探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅪ:先手必勝

#16

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 「この方が、山田さんの本名と、個人情報ですね。」
 女性スタッフは、パソコンの画面を、示した。
 「宍戸優樹。ちゃんと、免許証の提示もしてあるね。クドーさん、照会できる?」
 「今問い合わせてます。それにしても、三嶋と、どんな関係があるんですかね…。」
 「それを、今、前園さんに調べて貰っています。」
 それから、数分後、免許証の照会結果が出た。偽物ではなく、本物らしく、名前や住所、生年月日、顔写真は、全て間違いがないとのこと。ただ、前科や違反で捕まった経歴はないらしく、分かるのは、免許証に書いてあること以外は、不明とのことだ。
 「そんな真面目な彼が、この事件に携わっていると考えると、少しやるせないですね…。」
 私がそういうと、京子さんも賛同した。
 「きっと裏があるんだと思う…。」
 私たちは、バックヤードを後にし、宍戸が居るであろう、個室に向かった。
 通路の左右の壁には、びっしりと、本棚が並べられており、人がすれ違うのもやっとといった、狭さだ。
 私たちは、奥の方にある、個室へと向かった。その部屋が、宍戸が一週間ほど滞在している、部屋らしい。
 「京子さんは、下がっていて下さい。警察が前の方が、怯みやすいので。」
 「気を付けて下さい。三嶋動揺、銃を持っている可能性もあります。」
 「その時は、逮捕する口実ができますね…。」
 銃が怖くない訳がないが、それが事情聴取をしない、理由にはならない。話を聞かなければならないことには、変わりないのだから。
 コンコンコンッと、三度ノックをした。すると、徐にドアが開き、眼鏡をかけた男性が顔を覗かせた。
 「はい、何か?」
 「宍戸優樹さんですね?少しお話良いですか?」
 そういい、警察手帳を提示した。すると、宍戸は、血相を変え、ドアを閉めようとした。だが、京子さんが、それを許さず、ドアの隙間に足を、挟めた。
 「無駄な抵抗はしない方がいいですよ?」
 京子さんが、そういった瞬間だった。宍戸は、個室のテーブルに置かれていた、ドリンクのカップを、蹴り倒した。
 「あ!」
 中に入っていた液体は、個室内のパソコンに、飛散した。
 私たちが一瞬怯んだ隙に、宍戸は、ドアを蹴破る様に、押し退け、狭い通路を、走っていった。
 私は京子さんの前に出て、宍戸を負った。
「待て!」と言って、待つわけがないのだが、店内に居る客や、スタッフに“異常事態”だということを、伝えなければならない。
 宍戸は、逃げながらも、本棚にあった漫画本や、貸出用の毛布などを、落とし、障害物を増やして行った。
 そして、非常階段の前に来た時、外側から扉が開いた。
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