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後編
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「おぉ、かわいいカトリーヌや。わしに会いに来たのか?嬉しいなぁー。やはり愛娘が産んだ孫は眼に入れても痛くない!」
王であるお爺様は私を溺愛してくださるし、となりにいらっしゃるお婆様の皇后様は早速私の好物を侍女に持ってこさせる。
「私、法律を変えるべきだと思いますわ!家督を嫡男が当然のように継ぐのは間違っています。子供同士も能力を競わせ、優秀な者がより上の地位につくべきです。それでこそ我が国も繁栄するでしょう!」
私はあのランカスター男爵家の嫡男メイソンを思い出し語尾に力を込めた。だって、あんな愚か者が、たかが男爵家といえど当主になるなど、この国のためにいいことだとは思えないもの。
「ふむ。実力主義だな?いいかもしれん。おい、宰相、法律を変えろ!」
弱体化していたアメジスト王国は、これにより回復の兆しをみせた。競争のない社会が、切磋琢磨する社会に変わった瞬間だった。ランカスター男爵家は私の話によってお怒りになったお母様の意向でお取り潰しとなり、もうカート様がどこにいるのかもわからない。
☆
それから3年後、すっかり繁栄したアメジスト王国に、以前から実力主義をとりいれて強国となっていた隣国、ダイヤランド帝国の敏腕宰相が祝辞を述べるためにやってきた。今日は我が国の創立記念日だからだ。彼は史上初の若い宰相で一番の実力者だという。しかも我が国の出身者らしい。
「む?あなたは、ランカスター男爵家の三男のカーク様に似ているな?」
お父様は宰相を見て思わず声をあげた。
「はい、本人でございますので」
「なんと!!我が国の男爵家の三男だった者が隣国の宰相とは!!」
周りの貴族が騒ぐなか、私はじっとカーク様を見つめた。あの時は負け犬の目をしていた。今は勝者の眼だ。高貴な豹や虎のような‥‥
「おぉ、さすがだ!それほどの実力者なら我が孫にふさわしい!どうだろう?カトリーヌと結婚しないか?」
出し抜けにお爺様がおっしゃるとカーク様は首を横に振った。
「私には、3年前にここを去るときに好きになった女性がいます。その時、私は彼女の前では情けない男だった。その女性のためにこれほど頑張れたのです。今日は愛する人を迎えに来ました。半日しかいなかった私の専属侍女です。誰に聞いても身元が不明で見つかりません。あれは幻だったのか‥‥」
私は顔をまっ赤にして、うつむきながらも、自分の髪と瞳をカーク様の目の前で変えてみせた。茶色の髪と瞳になった私を恋い焦がれていたカーク様が見つめる。
「え?リーヌ?」
私は逞しい腕にいきなりだきしめられて、そのまま大国ダイヤランド帝国の宰相の妻になったのだった。
「まぁ、あたくしの娘はたった半日の修行でアメジスト王国とダイヤランド帝国を支配するような男性の奥方様の地位に就いてしまったわ。はじめにカトリーヌが望んだように三日間させていたら、いったいどうなっていたのかしら?きっと世界を征服したわね」
私とカーク様の結婚式で、お母様はつぶやいたのだった。
おしまい
王であるお爺様は私を溺愛してくださるし、となりにいらっしゃるお婆様の皇后様は早速私の好物を侍女に持ってこさせる。
「私、法律を変えるべきだと思いますわ!家督を嫡男が当然のように継ぐのは間違っています。子供同士も能力を競わせ、優秀な者がより上の地位につくべきです。それでこそ我が国も繁栄するでしょう!」
私はあのランカスター男爵家の嫡男メイソンを思い出し語尾に力を込めた。だって、あんな愚か者が、たかが男爵家といえど当主になるなど、この国のためにいいことだとは思えないもの。
「ふむ。実力主義だな?いいかもしれん。おい、宰相、法律を変えろ!」
弱体化していたアメジスト王国は、これにより回復の兆しをみせた。競争のない社会が、切磋琢磨する社会に変わった瞬間だった。ランカスター男爵家は私の話によってお怒りになったお母様の意向でお取り潰しとなり、もうカート様がどこにいるのかもわからない。
☆
それから3年後、すっかり繁栄したアメジスト王国に、以前から実力主義をとりいれて強国となっていた隣国、ダイヤランド帝国の敏腕宰相が祝辞を述べるためにやってきた。今日は我が国の創立記念日だからだ。彼は史上初の若い宰相で一番の実力者だという。しかも我が国の出身者らしい。
「む?あなたは、ランカスター男爵家の三男のカーク様に似ているな?」
お父様は宰相を見て思わず声をあげた。
「はい、本人でございますので」
「なんと!!我が国の男爵家の三男だった者が隣国の宰相とは!!」
周りの貴族が騒ぐなか、私はじっとカーク様を見つめた。あの時は負け犬の目をしていた。今は勝者の眼だ。高貴な豹や虎のような‥‥
「おぉ、さすがだ!それほどの実力者なら我が孫にふさわしい!どうだろう?カトリーヌと結婚しないか?」
出し抜けにお爺様がおっしゃるとカーク様は首を横に振った。
「私には、3年前にここを去るときに好きになった女性がいます。その時、私は彼女の前では情けない男だった。その女性のためにこれほど頑張れたのです。今日は愛する人を迎えに来ました。半日しかいなかった私の専属侍女です。誰に聞いても身元が不明で見つかりません。あれは幻だったのか‥‥」
私は顔をまっ赤にして、うつむきながらも、自分の髪と瞳をカーク様の目の前で変えてみせた。茶色の髪と瞳になった私を恋い焦がれていたカーク様が見つめる。
「え?リーヌ?」
私は逞しい腕にいきなりだきしめられて、そのまま大国ダイヤランド帝国の宰相の妻になったのだった。
「まぁ、あたくしの娘はたった半日の修行でアメジスト王国とダイヤランド帝国を支配するような男性の奥方様の地位に就いてしまったわ。はじめにカトリーヌが望んだように三日間させていたら、いったいどうなっていたのかしら?きっと世界を征服したわね」
私とカーク様の結婚式で、お母様はつぶやいたのだった。
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