（完）愛人を持とうとする夫

１ （改）プロローグ

　「お努め、ご苦労様でございます」

　私は、旦那様を三つ指をついてお迎えする。旦那様のお名前は、信虎様。朝も早くから弓の稽古をしていらっしゃった信虎様はりりしいお顔立ちで、汗がキラキラと光り、とても麗しいのです。

「うん。今日は、ずいぶんと鍛錬に集中できた。これも、胡蝶のお陰だ」

そうおっゃって、にこりと微笑むので、私は天にも昇るような気持ちで見惚れてしまうのです。

この5歳年下の信虎様に私は、ぞっこん、惚れていたのでした。

ですから、私は、すぐに信虎様のために侍女達にお風呂を準備させました。

「いいですか？　信虎様は、大事なお方です。この屋敷では一番偉い方ですよ？　粗相のないようにしなさいね。」

私は、いつも、この言葉を侍女達に言い聞かせておりました。

そう、この方は私にとって、とても大事な旦那様なのです。私は、この方が大好きなのですから･･････