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8 リクエストによる元夫の末路(元夫視点)
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「あんたみたいなおじさんなんて、お金がなければなんの魅力もないわ! 爵位を遠縁に売った? しかもそのお金は借金返済で全て消えた? なんてマヌケなのよっ!」
「そんな言い方は酷いだろう。愛しているって言ってくれたよな? 僕達の間には可愛い娘だっているじゃないか?」
僕は怒りまくっている妻を必死でなだめている。
「あぁ、あの子の父親はあんたじゃないわよ! 本当の父親は、私より年下で舞台俳優志望の男だったのよねぇ。そいつにお金がないから夫をあんたにしただけだわ。だって、鏡を見たことある? あんたみたいなおじさんと私で釣り合うと思っているのぉ? あんたの取り柄は爵位とお金だけなのに!」
妻のいきなりの暴露話に、心が壊れていく僕だ。
「僕を騙したのか? お前には良心ってものがないのか? 金の亡者め! このあばずれ女め! 人でなしめ!」
「あっははは! あんたにだけは言われたくないわよぉ~~。だってさぁ、あんたが前の奥さんにしたことを忘れたの? 辛い時に支えてくれた奥さんをあっさり捨てたくせに。あんたの為に働いて事業を軌道に乗せた大恩人なのにさぁ、乗っ取り疑惑をかけてたいしたお金も与えず放り出したよねぇ? そういう男って、よほどあたしより人でなしだと思うけどぉ~~」
ケラケラと大笑いする妻の言葉に自分の行いを省みれば、反論する余地もなくうな垂れてしまいそうになる僕だが。
「なんてこった・・・・・・人でなしは僕の方なのか? いや、そんなことはないぞ! だってエリザベートは出しゃばり女で部下に慕われすぎていた! あれじゃぁ、僕の存在価値はどうなる? ・・・・・・しかも子供も産めない欠陥品だぞ」
「あぁ、ケツの穴の小さい男よねぇ? だから、あたしみたいな女に引っかかるんだよ。あたしはさ、自慢じゃないけどまともな男からはモテないからねぇ。物の道理がわかっている男にはゴミみたいな目で見られるよ。もっとも、こっちだって賢い男には用はないのよ。だって、賢い男はめんどくさいことを言ってくるし自由にさせてくれないものね? その子はあんたが引き取ってよ。いろいろと子供がいると邪魔だもんね」
妻はクスクスと笑いながら本音を漏らすと、子供を置いてボロボロの屋敷を出て行った。
なんてことだ・・・・・・他人の子供を押しつけられたまま、僕は途方に暮れていた。そろそろ夕方になり、窓の外では血の色に染まった夕焼けの景色が広がる。
こんな時は本当に死にたくなるよ・・・・・・娘を道連れにはできないけれど・・・・・・あんなに大事にしていた娘が他人の子だと思うと頑張って生きていく気力も萎えた。
僕は教会の前に子供を入れた籠を置き、姿をくらました。それから何年も経った今では路上生活者になって町を彷徨い歩いている。毎日下を見るのは、落ちているお金を拾う為だ。
たまには金持ちそうな馬車にわざと飛び込んで金をもらう。そう、向こうから来たあんな豪華な馬車はいいカモだよ。僕はその馬車にわざと飛び込み意識を失った。
「お母様、この人、死んじゃったの?」
「さぁ、大丈夫だと思うわ。あら、気がついたようね? いきなり飛び出してくるなんて危ないですよ。もっと気をつけないと。治療費をあげますからこれで・・・・・・」
そのお母様と呼ばれた人物の顔を懐かしい思いで見つめていたが、その隣にいる紳士の襟元の紋章を見て愕然とした。
その紋章はチャムリー侯爵家の紋章で、はめている指輪にも家紋がついていた。つまり、ここにいるのはチャムリー侯爵夫妻で、その妻はエリザベートなのだった。
「あなたに神のご加護がありますように」
昔よりずっと綺麗になったエリザベートはにっこりと微笑み、その馬車は過ぎ去っていくのだった。
「待ってくれよ。一度は愛し合った男の顔を忘れたのか?」
豪奢な馬車が去って行く様子を眺めながら小さな声でつぶやいたが、青空公園の噴水に映る自分を見て納得した。
ふさふさとしていた髪はハゲ散らかしており、ガリガリに痩せ細った身体はミイラのようだった・・・・・・昔の面影は全くないのだ。これじゃぁ、僕って気がつかないか・・・・・・
昔に帰りたいよ・・・・・・、どんなに願っても朝目覚める場所は青空公園の片隅で、商店街のゴミを漁って生きている日々が続くのだった。
完
「そんな言い方は酷いだろう。愛しているって言ってくれたよな? 僕達の間には可愛い娘だっているじゃないか?」
僕は怒りまくっている妻を必死でなだめている。
「あぁ、あの子の父親はあんたじゃないわよ! 本当の父親は、私より年下で舞台俳優志望の男だったのよねぇ。そいつにお金がないから夫をあんたにしただけだわ。だって、鏡を見たことある? あんたみたいなおじさんと私で釣り合うと思っているのぉ? あんたの取り柄は爵位とお金だけなのに!」
妻のいきなりの暴露話に、心が壊れていく僕だ。
「僕を騙したのか? お前には良心ってものがないのか? 金の亡者め! このあばずれ女め! 人でなしめ!」
「あっははは! あんたにだけは言われたくないわよぉ~~。だってさぁ、あんたが前の奥さんにしたことを忘れたの? 辛い時に支えてくれた奥さんをあっさり捨てたくせに。あんたの為に働いて事業を軌道に乗せた大恩人なのにさぁ、乗っ取り疑惑をかけてたいしたお金も与えず放り出したよねぇ? そういう男って、よほどあたしより人でなしだと思うけどぉ~~」
ケラケラと大笑いする妻の言葉に自分の行いを省みれば、反論する余地もなくうな垂れてしまいそうになる僕だが。
「なんてこった・・・・・・人でなしは僕の方なのか? いや、そんなことはないぞ! だってエリザベートは出しゃばり女で部下に慕われすぎていた! あれじゃぁ、僕の存在価値はどうなる? ・・・・・・しかも子供も産めない欠陥品だぞ」
「あぁ、ケツの穴の小さい男よねぇ? だから、あたしみたいな女に引っかかるんだよ。あたしはさ、自慢じゃないけどまともな男からはモテないからねぇ。物の道理がわかっている男にはゴミみたいな目で見られるよ。もっとも、こっちだって賢い男には用はないのよ。だって、賢い男はめんどくさいことを言ってくるし自由にさせてくれないものね? その子はあんたが引き取ってよ。いろいろと子供がいると邪魔だもんね」
妻はクスクスと笑いながら本音を漏らすと、子供を置いてボロボロの屋敷を出て行った。
なんてことだ・・・・・・他人の子供を押しつけられたまま、僕は途方に暮れていた。そろそろ夕方になり、窓の外では血の色に染まった夕焼けの景色が広がる。
こんな時は本当に死にたくなるよ・・・・・・娘を道連れにはできないけれど・・・・・・あんなに大事にしていた娘が他人の子だと思うと頑張って生きていく気力も萎えた。
僕は教会の前に子供を入れた籠を置き、姿をくらました。それから何年も経った今では路上生活者になって町を彷徨い歩いている。毎日下を見るのは、落ちているお金を拾う為だ。
たまには金持ちそうな馬車にわざと飛び込んで金をもらう。そう、向こうから来たあんな豪華な馬車はいいカモだよ。僕はその馬車にわざと飛び込み意識を失った。
「お母様、この人、死んじゃったの?」
「さぁ、大丈夫だと思うわ。あら、気がついたようね? いきなり飛び出してくるなんて危ないですよ。もっと気をつけないと。治療費をあげますからこれで・・・・・・」
そのお母様と呼ばれた人物の顔を懐かしい思いで見つめていたが、その隣にいる紳士の襟元の紋章を見て愕然とした。
その紋章はチャムリー侯爵家の紋章で、はめている指輪にも家紋がついていた。つまり、ここにいるのはチャムリー侯爵夫妻で、その妻はエリザベートなのだった。
「あなたに神のご加護がありますように」
昔よりずっと綺麗になったエリザベートはにっこりと微笑み、その馬車は過ぎ去っていくのだった。
「待ってくれよ。一度は愛し合った男の顔を忘れたのか?」
豪奢な馬車が去って行く様子を眺めながら小さな声でつぶやいたが、青空公園の噴水に映る自分を見て納得した。
ふさふさとしていた髪はハゲ散らかしており、ガリガリに痩せ細った身体はミイラのようだった・・・・・・昔の面影は全くないのだ。これじゃぁ、僕って気がつかないか・・・・・・
昔に帰りたいよ・・・・・・、どんなに願っても朝目覚める場所は青空公園の片隅で、商店街のゴミを漁って生きている日々が続くのだった。
完
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完結おめでとうございます。
めっちゃ面白かったです。
できればでいいので愛人のざまぁが読みたいです。よろしくお願いします。
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┃お┃💓
┗━┫
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(。・∀・。)彡
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Ⅰは┃💛
┗━┛
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┃よⅠ💜
┗━┫
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(。・∀・。)彡
┏━┳⊂彡
┃💖┃💕
┗━┛感想ありがとうございます🌷✨
懐かしい作品を読んでいただきありがとうございます😳
確かこれは鰻屋の話だったような(笑)
愛人のざまぁ ですね
思い浮かんだら書いていこうと思います🤔
数多くある作品の中からこちらをお読みいただき
まことにありがとうございます🙇🏻♀️✨
こんにちは🌈
えっと
そうです
多分そうだったはず(¯∇¯٥)
夫が不妊の原因になる小説が多いですよね😆
感想いただきありがとうございます😊
華屋与兵衛のひつまぶし膳の味?美味しかったけど?( ̄﹃ ̄)4杯ではなく3杯分くらいしか無かったけどね〜?少ない(´・-・`)
ん😳
美味しいんだ
(◍•ᴗ•◍)✧*。
それはいいねぇ
( ̄ー+ ̄)キラーン
でも
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(•﹏•٥)💦
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華屋与兵衛
近くにあったから
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ステーキのドンとかも
近くにあったような
懐かしい(*´ω`*)