134 / 281
ファイルⅧ:二つの事件
#13
しおりを挟む
「…。」
梅木警部始め、その場に居る刑事たちは、押し黙った。
言われてみれば、確かにそうだ。今回の事件は、当然人命がかかっている。
一刻も早く、事件解決が望まれる現場で、誰が信用できないとか、何が気に食わないだとか、言っている場合ではない。
一番、我々の事を信じているのは、人質に取られている、被害者達だ。私たちが、私たち自身を信用しないで、どうするのか…。
「梅木警部、ここは、彼等に賭けてみましょう。彼等の力は、私も保証します。」
私は、初めて上司に意見したかもしれない。
だが、不思議と恐怖心は無かった。
「…分かった。その代わり、危険だと思ったら、直様我々に主導権を渡してもらう。
少なくとも、お前たちは、一般市民だ。被害が及んだら、それこそ警察の恥だ。
それは、死んでも守ってもらう。良いな?」
梅木警部は、日下部さんに睨みを利かせ、そう彼等に言い聞かせた。
『熱いねぇ…。』
スマホの向こうで、柏木さんの呟きが聞こえた。
『話は纏まったようだね。では、改めて、任せるよ。ホームズの諸君。』
笹野次長が、そう言うと、スマホの通話が切れた。
「と、言うわけです。今、我々のメンバーは、もう二人、追加で来ます。それまで、犯人の要求を聞き出すことと、時間稼ぎ、お願いします。」
日下部さんが、梅木警部に指示を出した。
梅木警部は、渋々了承し、全員を持ち場に着かせた。
「二人って、誰が来るんですか?」
私はこっそりと、日下部さんに訊ねた。
「我々にも、現場指揮者が必要です。なので、アマキ班から二人。アミさんと、ソウさんが、こちらに向かっているそうです。」
それを聞いて、安心した半面、不安になった自分もいた。
相沢さんは確か、警察嫌いだったはず…。そんな彼が、私たちと一緒にやっていけるのだろうか…。
「あいつも、何だかんだで、仕事が出来る男です。クドーさんが思っている様な事は、起きませんよ。」
私の心象を察したのか、大竹さんが、そう話した。
「それより、さっきのクドーさんの、大見え、カッコよかったっすよ。」
その言葉には、少しドキリとした。
「そ、そうですか?
まぁ、目的が一緒なので、なるべく確実な方を選んだ方が良いかなぁと…。あはは…。」
あまり褒められ慣れていない為、ぎこちない笑いしか、出てこなかった。
それでも、やはり、褒められれば、悪い気はしない。
コンビニの店内から、動きがあったのは、その直後だった。
ガシャン!と大きな音が店の外まで響き渡った。
「時間稼ぎとか、言っていられなくなったな…。」
梅木警部始め、その場に居る刑事たちは、押し黙った。
言われてみれば、確かにそうだ。今回の事件は、当然人命がかかっている。
一刻も早く、事件解決が望まれる現場で、誰が信用できないとか、何が気に食わないだとか、言っている場合ではない。
一番、我々の事を信じているのは、人質に取られている、被害者達だ。私たちが、私たち自身を信用しないで、どうするのか…。
「梅木警部、ここは、彼等に賭けてみましょう。彼等の力は、私も保証します。」
私は、初めて上司に意見したかもしれない。
だが、不思議と恐怖心は無かった。
「…分かった。その代わり、危険だと思ったら、直様我々に主導権を渡してもらう。
少なくとも、お前たちは、一般市民だ。被害が及んだら、それこそ警察の恥だ。
それは、死んでも守ってもらう。良いな?」
梅木警部は、日下部さんに睨みを利かせ、そう彼等に言い聞かせた。
『熱いねぇ…。』
スマホの向こうで、柏木さんの呟きが聞こえた。
『話は纏まったようだね。では、改めて、任せるよ。ホームズの諸君。』
笹野次長が、そう言うと、スマホの通話が切れた。
「と、言うわけです。今、我々のメンバーは、もう二人、追加で来ます。それまで、犯人の要求を聞き出すことと、時間稼ぎ、お願いします。」
日下部さんが、梅木警部に指示を出した。
梅木警部は、渋々了承し、全員を持ち場に着かせた。
「二人って、誰が来るんですか?」
私はこっそりと、日下部さんに訊ねた。
「我々にも、現場指揮者が必要です。なので、アマキ班から二人。アミさんと、ソウさんが、こちらに向かっているそうです。」
それを聞いて、安心した半面、不安になった自分もいた。
相沢さんは確か、警察嫌いだったはず…。そんな彼が、私たちと一緒にやっていけるのだろうか…。
「あいつも、何だかんだで、仕事が出来る男です。クドーさんが思っている様な事は、起きませんよ。」
私の心象を察したのか、大竹さんが、そう話した。
「それより、さっきのクドーさんの、大見え、カッコよかったっすよ。」
その言葉には、少しドキリとした。
「そ、そうですか?
まぁ、目的が一緒なので、なるべく確実な方を選んだ方が良いかなぁと…。あはは…。」
あまり褒められ慣れていない為、ぎこちない笑いしか、出てこなかった。
それでも、やはり、褒められれば、悪い気はしない。
コンビニの店内から、動きがあったのは、その直後だった。
ガシャン!と大きな音が店の外まで響き渡った。
「時間稼ぎとか、言っていられなくなったな…。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる