緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#25

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 隠し扉なんて、ドラマや漫画の世界での話だと思っていた。実際にあったとしても、隠し金庫程度だろう。人一人が、入れる程度の仕掛け扉など、滅多にないだろう…。
 「なるほどな。だが、どうやって開ける?」
 隠し扉とだけあって、当然、ドアノブや鍵穴の様なものは、一切見当たらない。
 「漫画とかなら、何処かの本を動かせば、開く仕組みなんでしょうけど…。」
 大谷が、本棚の本を調べ始めた。
 「本以外にも、あるかもしれませんね…。」
 私も、部屋の中にある小物や、机の中等を調べた。だが、それらしい仕掛けのスイッチ等は、見当たらない。
 
 「ないな…。」
 暫く3人で、部屋中を調べたが、扉への手がかりに繋がる様な物は見当たらなかった。
 ダメもとで、扉の辺りの棚を、押したり引いたりしてみたが、当然開かなかった。
 「大谷、何か分かったか?」
 寺井さんが、大谷にそう訊ねた。大谷は、本棚の調査止め、机の上に置かれていた、例の儀式についての本を眺めていた。
 「いや、流石に分かりません…。儀式については、細かく記載されていますが、部屋の作りについては、載っていませんよ。」
 「そうか…。」
 寺井さんは、落胆した様にそう答え、考え込むように部屋の中を歩き回った。
 大谷も、本を眺めながら、その場に立ち尽くしていた。私はというと、隠し扉の本棚の前に、背を預け座り込んだ。直傍に、血に濡れた遺体があるというのに…。もう、身体が慣れてしまっていた。血の匂いも、息をしていない、遺体の不気味さももう既に、気にならなくなってしまっていた。
 だが、それでも、体はもう疲れ切っていたらしく、直様眠くなってしまった…。それに加え、コツコツと寺井さんの靴音が、小気味よく、響き渡り、まるで子守唄の様に、私の耳と、脳を癒し始めた。
その時だった。靴音が、一瞬だけ、違和感を覚えた。何故か、一段と響いた。
 それに、寺井さんも気が付いた様らしく、私の顔を、見詰めた。私もそれに応える様に、頷いた。
 私は、立ち上がり、今の違和感のあった床の辺りに向かった。
 「お前も気が付いたか。」
 「はい。ここだけ、音が違いましたね…。」
 そこは、机の直傍の、ある一部の床だった。床は絨毯で覆われており、傍から見れば、何の変哲もない、只の床だろう。だが、叩けば、すぐわかった。ここだけ、狭い空間がある様な、音が、床下に響いた。そして、何かを感じ取ったのか、寺井さんは、そこの床を、絨毯越しに、押した。
 すると、数センチほど、沈み込み、何処からか、何かが外れる音がした。
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