緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#26

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 さっきまで本棚だったところが、ほんの少し、手前側に動いた。
 「大谷、手伝え。」
 寺井さんと大谷が協力し、本棚もとい、隠し扉を、力いっぱい引っ張った。
 
 中は、人が一人、入れる程度の小さな空間と、これまた狭い、階段が、上に続いている。
 壁と床は、全て木製で、凝った彫刻や、装飾などは、一切見受けられない。その所為か、明かりはある物の、薄暗く肌寒ささえあった。
 今まで見てきた部屋や廊下とは、まるで雰囲気が違う。
 「行ってみますか…。」
 大谷が、先陣を切り、階段を昇って行った。
私と寺井さんも、その後に続いた。
 「……。」
 階段を踏みしめるたびに、木の板が軋む音が響き、不気味さのレベルは、カンストしていた。
 「私、こういった、お化け屋敷、苦手なんですよ…。」
 遊園地などにある、お化け屋敷は、まだ、脅かしに来ているから、まだびっくりするだけで済む。その方が、まだ、人の気配が感じられるから、何となる。
 だが、こういった、何もない恐怖こそ、一番怖い。幸い、今は、大谷や寺井さんが居るから、喉から飛び出そうな、心臓を、何とか飲み込めている。
 「僕も怖いですよ…。」
 大谷がそう答えた。
 「でも、ここまで来たら、好奇心の方が勝っています。この屋敷が、どういう建物なのか、気になって仕方ないです。」
 「大谷も随分と、落ち着いてきたな。さっきの本で、何か見つけたか?」
 「はい…。それを確かめてみたいです。」
 本の内容は、私には、イマイチよく分からなかったが、大谷にとっては、何か、気になる点が、あったらしい。
 「何が書いてあったんですか?」
 「……あまり、口に出して言えないです…。なので、この眼で確かめる為に、今ここを上っている訳です。」
 
 
 階段を上り、踊り場を二回通り過ぎた後、私たちは、階段を上り切った。そこには、少し広めの空間の四隅に、これまた木でできた、牢屋の様な物が、4部屋点在していた。
 「ここが、“屋根裏の牢”か。」
 「何だって、こんな所を作ったんですかね。」
 私は、一番近くにあった、牢屋の中を見た。当然ながら、中には、誰も居ない。あるのは、ベッドの様な、簡素な寝床くらいだ。
 「“怪物化”した人物を、閉じ込めておくためです。」
 大谷がそう言い、奥の牢屋の方に、歩を進めた。
 「間違いない様ですね…。」
 そこで、何かを発見したらしく、牢屋の中を見据えていた。
 「怪物化した人物って、何だ?」
 私と、寺井さんも、彼の見詰めていた、牢屋の中を見た。するとそこには、血の様な赤い液体が付着した、包帯が、散らばっていた。
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