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28 ハミルトンは女難なのか?(アレクサンダー視点)

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「はっ? 弱みってどういう意味だい?」

「グレース姉上がアレクサンダーの兄上に肩身の狭い思いをするじゃないか。私はグレース姉上がイザリヤ侯爵家で居心地の悪い立場になるのは嫌なんだよ」

「ぶはっ。グレース義姉上が肩身の狭い思いをするだって? 冗談がきつすぎる。使用人からも慕われ、母には娘のように可愛がられ、兄上からは溺愛されているのだぞ。そんな心配はしなくていいから、自分の心配をしてくれよ。ハミルトンにもしものことがあったら、一番悲しむのはグレース義姉上だろう?」
 俺はため息をつきながらハミルトンに店長を引き受けるように説得した。人の親切は素直に受け取ったほうがいい。特にこんな場合は。


 まもなくハミルトンは離婚し、爵位はパリノ公爵家の一族の裕福な者に譲る形で金に換え、ベンジャミン男爵家への返済にあてられた。

 俺の店は「大魔道師の薬草・魔道具専門店ファンタズマルケット」という店名にした。かなり広い敷地で二階にハミルトンが住めるように住居付きの店にした。従業員の休憩所なども設置すれば、働きやすい職場として良い人材も集まるはずだ。

 ファンタズマルケットは洗練されたモダンなデザインが特徴の建物で、外観は光沢のある石材で作り、入口には高品質なガラスドアを設けた。扉の上にはスチール製の看板を掲げる。
 
 一歩店内に踏み入れると、広々とした空間が広がるようにした。天井を高くし窓から光が七色の色調で差し込むように魔法をかけた。棚には大小さまざまなガラス瓶が整然と並び、それぞれが異なる輝きを放つなか、ドラゴンの鱗、フェニックスの羽根、流れ星の粉など、多彩な魔法の材料を整然と陳列させた。カウンターの奥には、たくさんの魔法書を揃えた本棚もある。

 大きなガラス窓から店内が透けて見え、洗練された魔法材料店といった印象だったから、魔法学園に通う女生徒たちや魔法好きな女性たちのお気に入りの店になり、毎日のように女性客で賑わっていた。およそ、魔法に必要なものはここで揃えられる。

 私はこの店に定期的に立ち寄り、ハミルトンが真面目に働いているのを見るのだが、いつも女生徒にまとわりつかれていたし、オリビア嬢の専属侍女のゾーイの姿も頻繁に見かけた。
 ゾーイが通うのは純粋に魔法の材料や珍しい薬草の調達だと思うが、来るたびに決まった女生徒の数人を見かけるのは少々気になった。

 そろそろ、気を付けるように注意をしておこうと店を訪れたのだが、嫌な予感が的中したかのように、ハミルトンは女生徒ふたりに抱きつかれていた。

(おいおい、勘弁してくれよ。婚約者でない限り、これは店の信用問題だぞ)

 思わず俺はハミルトンを睨みつけていたし、後から来たゾーイは愉快そうに笑い転げていたのだった。



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 ※夜にまた更新予定です。
 ※アレクサンダーの一人称が俺だったのを途中から私にしておりました。修正しました。申し訳ございません。まだ、直っていないところあるかも、アレクサンダーの兄の苗字も間違っていたので直しました。申し訳ございません。ポ、ポンコツすぎる作者です💦🙇‍♀️
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