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13章:香織と少年の交換日記
4-2 酔わない酒
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スーツを着た、サラリーマン風の男性の後に、カジュアルな見た目をした、女性が入店してきた。
「あ、すみません、息子に一本電話掛けてきます。」
私が、お手拭きとメニュー表を、提示したと同時に、女性客が思い出したかの様にそう言い、外に出て行ってしまった。
すると…。
「マスター。彼女に出す飲み物に、酒、結構強めにして、出してくれない?」
男性客が、耳打ちする様な、低い声で、そう注文した。
昼の時は、左程でもないが、夜の場合だと、カップル客が、多かったりする。そのため、この様な注文をあらかじめする客は、珍しくもない。
だが、本人の了承なしに、そんな事をして、万が一、何か起きれば、刑事事件に発展しかねない…。
いつもなら、九条さんが、上手い具合に断ってくれるのだが…。
「…かしこまりました。」
少し悩んだ後、古川マスターは、静かにそう言い、倉庫に消えて行った。私と今井さんは、当然驚いた…。
私は、チャーム用のナッツを、厨房に取りに行く序に、古川マスターに訊ねた。
「本当に、お酒出しちゃうんですか?」
入店する直前の、彼等の会話を思い出した。
女性客には、子どもがおり、早く帰宅しなければならない。だから、飲酒をせず、真っ直ぐ帰宅したいはず。
それなのに、男性客は、無理やりにでも、酒を飲ませて、あわよくば…。なんて、下世話な考えをしているのは、簡単に察しが付く…。それに、店側が応じたとなると、私たちも、その片棒を担がされたことになってしまう。
古川マスターの事だから、何か考えがあるのかもしれないが、少し不安だった。
「お客様からの、ご注文ですからね。断るわけには行きません。」
「何か、考えでもあるんですか?」
私がそう言った時、女性客が、店内に戻ってきた。
「まぁ、余り深く考えないことです。」
古川マスターが、少し微笑んだ後、カウンターの方へと戻って行った。
二人が飲み始めてから、15分が経った頃…。客同士の話には、口を挟まない様にするため、なるべく聞き耳を立てない。それが、鉄則なのだが、客は、この二人しか居ない為、会話が、嫌でも聞こえてきてしまう…。
「それで、部長がさぁ…。」
男性客が、仕事での愚痴を、ダラダラと語っていた。正直、これに、似た様な話は、かれこれ、4度目だ…。
女性客の、相槌も、次第にひきつっているのが、聞いていても、分かってしまう…。
しかし、男性客の方は、酔いもそこそこ、回っているのか、気にする事なく、話し続けていた。
「あ、すみません、息子に一本電話掛けてきます。」
私が、お手拭きとメニュー表を、提示したと同時に、女性客が思い出したかの様にそう言い、外に出て行ってしまった。
すると…。
「マスター。彼女に出す飲み物に、酒、結構強めにして、出してくれない?」
男性客が、耳打ちする様な、低い声で、そう注文した。
昼の時は、左程でもないが、夜の場合だと、カップル客が、多かったりする。そのため、この様な注文をあらかじめする客は、珍しくもない。
だが、本人の了承なしに、そんな事をして、万が一、何か起きれば、刑事事件に発展しかねない…。
いつもなら、九条さんが、上手い具合に断ってくれるのだが…。
「…かしこまりました。」
少し悩んだ後、古川マスターは、静かにそう言い、倉庫に消えて行った。私と今井さんは、当然驚いた…。
私は、チャーム用のナッツを、厨房に取りに行く序に、古川マスターに訊ねた。
「本当に、お酒出しちゃうんですか?」
入店する直前の、彼等の会話を思い出した。
女性客には、子どもがおり、早く帰宅しなければならない。だから、飲酒をせず、真っ直ぐ帰宅したいはず。
それなのに、男性客は、無理やりにでも、酒を飲ませて、あわよくば…。なんて、下世話な考えをしているのは、簡単に察しが付く…。それに、店側が応じたとなると、私たちも、その片棒を担がされたことになってしまう。
古川マスターの事だから、何か考えがあるのかもしれないが、少し不安だった。
「お客様からの、ご注文ですからね。断るわけには行きません。」
「何か、考えでもあるんですか?」
私がそう言った時、女性客が、店内に戻ってきた。
「まぁ、余り深く考えないことです。」
古川マスターが、少し微笑んだ後、カウンターの方へと戻って行った。
二人が飲み始めてから、15分が経った頃…。客同士の話には、口を挟まない様にするため、なるべく聞き耳を立てない。それが、鉄則なのだが、客は、この二人しか居ない為、会話が、嫌でも聞こえてきてしまう…。
「それで、部長がさぁ…。」
男性客が、仕事での愚痴を、ダラダラと語っていた。正直、これに、似た様な話は、かれこれ、4度目だ…。
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