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13章:香織と少年の交換日記
4-1 酔わない酒
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「珍しいですね…。彰さんも、月島さんも捕まらないなんて…。」
「ほんとね…。ジン君も来てないし…。」
賢太君が帰宅して、既に4時間程経っていた。辺りは暗くなり、街の街灯と、建物の灯りが際立っていた。
レトロの方は、お盆休み明けという事で、社会人は皆、忙しいのか、客足は少なかった。
そんな中、カウンターに頬杖を突き、力の抜けた様な声を漏らしたのは、今井さんだった。
九条さんが、昼に宣言した通り、この時間になっても、彼は戻ってくることは無かった。
こんな事、私がここで働き始めてからは、初めての事だった。
九条さんが休むことはあっても、彰さんか月島さんが、ヘルプで来てくれるのだが…。
二人も、用事が入っており、来られないとのことだった。
そのため、仕方なく、古川マスターがバーテンダーをやってくれている…。
幸い、先述通り、客が居ない為、こうやって雑談が出来て訳なのだが…。
こうも、やる事がないと、退屈だった…。
休憩時間にやろうと思っていた、大学の課題も、終わらせてしまった。だから、暇だ…。
こういう時、藤吉先生が居てくれれば、多少は話し相手になってくれるのだろうが、祖の彼すら、今日に限って、来店してくれていない…。
今井さんは、余りの退屈さに、インテリア用に、置かれているマグカップたちの配置を変え始めた。
古川マスター曰く、置き場所には、これと言った、こだわりは無いらしく、たまに、模様替えをしている。
私も、何回か、場所を入れ替えた事がある…。
「今井さんて、グラデーション気にするタイプですか?」
濃い色と、薄い色を大まかに分けられた、配置を見て、何となくそう思った。
思い返すと、彼女の自宅もそうだった。特に、ベランダに置かれている、観葉植物たちも、背が高い順に、奥の方に置かれていた。
「そうだね…。見ていて苦にならない感じにしたいから…。」
小さい声で、『よし』と呟き、配置替えが完成した。店の奥の方ら、黒や、ガラが付いている物、グレーやブラウン系統の色の物、レジカウンターの方には、白を基調としたマグが、綺麗に並んだ。
「すっきりしましたね…。」
今までこそ、特別ごちゃごちゃしていた訳では無いが、統一感が出ると、すっきりした見た目になる。
その直後、外の方から、声が聞こえた。男性と女性の声の様だ。
「ここ、前から来てみたかったんだよね。」
「困ります。息子が家に居るので。」
「ちょっとだけだから。」
「私は、飲みませんからね…。」
そんな感じの会話が聞こえた後、格子戸が、開いた。
「ほんとね…。ジン君も来てないし…。」
賢太君が帰宅して、既に4時間程経っていた。辺りは暗くなり、街の街灯と、建物の灯りが際立っていた。
レトロの方は、お盆休み明けという事で、社会人は皆、忙しいのか、客足は少なかった。
そんな中、カウンターに頬杖を突き、力の抜けた様な声を漏らしたのは、今井さんだった。
九条さんが、昼に宣言した通り、この時間になっても、彼は戻ってくることは無かった。
こんな事、私がここで働き始めてからは、初めての事だった。
九条さんが休むことはあっても、彰さんか月島さんが、ヘルプで来てくれるのだが…。
二人も、用事が入っており、来られないとのことだった。
そのため、仕方なく、古川マスターがバーテンダーをやってくれている…。
幸い、先述通り、客が居ない為、こうやって雑談が出来て訳なのだが…。
こうも、やる事がないと、退屈だった…。
休憩時間にやろうと思っていた、大学の課題も、終わらせてしまった。だから、暇だ…。
こういう時、藤吉先生が居てくれれば、多少は話し相手になってくれるのだろうが、祖の彼すら、今日に限って、来店してくれていない…。
今井さんは、余りの退屈さに、インテリア用に、置かれているマグカップたちの配置を変え始めた。
古川マスター曰く、置き場所には、これと言った、こだわりは無いらしく、たまに、模様替えをしている。
私も、何回か、場所を入れ替えた事がある…。
「今井さんて、グラデーション気にするタイプですか?」
濃い色と、薄い色を大まかに分けられた、配置を見て、何となくそう思った。
思い返すと、彼女の自宅もそうだった。特に、ベランダに置かれている、観葉植物たちも、背が高い順に、奥の方に置かれていた。
「そうだね…。見ていて苦にならない感じにしたいから…。」
小さい声で、『よし』と呟き、配置替えが完成した。店の奥の方ら、黒や、ガラが付いている物、グレーやブラウン系統の色の物、レジカウンターの方には、白を基調としたマグが、綺麗に並んだ。
「すっきりしましたね…。」
今までこそ、特別ごちゃごちゃしていた訳では無いが、統一感が出ると、すっきりした見た目になる。
その直後、外の方から、声が聞こえた。男性と女性の声の様だ。
「ここ、前から来てみたかったんだよね。」
「困ります。息子が家に居るので。」
「ちょっとだけだから。」
「私は、飲みませんからね…。」
そんな感じの会話が聞こえた後、格子戸が、開いた。
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