(完)妹が全てを奪う時、私は声を失った。

青空一夏

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2 腹違いの妹

 葬儀も終わり悲しみのなかで打ちひしがれている暇もないくらい、慌ただしく私の周りは変化していきました。お母様はこのお屋敷で一番広く日当たりの良いお部屋を自室にしておりましたが、そこにあったお母様のものは全て処分されていきました。

「この部屋は私とオクタビアのお部屋にしましょう? とても居心地が良さそうだわ! 大きなベッドを買って真ん中に置いて・・・・・・ソファも新しくして・・・・・・壁紙も貼り替えて、カーテンも替えましょう。病人が今までいたのだから、辛気くさくていけないわ。消毒も一緒にしないとね!」

 父と早速再婚したイヴェットは、私のお母様のお部屋を改装しだすのです。全てがこの継母の思い通りになっていくのを私は見ていることしかできないのでした。

「あら? おかしいわねぇ? アーソリン・オマリ伯爵夫人の宝石箱がここにあるけれど、なんでこれしかないのかしらぁ?もっとあるはずよねぇ?」

 継母は私に訝しげに聞きながら詰め寄りますが、私にはわかりません。

「ねぇ、あんたが盗ったのでしょう? 返しなさいよ! 私が伯爵夫人になったのだから、前伯爵夫人のものは当然全て私のものでしょう?」

「そうはおっしゃられても、私は知りません」

 私がそう申し上げても少しも納得しない継母は、私の部屋にまで押しかけて引き出しを開けては首をひねります。

「おかしいわねぇーー。どこにもないわぁ」

 継母がそう言いながら、私の宝石箱から一番高価なネックレスを選び出し、持っていこうとするのです。

「それは、お祖母様から頂いた大切なネックレスです。返してください!」

「ちょっと、自分の妹に初めて会ったのよ? ヴァネッサになにかプレゼントしようという温かい気持ちはないの?なんて、薄情な子かしら・・・・・・これでは先が思いやられるわ。これは私からヴァネッサに渡しますから」

 私はネックレスが惜しくて申し上げたのではないのです。大好きなお祖母様との思い出がそこには詰まっているから、とられたくないだけなのです。私の綺麗な思い出が壊れてしまう・・・・・・

 そんな思いも虚しく、継母はさっさとそのネックレスを持っていきヴァネッサに差し出しました。

「エイヴリーが是非これをヴァネッサちゃんにあげたいそうよ。たいしたネックレスではないけれど、せっかくだからもらってあげましょうね!」

「え? ふーーん。もらっておいてあげるけど、プレゼントなら箱に入れてリボンをかけるのが常識じゃないの? こんなつまらないネックレスをもらったぐらいで仲良くなんかなれるかしら?」

 ヴァネッサは口を歪めて私を軽蔑の眼差しで眺め、継母は愉快そうな笑い声をあげたのでした。
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