[完結]貴女は、ほんとうに友人なの？ー友人も婚約者も奪おうとするのはなぜ？

５ 親戚のお兄様（リリアン視点）

ライト家には隣国のナベル侯爵家という親戚がいる。そこの嫡男のイーストン様は、とても私に姿形が似ていた。

「お兄様と呼んで。なにかあったら、必ず私に言うんだよ？　どこにいても助けてあげる」

毎年、ライト家を訪れては、熱心にそうおっしゃってくださった。

この方と一緒にいると、とても安心できた。

毎年、長い休暇があるとナベル侯爵家に遊びにいかせていただいていたが、ナベル侯爵夫人はとても歓迎し、私を実の娘のようにかわいがってくださった。

「なにか、あったら、必ず連絡をしてくるのですよ？」

お兄様と同じ言葉を、いつもおっしゃるのだった。

今回のマドレーヌのことは、自分ひとりでは到底解決できないと思った。

だから、ナベル侯爵夫人とお兄様にお手紙を書いたのだった。

すぐにお兄様からお返事がきた。

『大丈夫！　姉に任せろ！』

姉って？　と不思議がっていたら、ドレス姿のお兄様が到着したのだった。

「リリアンのふりは一日だけだ。それで、充分だ。この姉に任せろ！」