探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅪ:先手必勝

#17

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 「よくやった、工藤!」
 男性刑事2人が、非常階段の方から、現れた。
 大の大人の男性、しかも刑事二人ともなれば、後は、怖いもの無だろう…。私の頭の中で、一瞬安堵の感覚が、過ぎった。ただそれは、ただの油断に過ぎなかった。
 宍戸は、取り押さえようとしている男性刑事の前で、屈み、足を払った。男性刑事も、その咄嗟の動きには、流石に反応できなかった様で、簡単に、前のめりに、倒された。
 「行ったぞ!」
 非常階段から、もう一人の男性刑事が、立ちはだかった。今回は、それなりに間合いを取って、取り押さえに掛かった。
 だが、その動きも読まれたのか、簡単に腕の関節を決められ、体制を崩した所を、交わして、非常階段を下りて行った。
 その身のこなしと、格闘に関しての、センスは、常人のそれを、遥かに超えている。
 「やっぱり、彼も、元自衛官か…。」
 京子さんが、そう言った。
「なるほど、通りで…。」
そう言えば、確か、三嶋も元自衛官だったっけ…。って、そんな事を言っている場合ではない。宍戸に逃げられた…。
 ここまで来て、折角の重要参考人を取り逃してしまった。
 私は慌てて、非常階段の踊り場から、階下を除いた。足音からして、宍戸はまだ、階段を下りている途中らしい。
 男の脚に追いつける自信は無いが、逃すわけにも行かず、復帰した男性刑事二人と、階段に足を向けたときだった。
 「あまり急がなくても良いですよ?」
 京子さんが、スマホを片手に、そう言った。
 「それはどう言う…。」
 私がそう訊ねようとした時、階下から、鈍い大きな音が、響いた。
 「こんな日中に叩き起こされて、非情に気が立っていると思うから…。」
 
 私たちは恐る恐る、階段を降りると、地上近くの踊り場で、俯せになっていた宍戸の背中に、秋山さんが座っていた。
 「捕まえましたよ、刑事さんたち…。」
 彼はそう言うと、立ち上がり、宍戸を、持ち上げた。
 「ごめんね、こんな真っ昼間に呼び出して…。」
 「給料がもらえるなら、それで良いですよ…。それより、警察が、犯人取り逃しちゃ、マズいでしょう。」
 肩で、呼吸をしている宍戸を、男性刑事の方に、投げて寄越した。特に目立った怪我をしているわけでもなければ、関節を外されているわけでもない。さっきまでの、彼の威勢は、何処に行ったのか…。
 「それよりアミさん、俺は何すれば良いっすか?」
 「多分今、ツチヤさんが、この事件の真相を、暴いている途中だと思うから、立て籠もり犯を、捕まえて欲しい。」
 京子さんが、そう言うと、秋山さんは、指の関節を、ポキポキと鳴らした。
 「良い身体慣らしになるといいがな…。」
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