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6 クラーク王太子視点
(クラーク王太子視点)
夜会に出席している貴婦人達が騒ぎ出したが、なぁに、すぐにそんな声は収まるはずだ。いつものようにその女共に視線を向けて微笑めば、途端に頬を染めて俺のことを賞賛するはずなのだから。
にっこりと白い歯を露わにして最高の顔で微笑んでやったのに、青ざめて後ずさりしながらも、なおも非難し続ける貴婦人達。
(おかしい・・・・・・どうなっているんだ?)
「気持ち悪い笑みでしたわね。ニタァーーと、歯をむき出しにしてお笑いになるなんて、なんてお下品なのでしょう」
「きっと、私達の裸を見て笑ったのですわよ、間違いないですわ。なんて、破廉恥で下劣な王太子でしょうか!」
「んまぁ、確かに。あの眼鏡で私達の裸が見られますものね。気持ち悪いし、王族にあるまじき行為ですわ」
特に3人の、すでに若くはない貴婦人達がうるさく騒いで不快だった。
「黙れ! そなた達のような、女を卒業したおばさんの身体を見たいなどと思うほど、こちらも物好きでは無いわ! 尻のホクロなど俺は知らん」
「おばさん、ですって? 王太子殿下とはいえあまりにも失礼ですわ!」
「んまぁ、やはり見ていたのですね? 私のお尻のホクロの数を知っていて良いのは夫だけですわ。なんたる屈辱!」
「見てなどおらん! お前のようなおばさんの尻に三角を描くホクロがあるなど見たくもないわ」
俺はつい声を荒げてそう言った。だって、そうだろう? あんなおばさんのお尻を見たからって、誰が得をしたと思うのだ? 見たくもないものを見させられている俺の気持ちにもなれ!
「なんと! クラーク王太子よ。我が妻のお尻にホクロが三つ、三角を描くように並んでいるところを見たとおっしゃるのか? これは妻に対する視姦と取れる。我がドパルデュー公爵家は王家に抗議を申し入れる! ことと場合によっては侮辱罪で決闘も申し込む所存である!」
ドパルデュー公爵が俺をキッとした表情で睨む。そんなに怒ることでも無いだろう?
「いや、待て。ドパルデュー公爵夫人を視姦などするか! なんでそうなる? その胸のホクロなども見たくて見てるわけではないのだぞ! 年齢を考えてみろ。俺はあの踊り子達の裸が見たかっただけなのだ」
つい正直に白状すれば、一斉に「いやらしい!」の女性達の猛反発をくらった。俺は得意の微笑みでなんとか誤魔化そうとするが、それはさらに最悪の結果をもたらした。
「私達の裸を見てまた王太子がにやついたわ。気持ち悪い。眼鏡がはずせない、などと嘘をついているのも呆れましたわね!」
「クラーク兄上。もうふざけている場合ではありませんよ? その眼鏡をはずしてくださいよ」
「いや、これははずさないのではない。はずれないのだ」
「え? それは大変です。商人が言うには、その眼鏡は邪な思いを抱える愚か者がかけるとしばらくははずせない、ということでした」
「なぜ、それは始めに言わんのだ! アルフォンス、お前のせいだぞ」
「申し訳ありません。英知溢れる尊敬すべきクラーク兄上が、まさかその眼鏡をご自分でかけるとは思いませんでしたから。それにクラーク兄上が邪な思いを抱える愚か者だ、とも思っていませんでしたので申し上げる必要もないかと思いました」
アルフォンスの言葉にその場にいたほとんどの貴族達が共感の意を示す。もっともだ、そんな声ばかりがホールを埋め尽くし、俺は必死でそいつらに最高の笑みを贈った。
(今までのように貴族達の顔を見て微笑めば大丈夫なはずなのに・・・・・・おかしいよ。なぜ俺の魅了の魔法がきかない?)
「さきほどクラーク兄上は、この眼鏡をかけた者は国外追放するべきだ、とおっしゃった。そして、皆はそれに賛同したはず。ならば、この自ら眼鏡をかけた愚か者のクラーク兄上はどうするべきだろうか?」
アルフォンスが声も高らかに俺を断罪しだす。
(なんでこうなった?)
夜会に出席している貴婦人達が騒ぎ出したが、なぁに、すぐにそんな声は収まるはずだ。いつものようにその女共に視線を向けて微笑めば、途端に頬を染めて俺のことを賞賛するはずなのだから。
にっこりと白い歯を露わにして最高の顔で微笑んでやったのに、青ざめて後ずさりしながらも、なおも非難し続ける貴婦人達。
(おかしい・・・・・・どうなっているんだ?)
「気持ち悪い笑みでしたわね。ニタァーーと、歯をむき出しにしてお笑いになるなんて、なんてお下品なのでしょう」
「きっと、私達の裸を見て笑ったのですわよ、間違いないですわ。なんて、破廉恥で下劣な王太子でしょうか!」
「んまぁ、確かに。あの眼鏡で私達の裸が見られますものね。気持ち悪いし、王族にあるまじき行為ですわ」
特に3人の、すでに若くはない貴婦人達がうるさく騒いで不快だった。
「黙れ! そなた達のような、女を卒業したおばさんの身体を見たいなどと思うほど、こちらも物好きでは無いわ! 尻のホクロなど俺は知らん」
「おばさん、ですって? 王太子殿下とはいえあまりにも失礼ですわ!」
「んまぁ、やはり見ていたのですね? 私のお尻のホクロの数を知っていて良いのは夫だけですわ。なんたる屈辱!」
「見てなどおらん! お前のようなおばさんの尻に三角を描くホクロがあるなど見たくもないわ」
俺はつい声を荒げてそう言った。だって、そうだろう? あんなおばさんのお尻を見たからって、誰が得をしたと思うのだ? 見たくもないものを見させられている俺の気持ちにもなれ!
「なんと! クラーク王太子よ。我が妻のお尻にホクロが三つ、三角を描くように並んでいるところを見たとおっしゃるのか? これは妻に対する視姦と取れる。我がドパルデュー公爵家は王家に抗議を申し入れる! ことと場合によっては侮辱罪で決闘も申し込む所存である!」
ドパルデュー公爵が俺をキッとした表情で睨む。そんなに怒ることでも無いだろう?
「いや、待て。ドパルデュー公爵夫人を視姦などするか! なんでそうなる? その胸のホクロなども見たくて見てるわけではないのだぞ! 年齢を考えてみろ。俺はあの踊り子達の裸が見たかっただけなのだ」
つい正直に白状すれば、一斉に「いやらしい!」の女性達の猛反発をくらった。俺は得意の微笑みでなんとか誤魔化そうとするが、それはさらに最悪の結果をもたらした。
「私達の裸を見てまた王太子がにやついたわ。気持ち悪い。眼鏡がはずせない、などと嘘をついているのも呆れましたわね!」
「クラーク兄上。もうふざけている場合ではありませんよ? その眼鏡をはずしてくださいよ」
「いや、これははずさないのではない。はずれないのだ」
「え? それは大変です。商人が言うには、その眼鏡は邪な思いを抱える愚か者がかけるとしばらくははずせない、ということでした」
「なぜ、それは始めに言わんのだ! アルフォンス、お前のせいだぞ」
「申し訳ありません。英知溢れる尊敬すべきクラーク兄上が、まさかその眼鏡をご自分でかけるとは思いませんでしたから。それにクラーク兄上が邪な思いを抱える愚か者だ、とも思っていませんでしたので申し上げる必要もないかと思いました」
アルフォンスの言葉にその場にいたほとんどの貴族達が共感の意を示す。もっともだ、そんな声ばかりがホールを埋め尽くし、俺は必死でそいつらに最高の笑みを贈った。
(今までのように貴族達の顔を見て微笑めば大丈夫なはずなのに・・・・・・おかしいよ。なぜ俺の魅了の魔法がきかない?)
「さきほどクラーク兄上は、この眼鏡をかけた者は国外追放するべきだ、とおっしゃった。そして、皆はそれに賛同したはず。ならば、この自ら眼鏡をかけた愚か者のクラーク兄上はどうするべきだろうか?」
アルフォンスが声も高らかに俺を断罪しだす。
(なんでこうなった?)
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