違いだと思い、窓の傍を離れた。
 

 「ここが、入って直の大広間です。かなり、綺麗に整理されていて、一瞬“廃墟”と言うのを、忘れてしまう程です。
 今のところ、“不気味”と言うだけで、特段不思議な事や、不可解な現象等には、遭遇していません。」
 大広間の入り口の前で、私たちは、収録をし、次の部屋へと向かった。
 お広間を出て、廊下を挟み、反対側の扉を開けた。
 部屋の大きさは、30畳以上は、くだらないだろう。
 中央には、小さいテーブルがあり、それを取り囲むように、座り心地が良さそうな、ソファや、肘掛け椅子が、並べられている。
 窓辺の方には、二人が向かい合わせで、座れるような、椅子と机が、3組程ある。
 「ここは、応接室といった所か…。ご丁寧に、バーカウンターまで、あるな。」
 寺井さんの言葉に、私の視線も、そちらに向けた。
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