探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルXV:奪還作戦

#20

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 「組対ってことは、マル暴か…。なんだってこんなホテルの地下にいらっしゃるんですか?」
 男は河辺巡査長を睨んだ。
 「何故って…。ギャング野放しにするマル暴がどこに居るんだよ、クラブ・ジョーカー。」
 「…良いのかい?私たちに手を出すと、君たちの立場も危うくなるかもしれませんよ?」
 「それってどういう…。」
 私の質問を遮るように、河辺巡査長が会話を進めた。
 「やっぱりそうか…。だが残念。俺にはそんなもの関係ねぇ。」
 「そうですか…。では、私は先を急ぎますので、後は頼みましたよ。」
 男はそう言うと、踵を返し、他の3人の仲間を残し、歩き始めた。
 「ま、待ちなさい!」
 「待った。」
 またしても河辺巡査長に遮られてしまった。
 「どうして、止めるんですか!」
 「二兎追うものは何とやらだ。ここは、確実に仕留められる方を仕留めて、少しでも多くの情報を確保した方が良いだろ?」
 「だったら私が彼を…。」
 「そんな体で行けるのか?」
 そういわれて、初めて自分の体のダメージに目を向けた。
 骨が折れているわけではないが、腹部に強烈な痛みがあることに気が付いた。
 「……。」
 「仮に動けたとしても、また背後から襲われない保証はない。流石の俺でも、男3人相手しながらもう一度助けに行けるほど、ヒーローじみた能力は持ち合わせてないんでね。
 だから大人しく、そこに座ってろ。」
 彼はそういいながら、持っている警棒で、自分の肩をたたいた。
 「おい、さっきから聞いていれば…。お前一人で、俺ら3人を相手するって言ってるみてぇだが?」
 私を蹴り飛ばした男が河辺巡査長に向かってそう言った。
 「ん?そう言ったつもりだったが?」
 「じゃぁ、遣られても文句ねぇよな?」
 「どうでもいいから、さっさとかかって来いよ、久々の現場でウズウズしてんだからよ。」
 


 「この情報、どうやって…。」
 林田刑事がモニターに映したデータの大半は写真だった。その写真はどれも、マスコミなんかに送れば、大惨事になりかねない程の内容だ…。
 「目には目をってことで、金条組に情報提供してもらった。それと、クラブ・ジョーカ―の傘下の組は、今ウチで摘発に向かわせた。
 あとは、河辺が戻ってくるまでだが…。」
 柿崎さんがそう言った直後、会議室の扉がゆっくりと開いた。
 そこには、額から血が滴った男性刑事が、ぐったりとした工藤刑事を抱えていた。
 「クドー…。」
 私が動くより先に動いたのは、榎本真紀だった。
 「どうしたの?」
 「…医者か…わからねぇ…。途中まで意識はあった見てぇだが、急にぐったりし始めて…。」
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