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3 子犬が大人のハスキー犬に!?
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「今日はお弁当を作ってきましたのよ。ダニエル様のお口に合うといいのですけれど」
「あ、ニンジン! それはちょっと僕、苦手で子供の頃から食べられない」
「あらあら、それではいけませんわね。ニンジンはこうしてお肉に巻いて食べてしまえばいいのですわ」
濃いめに味付けした薄切り肉を、茹でて細めに切ったニンジンに巻いて、ダニエル様の取り皿の上にのせる。ここは、国立庭園の芝生の上。私はダニエル様をピクニックに誘って、手料理を振る舞うことに決めたのだった。だって、なぜだか放っておけない気がしたのよね。
この顔はいいけど少し華奢すぎる身体・・・・・そう、もう少しお肉がついた方がいいはずよ。だから今朝の私はとても早起き。せっせとお弁当をこしらえたってわけ。
「ん、美味しい! ニンジン臭さがなくなるね。肉と一緒に食べると大丈夫みたいだ」
「でしょう? この肉団子も食べて見てくださいな」
「うん、ありがとう。これも噛むと肉汁がひろがっておいしいなぁ。香辛料がきいているね! でも、この緑の粒々てなんだろう?」
「あぁ、それはみじん切りのピーマンですわ」
「え! 僕、ピーマンは嫌いで食べられないのだけれど・・・・・・」
いやだ、子供みたい!
でも、なにかこうキュンとくるものがありますわね。
なんでしょう? これは・・・・・・母性本能ですわ!
「こほん。男性はなんでも好き嫌いなく食べるべきですわ。いいですか? 私がたまにこうして、ダニエル様の苦手なものを克服する、お手伝いをしてさしあげますわ。これもなにかの縁ですし」
「本当に? 嬉しいよ、ありがとう」
★*☆*
たまにのはずがなぜか毎週、一緒にピクニックに行き手料理を振る舞っているうちに、あらあら不思議な現象が!
ダニエル様ってこんなに胸板厚かったかしら?
「あの小川を渡った丘で食べようよ! ほら、ちょっとこっちに来て」
今日は小川が流れる公園でのピクニック。抱きかかえられたのはその川を渡る時で、なぜかロマンチックなお姫様抱っこ!
「あのぉーー、川を渡れるように平たい飛び石がありますよね。自分で渡れますけど」
「良いから、私に任せて」
「??」
そうして抱かれた彼の胸の中。たくましい腕とはっきりと感じられる大胸筋に、ドキリとして頬が染まった。
「ダニエル様。なにか体型が変わっていませんか? 前よりだいぶ筋肉がついたのではないかしら?」
「あぁ、そうだよ。ジュリアが食事をちゃんと食べるように言うから、好き嫌いがなくなった。それに好きな女性の為には、鍛えないとね」
「はぁーー、なるほど。ついに好きな女性ができたのですね。嬉しいですわ」
雛が旅立つ親鳥の心境ね。
こうしてみると、かなり寂しい気持ちだわ・・・・・・
「でね、ジュリア! 私の婚約者になってくれないだろうか?」
うんうん。僕も私に変わったのね。なんて成長したのかしら。『僕』と自分のことを言う呼び方も、幼さが残っていて胸キュンだったのにねぇ。
「ジュリア! 返事を聞かせて。私の妻になってほしい」
「え? えぇえぇえぇええーー! なんですって? 私が?」
「さきほどから何度も言っているだろう? ジュリアの為に身体も鍛えたし仕事も頑張ったんだ! 私は来年度から宰相補佐に昇進する。今の宰相殿が引退する3年後には宰相になる」
なに、それ!
あのかわいい子犬がいきなりハスキー犬になっちゃった!!
「あ、ニンジン! それはちょっと僕、苦手で子供の頃から食べられない」
「あらあら、それではいけませんわね。ニンジンはこうしてお肉に巻いて食べてしまえばいいのですわ」
濃いめに味付けした薄切り肉を、茹でて細めに切ったニンジンに巻いて、ダニエル様の取り皿の上にのせる。ここは、国立庭園の芝生の上。私はダニエル様をピクニックに誘って、手料理を振る舞うことに決めたのだった。だって、なぜだか放っておけない気がしたのよね。
この顔はいいけど少し華奢すぎる身体・・・・・そう、もう少しお肉がついた方がいいはずよ。だから今朝の私はとても早起き。せっせとお弁当をこしらえたってわけ。
「ん、美味しい! ニンジン臭さがなくなるね。肉と一緒に食べると大丈夫みたいだ」
「でしょう? この肉団子も食べて見てくださいな」
「うん、ありがとう。これも噛むと肉汁がひろがっておいしいなぁ。香辛料がきいているね! でも、この緑の粒々てなんだろう?」
「あぁ、それはみじん切りのピーマンですわ」
「え! 僕、ピーマンは嫌いで食べられないのだけれど・・・・・・」
いやだ、子供みたい!
でも、なにかこうキュンとくるものがありますわね。
なんでしょう? これは・・・・・・母性本能ですわ!
「こほん。男性はなんでも好き嫌いなく食べるべきですわ。いいですか? 私がたまにこうして、ダニエル様の苦手なものを克服する、お手伝いをしてさしあげますわ。これもなにかの縁ですし」
「本当に? 嬉しいよ、ありがとう」
★*☆*
たまにのはずがなぜか毎週、一緒にピクニックに行き手料理を振る舞っているうちに、あらあら不思議な現象が!
ダニエル様ってこんなに胸板厚かったかしら?
「あの小川を渡った丘で食べようよ! ほら、ちょっとこっちに来て」
今日は小川が流れる公園でのピクニック。抱きかかえられたのはその川を渡る時で、なぜかロマンチックなお姫様抱っこ!
「あのぉーー、川を渡れるように平たい飛び石がありますよね。自分で渡れますけど」
「良いから、私に任せて」
「??」
そうして抱かれた彼の胸の中。たくましい腕とはっきりと感じられる大胸筋に、ドキリとして頬が染まった。
「ダニエル様。なにか体型が変わっていませんか? 前よりだいぶ筋肉がついたのではないかしら?」
「あぁ、そうだよ。ジュリアが食事をちゃんと食べるように言うから、好き嫌いがなくなった。それに好きな女性の為には、鍛えないとね」
「はぁーー、なるほど。ついに好きな女性ができたのですね。嬉しいですわ」
雛が旅立つ親鳥の心境ね。
こうしてみると、かなり寂しい気持ちだわ・・・・・・
「でね、ジュリア! 私の婚約者になってくれないだろうか?」
うんうん。僕も私に変わったのね。なんて成長したのかしら。『僕』と自分のことを言う呼び方も、幼さが残っていて胸キュンだったのにねぇ。
「ジュリア! 返事を聞かせて。私の妻になってほしい」
「え? えぇえぇえぇええーー! なんですって? 私が?」
「さきほどから何度も言っているだろう? ジュリアの為に身体も鍛えたし仕事も頑張ったんだ! 私は来年度から宰相補佐に昇進する。今の宰相殿が引退する3年後には宰相になる」
なに、それ!
あのかわいい子犬がいきなりハスキー犬になっちゃった!!
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