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お気に入りのドレスを奪われた私ー全ては妹のもの?
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今日はクリスマスパーティだから、私はおめかしをしなければならなかった。
一番のお気に入りの淡いブルーのドレスを着るために、侍女に手伝ってもらっていた。そこに、お母様が妹を連れて、私のお部屋に入ってきたわ。
「そのドレスをちょっと貸してくれない?」
「なぜですか?」
「なぜですって?リリアがそのドレスを着たいって言うのよ?貴女は、姉なのだから貸してあげられるでしょう?」
「え?三日前も、私の2番目にお気に入りのドレスを貸したばかりですけれど」
「あぁ、あれ?夜会で果実酒をこぼしちゃったのよぉ~もうベトベトになったから、捨てちゃったわ」
「え?そ、そんな‥‥」
「とにかく、姉なのだから、我慢なさいな。それに、貴女より、リリアのほうがそのドレスは似合うわ。似合う人間が着たほうがいいと思わない?ドレスもその方が喜ぶというものだわ」
お母様は私の侍女から、無理矢理、私の一番のお気に入りのドレスを奪い取ると、さっさと出て行った。
けれど、数分後には妹が戻ってきて私の首にかかっていたサファイアのネックレスを指さしてこう言ったの。
「お姉様。そのネックレスもちょうだい。だって、私の方が似合うでしょう?」
リリアは、天使のような微笑みを浮かべながら言った。金髪に大きな蒼い瞳の、艶やかな深紅の薔薇のような妹はなにを着ても似合う。私はそんな妹から眼をそらして唇を噛みしめた。
私は鏡を見つめる。灰色の髪と瞳。くすんだ肌の色。顔立ちは綺麗だと思うけれど、元気がなくて冴えない印象。
そんな自分の姿を見て私はため息をつくのだった。
一番のお気に入りの淡いブルーのドレスを着るために、侍女に手伝ってもらっていた。そこに、お母様が妹を連れて、私のお部屋に入ってきたわ。
「そのドレスをちょっと貸してくれない?」
「なぜですか?」
「なぜですって?リリアがそのドレスを着たいって言うのよ?貴女は、姉なのだから貸してあげられるでしょう?」
「え?三日前も、私の2番目にお気に入りのドレスを貸したばかりですけれど」
「あぁ、あれ?夜会で果実酒をこぼしちゃったのよぉ~もうベトベトになったから、捨てちゃったわ」
「え?そ、そんな‥‥」
「とにかく、姉なのだから、我慢なさいな。それに、貴女より、リリアのほうがそのドレスは似合うわ。似合う人間が着たほうがいいと思わない?ドレスもその方が喜ぶというものだわ」
お母様は私の侍女から、無理矢理、私の一番のお気に入りのドレスを奪い取ると、さっさと出て行った。
けれど、数分後には妹が戻ってきて私の首にかかっていたサファイアのネックレスを指さしてこう言ったの。
「お姉様。そのネックレスもちょうだい。だって、私の方が似合うでしょう?」
リリアは、天使のような微笑みを浮かべながら言った。金髪に大きな蒼い瞳の、艶やかな深紅の薔薇のような妹はなにを着ても似合う。私はそんな妹から眼をそらして唇を噛みしめた。
私は鏡を見つめる。灰色の髪と瞳。くすんだ肌の色。顔立ちは綺麗だと思うけれど、元気がなくて冴えない印象。
そんな自分の姿を見て私はため息をつくのだった。
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