5 / 22
5 レティシアがいないのは嬉しい(ライアン視点)
しおりを挟む
親戚の家の手伝いがあると、家を出て行ったレティシアに嬉しい気持ちが隠せない。子供の夜泣きには、うんざりだった。部屋の中は、常に荒れていたし、オムツはリビングに干しっぱなしで、オモチャは散乱していた。
仕事もしていないくせに、なぜ掃除もできないんだ? レティシアが、こんなに無能だなんて思わなかった。料理も下手だし、子供を産んでからの劣化ときたら同一人物とは思えない。
赤子の世話しかしていないくせに、家事もろくにできず、女であることも忘れ、化粧もしないとは! しかも、私に、他の夫達のようにマリーの面倒を見ろという。
冗談はよせ。私は、子供が大嫌いなんだ。うるさく泣きわめくし、部屋は汚すし、うんざりだ。私が稼いだお金も家族に盗られるのが納得いかない。
なぜ、レティシアは働かない? 子供なんて、3時間ぐらい側にいなくたって死にやしないさ。近所の高位貴族の侍女にでも雇ってもらえばいいのに・・・・・・それか・・・・・・爵位のない私達は平民と変らないのだから、そのへんのカフェや花屋やパン屋で、働けばいいのに。短時間で働く女性を、いくらでも募集するところはあった。
怠け者で、醜く痩せ衰えた女なんていらないよ・・・・・・このまま、帰ってこなければいいな。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
私は王家の騎士団に所属はしているものの末端の部署で、王に間近でお会いすることはおろか、騎士団長と話すこともできない立場だ。
王宮の裏庭の警備で、もっぱら野ウサギなどの小動物が庭園に入り込むのを防いだりする仕事で交代制だった。
王宮の正面の門を守るのは、もっと上の部署で、王族を守る第一騎士団員は雲の上の存在だ。
その日も、野ウサギを追いかけ回して、それからしゃがみこんで日向ぼっこをしていた。
「おい! ライアン! 第一騎士団長のクリストファー様がお前に、ご用だそうだ。お前、なんかしたのか?」
「え? クリストファー様? ・・・・・・そんな偉い人に呼ばれる覚えなんてないなぁ・・・・・・だって、あの方はトマス公爵様の弟君で、王様のお気に入りじゃないか? つい、最近、伯爵の位も授かったよなぁ? あの華麗なる一族にはお近づきにはなりたいけれど・・・・・・なんだろう?」
私は、わけがわからなかった。末端貴族の四男の私は、家督も継げず、エリートが集まる第一騎士団の一員には声もかけることができないのに。
第一騎士団長の執務室は、王の執務室の近くにある。
「クリストファー様。お呼びでしょうか?」
私は、ノックをして執務室に入った。
「やぁ、待っていたよ。君に、ちょっとした任務を与えたい。この屋敷の警備だ」
地図を広げて確認すると、湖の畔の金持ちばかりが集まる別荘地の最も、ランクが上の場所だった。
「・・・・・・なぜ、私なのですか?・・・・・・私は第5騎士団員で雑用と裏庭の管理しかしたことがないです」
「あぁ、裏庭の管理ね? とても、頑張っていると聞いた。これは機密事項が絡んでいるから、君を見込んでお願いしたい。第一騎士団員ではない人間の方がいいんだ。この屋敷を見張ってくれ。不審な者がいたら捕まえてほしい。この屋敷の隣に、小さめのゲストハウスがあるから、そこに泊まって好きなように使ってかまわない。期間は一ヶ月だが、コックもメイドもゲストハウスには、いるから困ることはないだろう。話は以上だ」
え? 私は、狐につままれたような気がした。見張る? 機密事項? 私をみこんで抜擢した? 嘘だろう?
こんなラッキーって・・・・・・人生、ついてきたぞ!
あぁ、レティシアが出て行ってから、いいことばかりだ。あの女が疫病神だったのかもしれない。
畜生! 美人で見栄えが良かったから結婚してやったのに・・・・・・今じゃぁ・・・・・・痩せた老婆みたいだ。いつも、しけたツラして、眉間に皺を寄せて、ため息ばかりつきやがって。このまま、ほんとにずっと帰ってくるなよ。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
屋敷に着いた私は、その豪華さに驚嘆した。ここは、別世界なんだ。ゲストハウスでさえ、騎士団の集合住宅の部屋の3倍の広さだった。このリビングだけで、私の家の全体の広さがあるなんて・・・・・・格差社会にムカついてくるよ!
寝室が3つに、キッチンまでメインとサブで2つ? おまけに、通いのメイドが朝と夕方に来て、どんなに汚しても片付けてくれた。コックは常勤らしく朝、昼、晩、上等な食事を用意してくれる。
ここは、天国? 仕事は、見張るだけ・・・・・・隣の屋敷を見ているだけでいいのか? 見張るってそういうことだよな? 午前中はうとうとしながら、ひたすら見ていたが、午後にはソファで熟睡していた。
注意する上官もいない・・・・・・楽勝だ! ・・・・・・これなら・・・・・・女を連れ込んでもいいんじゃないかなぁ・・・・・・勤務時間以外の夜ならいいよな・・・・・・ゾーイ・パラダイス伯爵夫人でも呼ぶかな・・・・・・それとも・・・・・・ナタリーでもいいな・・・・・・
仕事もしていないくせに、なぜ掃除もできないんだ? レティシアが、こんなに無能だなんて思わなかった。料理も下手だし、子供を産んでからの劣化ときたら同一人物とは思えない。
赤子の世話しかしていないくせに、家事もろくにできず、女であることも忘れ、化粧もしないとは! しかも、私に、他の夫達のようにマリーの面倒を見ろという。
冗談はよせ。私は、子供が大嫌いなんだ。うるさく泣きわめくし、部屋は汚すし、うんざりだ。私が稼いだお金も家族に盗られるのが納得いかない。
なぜ、レティシアは働かない? 子供なんて、3時間ぐらい側にいなくたって死にやしないさ。近所の高位貴族の侍女にでも雇ってもらえばいいのに・・・・・・それか・・・・・・爵位のない私達は平民と変らないのだから、そのへんのカフェや花屋やパン屋で、働けばいいのに。短時間で働く女性を、いくらでも募集するところはあった。
怠け者で、醜く痩せ衰えた女なんていらないよ・・・・・・このまま、帰ってこなければいいな。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
私は王家の騎士団に所属はしているものの末端の部署で、王に間近でお会いすることはおろか、騎士団長と話すこともできない立場だ。
王宮の裏庭の警備で、もっぱら野ウサギなどの小動物が庭園に入り込むのを防いだりする仕事で交代制だった。
王宮の正面の門を守るのは、もっと上の部署で、王族を守る第一騎士団員は雲の上の存在だ。
その日も、野ウサギを追いかけ回して、それからしゃがみこんで日向ぼっこをしていた。
「おい! ライアン! 第一騎士団長のクリストファー様がお前に、ご用だそうだ。お前、なんかしたのか?」
「え? クリストファー様? ・・・・・・そんな偉い人に呼ばれる覚えなんてないなぁ・・・・・・だって、あの方はトマス公爵様の弟君で、王様のお気に入りじゃないか? つい、最近、伯爵の位も授かったよなぁ? あの華麗なる一族にはお近づきにはなりたいけれど・・・・・・なんだろう?」
私は、わけがわからなかった。末端貴族の四男の私は、家督も継げず、エリートが集まる第一騎士団の一員には声もかけることができないのに。
第一騎士団長の執務室は、王の執務室の近くにある。
「クリストファー様。お呼びでしょうか?」
私は、ノックをして執務室に入った。
「やぁ、待っていたよ。君に、ちょっとした任務を与えたい。この屋敷の警備だ」
地図を広げて確認すると、湖の畔の金持ちばかりが集まる別荘地の最も、ランクが上の場所だった。
「・・・・・・なぜ、私なのですか?・・・・・・私は第5騎士団員で雑用と裏庭の管理しかしたことがないです」
「あぁ、裏庭の管理ね? とても、頑張っていると聞いた。これは機密事項が絡んでいるから、君を見込んでお願いしたい。第一騎士団員ではない人間の方がいいんだ。この屋敷を見張ってくれ。不審な者がいたら捕まえてほしい。この屋敷の隣に、小さめのゲストハウスがあるから、そこに泊まって好きなように使ってかまわない。期間は一ヶ月だが、コックもメイドもゲストハウスには、いるから困ることはないだろう。話は以上だ」
え? 私は、狐につままれたような気がした。見張る? 機密事項? 私をみこんで抜擢した? 嘘だろう?
こんなラッキーって・・・・・・人生、ついてきたぞ!
あぁ、レティシアが出て行ってから、いいことばかりだ。あの女が疫病神だったのかもしれない。
畜生! 美人で見栄えが良かったから結婚してやったのに・・・・・・今じゃぁ・・・・・・痩せた老婆みたいだ。いつも、しけたツラして、眉間に皺を寄せて、ため息ばかりつきやがって。このまま、ほんとにずっと帰ってくるなよ。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
屋敷に着いた私は、その豪華さに驚嘆した。ここは、別世界なんだ。ゲストハウスでさえ、騎士団の集合住宅の部屋の3倍の広さだった。このリビングだけで、私の家の全体の広さがあるなんて・・・・・・格差社会にムカついてくるよ!
寝室が3つに、キッチンまでメインとサブで2つ? おまけに、通いのメイドが朝と夕方に来て、どんなに汚しても片付けてくれた。コックは常勤らしく朝、昼、晩、上等な食事を用意してくれる。
ここは、天国? 仕事は、見張るだけ・・・・・・隣の屋敷を見ているだけでいいのか? 見張るってそういうことだよな? 午前中はうとうとしながら、ひたすら見ていたが、午後にはソファで熟睡していた。
注意する上官もいない・・・・・・楽勝だ! ・・・・・・これなら・・・・・・女を連れ込んでもいいんじゃないかなぁ・・・・・・勤務時間以外の夜ならいいよな・・・・・・ゾーイ・パラダイス伯爵夫人でも呼ぶかな・・・・・・それとも・・・・・・ナタリーでもいいな・・・・・・
13
あなたにおすすめの小説
年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました
チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。
そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。
そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。
彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。
ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。
それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
世界の現実は、理不尽で残酷だ――平等など存在しない
鷹 綾
恋愛
「学園内は、身分に関係なく平等であるべきです」
その“正義”が、王国を崩しかけた。
王太子ルイスは、貴族学院で平民出身の聖女マリアがいじめられたと信じ、
婚約者である公爵令嬢アリエノール・ダキテーヌを断罪し、婚約破棄を宣言する。
だが――
たとえそれが事実であったとしても、
それは婚約破棄の正当な理由にはならなかった。
貴族社会において、婚約とは恋愛ではない。
それは契約であり、権力であり、国家の均衡そのものだ。
「世界は、残酷で不平等なのです」
その現実を理解しないまま振るわれた“善意の正義”は、
王太子の廃嫡、聖女の幽閉、王家と公爵家の決定的な断絶を招く。
婚約破棄は恋愛劇では終わらない。
それは、国家が牙を剥く瞬間だ。
本作は、
「いじめられたという事実があっても、それは免罪符にはならない」
「平等を信じた者が、最も残酷な結末に辿り着く」
そんな現実を、徹底して描く。
――これは、ざまぁではない。
誰も救われない、残酷な現実の物語である。
※本作は中世ヨーロッパをモデルにしたフィクションです。
学園制度・男女共学などは史実とは異なりますが、
権力構造と政治的判断の冷酷さを重視して描いています。
---
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる