(完結)美貌の妹にねだられた聖女の私は妹の望みを叶えてあげました(全2話)

青空一夏

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後編

(バレリー視点)

「うっ、気持ち悪い」
 私はいきなり胸がムカムカしてきて食べた物をすっかり吐き出してしまう。

「おめでとうございます。懐妊でございます!」
 ルビー宮に医者が呼ばれて、私の診察をするなり叫ぶ。お姉様がこの国からいなくなって三日後のことだった。

「まぁ、良かったわね。バレリー」
「でかしたぞ、バレリー」
「おめでとうございます。バレリー王太子妃殿下」
 両親やニクス王太子殿下、使用人達は口々に祝いの言葉を口にする。

「あ、ありがとう」
 お礼は言ったものの、少しも嬉しくはない。妊娠でこんなに気持ち悪くなるなんて聞いていない。

 食事をすると吐くし、味覚も変わりなにを食べてもおいしくない。しかも、自慢のプロポーションは膨らんでいくお腹で台無しだ。
「このお腹どこまで膨らむの? 尋常じゃない大きさよ?」
 元に戻れない気がするほどの巨大なお腹。

 
 難産の末、やっと生まれたのはなんと三つ子だった。性別は全て男、これはとても褒められたし国民も喜んでくれた。
「男子が3人も生まれて万々歳だ」
 誰もが幸せを感じたのはこの時までだった。








 私が出産してまもなく、魔獣が弱まった結界から次々と侵入して来た。今更ながら私達は神殿に行き、お姉様の行く先を探るが一通の手紙しか見つけることはできなかった。


「皆様、ご機嫌よう! そろそろ結界が弱まり困っているところでしょう? そんな皆様に朗報があります。私の結界はバレリーが妊娠している間だけ力を持つようにしておきました。ですから、バレリーはいつも妊娠していてくださいね。神様にはバレリーが妊娠しやすい身体になるようお願いしてあります」

 (ちょっと待ってよ。私は子供製造女なの?)


 それからは絶え間なく妊娠され続けている。出産するとすぐにまた妊娠する為に、毎日夫婦生活を強要されまた腹が膨らむ。私の金髪は色あせ肌つやは濁り、身体はたるみっぱなしで昔の面影はない。

(なにこれ、地獄よ。こんなの私が望んでいた幸せじゃない!)




 

 私が20年の間に経験した出産回数は13回。出産合計人数は30人。身体はボロボロで歯は抜け落ち、かつての美貌はどこにもない。

 しかも生まれた子供は王位を巡って絶えず殺し合い、なぜか賢い王子達だけが亡くなっていく。愚か者ばかりが生き残り、それもやがては魔獣の侵略で殺された。私が妊娠できなくなったからだ。

 結局私達は皆、最後は魔獣に食い殺される運命だった。お姉様がこの国を去った時から、滅びる運命だったのだ。

「お姉様、お願い・・・・・・許して・・・・・・」

 その言葉は届かない。魔獣が私に襲いかかり・・・・・・肉を裂き、鮮血がほとばしる。聖女を蔑ろにした愚かなルヴェリエ王国はこうして滅んだのだった。
 



おしまい


୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

いったん完結ですが、おまけを明後日書きます。聖女のその後です。


※人間はどれぐらい子供を産めるのでしょうか? 興味はありませんか? 

1人の女性が体験した世界最多の妊娠、出産について紹介します。ロシアの農民ヒョードル・ワシリエフさんの妻は、1725年から1765年の間に69人の子どもを産んだ記録があり、ギネス記録に認定されています。通常妊娠には10ヵ月の期間が必要となるため、彼女は多胎妊娠を何度もしたことになります。40年間のうち、4つ子を4組、3つ子を7組、双子を16組も出産しています。ワシリエフさんは、1人の女性が生涯で産んだ最多の記録と同時に、4つ子、双子の最多出産回数の記録保持者でもあります。
(ドクターマップより引用)
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