43 / 72
廃洋館
#23
しおりを挟む
足音は、革靴の様な、小気味いい物だ。だが、それが、一段と、恐怖を煽った。何故なら、それ以外の音は、私たちの呼吸音以外、何も聞こえないからだ。
窓の外の風の音や、野生動物の鳴き声でも、聞こえれば、只々“怖い”だけで、済むのだが、不気味だけが、漂うこの空間では、たった一つの物音が、恐怖へと、誘ってしまう…。
足音は、暫く歩き、ほんの少し、遠ざかった後、立ち止まり、書斎の方にある、扉を、ギィーっと、音を立て、開け、部屋の中に、消えて行った。
「行くぞ。」
寺井さんは、そう言うと、先陣を切り、足音が、消えた方に、歩き始めた。私は、彼の後ろに、只々、着いていくしかなかった。
「……。」
扉の前に着くと、部屋の中から、話声が、聞こえてきた。当然、私たちの声ではない。
だが、一つの声は、聞き覚えがあった。
さっきの一階で見た、男性の声。そして、さっきとは違う、女性の声が、もう一つ、聞こえてきた。
私たちは、もう一度、耳を澄ませた。
「復讐は、済んだか?」
「はい…。ありがとう、兄さん。私の、やりたい事は、済んだ。後は、何でも、従うよ。一人も、二人も一緒でしょ?」
「何を言う、ナツミ。お前は、もう、完璧な存在だ…。警察に捕まりなどしない。何せお前は、もう………。」
最後の言葉だけ、何故か、聞こえなかった。いや、ひょっとしたら、聞くのを、拒んでいたのかもしれない…。
「取り敢えず、もう一度、隠れていてくれ。親父たちが、騒ぎだしたら、また面倒だろう…。」
男は、そう言った直後、部屋の中から、またしても、扉を開ける音が聞こえた。
だが、それは不自然だ…。さっき、私たちが部屋に入った時。出入口以外の扉なんて、見当たらなかった。だから、扉の音が聞こえるなんて、あり得ない…。
扉が閉まる音がし、部屋の中は、沈黙を取り戻した。
「入るぞ…。」
寺井さんのその言葉に、私と、大谷は、頷き、部屋の中に入った。部屋の中は、鼻をつんざく様な、生臭い匂いが、漂っていた。
私は、思わず、鼻と口を、両手で抑え、鼻に入る匂いを、少しでも、軽減させた。それでも、指の隙間から、入り込む異臭は、どうしても、防ぎきることは、出来ない…。
「本来なら、特大ニュースになるんだがな…。」
寺井さんが、何かを見つけたのか、机の脇を、スマホのライトで照らした。
私は、その一部が、視界に入ってしまい、思わず、悲鳴を上げたくなった。
だが、口を覆っていたお陰で、息を飲むだけに、収まった。
「犯人は、ナツミという、女性で、間違いなさそうだな…。」
窓の外の風の音や、野生動物の鳴き声でも、聞こえれば、只々“怖い”だけで、済むのだが、不気味だけが、漂うこの空間では、たった一つの物音が、恐怖へと、誘ってしまう…。
足音は、暫く歩き、ほんの少し、遠ざかった後、立ち止まり、書斎の方にある、扉を、ギィーっと、音を立て、開け、部屋の中に、消えて行った。
「行くぞ。」
寺井さんは、そう言うと、先陣を切り、足音が、消えた方に、歩き始めた。私は、彼の後ろに、只々、着いていくしかなかった。
「……。」
扉の前に着くと、部屋の中から、話声が、聞こえてきた。当然、私たちの声ではない。
だが、一つの声は、聞き覚えがあった。
さっきの一階で見た、男性の声。そして、さっきとは違う、女性の声が、もう一つ、聞こえてきた。
私たちは、もう一度、耳を澄ませた。
「復讐は、済んだか?」
「はい…。ありがとう、兄さん。私の、やりたい事は、済んだ。後は、何でも、従うよ。一人も、二人も一緒でしょ?」
「何を言う、ナツミ。お前は、もう、完璧な存在だ…。警察に捕まりなどしない。何せお前は、もう………。」
最後の言葉だけ、何故か、聞こえなかった。いや、ひょっとしたら、聞くのを、拒んでいたのかもしれない…。
「取り敢えず、もう一度、隠れていてくれ。親父たちが、騒ぎだしたら、また面倒だろう…。」
男は、そう言った直後、部屋の中から、またしても、扉を開ける音が聞こえた。
だが、それは不自然だ…。さっき、私たちが部屋に入った時。出入口以外の扉なんて、見当たらなかった。だから、扉の音が聞こえるなんて、あり得ない…。
扉が閉まる音がし、部屋の中は、沈黙を取り戻した。
「入るぞ…。」
寺井さんのその言葉に、私と、大谷は、頷き、部屋の中に入った。部屋の中は、鼻をつんざく様な、生臭い匂いが、漂っていた。
私は、思わず、鼻と口を、両手で抑え、鼻に入る匂いを、少しでも、軽減させた。それでも、指の隙間から、入り込む異臭は、どうしても、防ぎきることは、出来ない…。
「本来なら、特大ニュースになるんだがな…。」
寺井さんが、何かを見つけたのか、机の脇を、スマホのライトで照らした。
私は、その一部が、視界に入ってしまい、思わず、悲鳴を上げたくなった。
だが、口を覆っていたお陰で、息を飲むだけに、収まった。
「犯人は、ナツミという、女性で、間違いなさそうだな…。」
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
雨が止むとき、人形は眠る
秋初夏生
ホラー
「雨の日に人が突然倒れる」という不可解な事件が、金沢で続発していた。
冥府庁調査課の神崎イサナと黒野アイリは調査の末、ひがし茶屋街に佇む老舗の人形店「蓮月堂」へ辿り着く。
そこでは“誰も作った覚えのない人形が、夜ごと少しずつ増えている”という奇妙な噂が立っていた。
病に伏す人形師・桐生誠士は、異変の真相解明を二人に託し、さらに姿を消した元弟子の人形師“斎宮”を探してほしいと願う。
増え続ける人形、曖昧に濁される証言、消えた記録。静かな雨音の下で、隠された想いが少しずつ輪郭を帯びていく。
これは、失ったものを手放せなかった人間の執念が引き起こす、じわじわと心を侵す怪異の物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる