(完結)麗しの魔王様は美貌の恋人3人に溺愛される?(旧題 イケメン社長と僕)

青空一夏

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栗は昨日から好き

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「大樹!お前、週末って予定ある?」

「えっと、ないです。なんか仕事でも、頂けるんですか?」

僕は、今日も社長の隣で給仕をしている。今日のメニューは焼き魚だ。社長様は魚の骨が苦手だ。サンマの骨をひとつ、ひとつ丁寧に取っていると、社長様が嬉しそうに僕を見ている。大根おろしにも醤油をかけてあげて、お口にハシでつまんで放り込むと、親鳥になったような気持ちだ。

「あ、俺はニンジンが嫌いなんだよ!お前食べろ!あ、この栗の甘煮も苦手だ」

「え?栗が苦手なんですか?すごく美味しいのに。僕は大好きですよ」

社長様は僕の持っていた箸を奪いとると、僕の口の中にニンジンを放り込んだ。煮物にいれたニンジンの飾り切りは紅葉の形だ。それを、食べもしないくせにしみじみと見て微笑むと僕に命令した。

「秋だなぁーー。お前、週末はどうせ暇だろう?仕事をいれといてやったから感謝しろよ!お前、会社に八時に来い!わかったな!」

「は、はい」





今日は土曜日で、バイトはないが約束どおりに会社に行くと社長はキャリーバッグをコロコロと引きながら社長室から出てきた。

「おぅ、いつもぴったりだな」

「あれ、どこかにお出かけですか?いってらっしゃい」

「お前も行くんだよ!」

なぜか、手を繋がれてオフィスビルの地下の駐車場に連れて行かれた。

「ほら、乗れ!」

社長がドアを開けた車は、『だよな!』ってかんじの車だ。まっ赤なポルシェ!似合いすぎだわ!高級車なんかに乗ったことがない僕は、おどおどしながら乗り込んだ。

「どこに行くんですか?」

「長野!小布施だ。『朱雀』って食べたことあるか?」

「ないです」

「栗の菓子だ。栗ご飯も食おう」

「え?栗は苦手だって、昨日はおっしゃっていましたよね?」

「いや、昨日から好きだ。つべこべ言わずシートベルトをしろ!」

僕は、車用の首枕を渡された。

「寝てていいぞ!ここからだと、五時間ぐらいかかる」

「はい。そこで仕事があるんですね?」

「あ?あぁ、まぁ、そうだ」

そうか、小布施で仕事があるのか。どんな仕事かな?難しい仕事でなきゃいいな。僕は学歴もないし、板前の修業も途中で頓挫したから取り柄なんて、ちょっと普通の人より料理がうまいだけだ。この会社を面接して採用されたのはとても幸運だった。


ーありがたいなぁ。でも、ペットのお世話のはずのペットがいないのはなぜなのだろう?

僕は聞けない。余計なことを聞いて、叱られた事が何度もあったからだ。板前の修業のときに言われた言葉が頭をよぎる。

「言われたことを黙ってやってればいいんだよ!余計なことは考えるな!仕事は身体で覚えろ!」

ーだよね。僕は頭がよくないからさ。なんでも身体で覚えるよ!がんばろう!



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