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29 喜んでいいのかな(ハミルトン視点)
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私は「大魔道師の薬草・魔道具専門店ファンタズマルケット」で毎日忙しく働いている。この店には魔法で使うあらゆる原料が置かれていた。薬草の種類も豊富で、多くのお客が来店した。
その中にはオリビアの侍女のゾーイもいた。彼女は頻繁にやってきては、たくさんの珍しいものを買う。そして、聞いたこともない材料を注文していく。
「次回来るときまでに揃えておけよな。ドラゴンの卵の殻と、雀の涙、人魚の尻尾だぞ。わかったな?」
「はい、承知しました。いつもお買い求めくださってありがとうございます」
「ハミルトン! あんた、成長したなぁ。偉い、偉い。ずっと、愚かなままなのかと思ったぞ」
ゾーイはいつも、私をからかうように褒めて帰っていく。初めはカチンときたが、彼女と話をしていると薬草や魔法の勉強になった。
この店はオリビアの屋敷から馬車で一時間ほどのところにある。ゾーイが来るのは決まって夕方で、帰り際に必ず言うことが決まっていた。
「女生徒には気をつけろよ! あんた、無駄に顔が良いからさ。危ないんだよなぁーー。じゃ、お疲れーー」
なにが危ないんだかわからないが、女生徒が危険なわけがないから、多分いつものようにからかわれただけだろう。貴族でなくなってから余計なプライドがなくなって、今ではお客に頭を下げることも自然にできた。
「私はな、眼鏡をとると、本当は美女なのだ」
先週のゾーイは眼鏡をかけていなかった。だて眼鏡だから本当は必要ないらしい。にやりと笑う彼女は、確かに怪しい色気を感じさせるような美女だった。私は少しドギマギした。
「あんた、私を見てドキッとしたよな? 相変わらず、面食いなんだな。魅了系の魔法にかかる奴は、基本ナルシストで人間のうわべしか見てないんだよな。あんたさ、いい加減、見た目だけで女を好きになるのはやめろよ」
軽蔑したように言われて反省した。
☆彡☆彡
今日は新しく仕入れた魔法書がたくさんある。本棚にジャンルごとに並べていくのだが、表紙の色あいなども考慮して丁寧に本を棚に収めていた。
「お兄様!!」
その声に振り返ると、魔法学園の制服姿の女生徒ふたりが大きな目に涙をいっぱい溜めて、私の顔を見つめていた。
「私に妹はいないよ。人違いだと思う」
「実は店長さんが、5日前に亡くなった私たちの兄にそっくりなんです!! 少し思い出に浸らせてください。」
「思い出? 浸る? 意味がわからないが、思い出は大事かも知れない・・・」
そう言った途端に、ふたりの女生徒から抱きつかれた。
(え? なぜ、私は抱きつかれているのだ?)
そんな不可解な状況になったところで店の扉が開き、アレクサンダーが入って来た。その後ろにはゾーイの姿も見えて、彼女は驚きの表情を浮かべてすぐに笑い転げる。
「すごいな。これだけ、ちょろい男っていないのじゃないか? だから、女生徒には気をつけろって忠告しただろう?」
「違う。この子たちが勝手に抱きついてきたのだ。私が5日前に亡くなったお兄さんにそっくりらしい」
「ふーーん。お兄さんに抱きつく妹って単純にキモいがな。しかも5日前に亡くなった? いろいろ面白い」
「酷いです! 私たちは亡くなったお兄様にそっくりなこの店長さんを見つけて、それから懐かしさのあまりこうして通うようになって。私たちはお兄様が大好きだったから、思い出に浸りたかっただけです」
「ふーん。その制服は魔法学園の生徒だよな? 生徒手帳を見せろ。二人が姉妹ってことならラストネームは一緒だろ? ほら、早く生徒手帳を出せよ!」
「ひっ。今日は忘れました」
「私も持っていません」
「なら、フルネームを言ってくれよ。あんたたちのお兄さんが亡くなって、そんなにそこの男にそっくりだというのなら、もしかしたらどこかで血のつながりがあるかもな。調べたいから、家にお邪魔させてくれ。墓前に添える花ぐらいは買って行くぞ」
「……」
「私は気が短いのだぞ。どうせ、嘘なんだろ?」
「つっ・・・・・・嘘です。でも、私はこの店長さんみたいな大人の綺麗な男性が好きだから」
「私も綺麗な大人の男性に憧れていました。ごめんなさい」
「ゾーイ。もうそんなに責めなくてもいいんじゃないかな。だって、この子達だって悪気があったわけじゃないし」
私はこの可愛い女の子たちが気の毒になった。大人の男性に憧れる少女の甘酸っぱい気持ちは、わかっているつもりだ。
「お嬢ちゃんたちには飴をあげるよ。さぁ、お食べ」
ゾーイは二人の女の子の口に飴を含ませると、その子たちの態度が豹変した。
「私たちは店長さんが好きなわけじゃないわ。どっちがこの格好いい店長さんを、自分のものにできるか勝負してたのよ。おじさんだけど、すごく綺麗だもの。お金もありそうだし、きっといろんなところに連れて行ってくれたり、高価なものを買ってくれそう」
「そうよ。きっと、私たちにいろいろくれそうだもの。身内が亡くなったことにしとけば同情してくれると思ったわ」
「なるほどね。私の自白飴は凄い効きめだな。ちなみに、あんたたちは姉妹じゃないよな?」
「違うわよ。顔だって全然似ていないじゃない? 年齢も同じだわ」
「あっははは。ハミルトン、ちゃんと聞いていたか? あんたは、また貢ぎそうな男として選ばれたんだよ。第二や第三のクロエに狙われてたのさ。クロエと言えば、オリビア様が命だけは助けてもらえるように国王陛下にお願いをしに行ったんだがな、王妃殿下に気に入られちまって専属侍女にと請われた」
「え? 王妃殿下の専属侍女? それはすごいなぁ。オリビア嬢にとって栄誉なことですね」
ゾーイはそう言ったアレクサンダーを振り返って問いかける。
「あんた、プレイデン侯爵家で私のメモリーバニシング・スモークが効かなかった男だよな。パリノ侯爵家でもすれ違った。何者なんだよ?」
「俺はハミルトンの姉上が結婚したイザリヤ侯爵の弟だよ。ファンタズマルケットのオーナーでもある」
「あぁ、納得。だったら、ちゃんと見てないとまずいぞ。この元公爵様は女難の相が出ている。ちなみに、オリビア様は王妃殿下の専属侍女になったんじゃないのさ。我が儘王子の専属侍女を押しつけられたんだよ」
自白飴? 一種の自白剤のようなものか。年下の女生徒たちからは舐められて、オリビアが我が儘王子の専属侍女になったという情報は、私の頭を混乱させた。がっくりとうなだれて膝から崩れ落ちた私の肩を、ゾーイが軽く叩いた。
「おい、そんな床に座り込んでジョンみたいに私を見るなよ。安心しろ。私が頻繁にファンタズマルケットに来て、女たちを追っ払ってやるよ。世話がやけるところもジョンそっくりだぞ」
「ジョンって・・・・・・それはゾーイの幼い弟かい?」
私は弟扱いしてきたゾーイに、恨めしげな眼差しを向けた。
「いや、私に弟なんていないよ。ジョンは犬に決まっているだろう。大型犬のボルゾイでな。医者だった父がある貴族からいただいた犬だよ。気品のある犬だったが、世話が焼けたし甘えん坊だったな。あの犬種はオオカミ狩りで活躍していた猟犬だったらしいがな」
ボルゾイ、喜んで良いのか悪いのか、いまひとつわからないのだった。
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
次回から、オリビアサイドのお話に変わります。我が儘王子がでてくるし、アレクサンダーもベンジャミン男爵家を訪問します。お楽しみに!
インスタ:bluesky77_77に小説登場人物のAIイラストがあります。犬や猫のイラストも少しづつ投稿していきます。小説と合わせてお楽しみください。
その中にはオリビアの侍女のゾーイもいた。彼女は頻繁にやってきては、たくさんの珍しいものを買う。そして、聞いたこともない材料を注文していく。
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「はい、承知しました。いつもお買い求めくださってありがとうございます」
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ゾーイはいつも、私をからかうように褒めて帰っていく。初めはカチンときたが、彼女と話をしていると薬草や魔法の勉強になった。
この店はオリビアの屋敷から馬車で一時間ほどのところにある。ゾーイが来るのは決まって夕方で、帰り際に必ず言うことが決まっていた。
「女生徒には気をつけろよ! あんた、無駄に顔が良いからさ。危ないんだよなぁーー。じゃ、お疲れーー」
なにが危ないんだかわからないが、女生徒が危険なわけがないから、多分いつものようにからかわれただけだろう。貴族でなくなってから余計なプライドがなくなって、今ではお客に頭を下げることも自然にできた。
「私はな、眼鏡をとると、本当は美女なのだ」
先週のゾーイは眼鏡をかけていなかった。だて眼鏡だから本当は必要ないらしい。にやりと笑う彼女は、確かに怪しい色気を感じさせるような美女だった。私は少しドギマギした。
「あんた、私を見てドキッとしたよな? 相変わらず、面食いなんだな。魅了系の魔法にかかる奴は、基本ナルシストで人間のうわべしか見てないんだよな。あんたさ、いい加減、見た目だけで女を好きになるのはやめろよ」
軽蔑したように言われて反省した。
☆彡☆彡
今日は新しく仕入れた魔法書がたくさんある。本棚にジャンルごとに並べていくのだが、表紙の色あいなども考慮して丁寧に本を棚に収めていた。
「お兄様!!」
その声に振り返ると、魔法学園の制服姿の女生徒ふたりが大きな目に涙をいっぱい溜めて、私の顔を見つめていた。
「私に妹はいないよ。人違いだと思う」
「実は店長さんが、5日前に亡くなった私たちの兄にそっくりなんです!! 少し思い出に浸らせてください。」
「思い出? 浸る? 意味がわからないが、思い出は大事かも知れない・・・」
そう言った途端に、ふたりの女生徒から抱きつかれた。
(え? なぜ、私は抱きつかれているのだ?)
そんな不可解な状況になったところで店の扉が開き、アレクサンダーが入って来た。その後ろにはゾーイの姿も見えて、彼女は驚きの表情を浮かべてすぐに笑い転げる。
「すごいな。これだけ、ちょろい男っていないのじゃないか? だから、女生徒には気をつけろって忠告しただろう?」
「違う。この子たちが勝手に抱きついてきたのだ。私が5日前に亡くなったお兄さんにそっくりらしい」
「ふーーん。お兄さんに抱きつく妹って単純にキモいがな。しかも5日前に亡くなった? いろいろ面白い」
「酷いです! 私たちは亡くなったお兄様にそっくりなこの店長さんを見つけて、それから懐かしさのあまりこうして通うようになって。私たちはお兄様が大好きだったから、思い出に浸りたかっただけです」
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「ひっ。今日は忘れました」
「私も持っていません」
「なら、フルネームを言ってくれよ。あんたたちのお兄さんが亡くなって、そんなにそこの男にそっくりだというのなら、もしかしたらどこかで血のつながりがあるかもな。調べたいから、家にお邪魔させてくれ。墓前に添える花ぐらいは買って行くぞ」
「……」
「私は気が短いのだぞ。どうせ、嘘なんだろ?」
「つっ・・・・・・嘘です。でも、私はこの店長さんみたいな大人の綺麗な男性が好きだから」
「私も綺麗な大人の男性に憧れていました。ごめんなさい」
「ゾーイ。もうそんなに責めなくてもいいんじゃないかな。だって、この子達だって悪気があったわけじゃないし」
私はこの可愛い女の子たちが気の毒になった。大人の男性に憧れる少女の甘酸っぱい気持ちは、わかっているつもりだ。
「お嬢ちゃんたちには飴をあげるよ。さぁ、お食べ」
ゾーイは二人の女の子の口に飴を含ませると、その子たちの態度が豹変した。
「私たちは店長さんが好きなわけじゃないわ。どっちがこの格好いい店長さんを、自分のものにできるか勝負してたのよ。おじさんだけど、すごく綺麗だもの。お金もありそうだし、きっといろんなところに連れて行ってくれたり、高価なものを買ってくれそう」
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ゾーイはそう言ったアレクサンダーを振り返って問いかける。
「あんた、プレイデン侯爵家で私のメモリーバニシング・スモークが効かなかった男だよな。パリノ侯爵家でもすれ違った。何者なんだよ?」
「俺はハミルトンの姉上が結婚したイザリヤ侯爵の弟だよ。ファンタズマルケットのオーナーでもある」
「あぁ、納得。だったら、ちゃんと見てないとまずいぞ。この元公爵様は女難の相が出ている。ちなみに、オリビア様は王妃殿下の専属侍女になったんじゃないのさ。我が儘王子の専属侍女を押しつけられたんだよ」
自白飴? 一種の自白剤のようなものか。年下の女生徒たちからは舐められて、オリビアが我が儘王子の専属侍女になったという情報は、私の頭を混乱させた。がっくりとうなだれて膝から崩れ落ちた私の肩を、ゾーイが軽く叩いた。
「おい、そんな床に座り込んでジョンみたいに私を見るなよ。安心しろ。私が頻繁にファンタズマルケットに来て、女たちを追っ払ってやるよ。世話がやけるところもジョンそっくりだぞ」
「ジョンって・・・・・・それはゾーイの幼い弟かい?」
私は弟扱いしてきたゾーイに、恨めしげな眼差しを向けた。
「いや、私に弟なんていないよ。ジョンは犬に決まっているだろう。大型犬のボルゾイでな。医者だった父がある貴族からいただいた犬だよ。気品のある犬だったが、世話が焼けたし甘えん坊だったな。あの犬種はオオカミ狩りで活躍していた猟犬だったらしいがな」
ボルゾイ、喜んで良いのか悪いのか、いまひとつわからないのだった。
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