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6 しまった(アンドリュー視点)

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私は、アンドリュー・サラナだ。伯爵家の嫡男で、リリアン・ライト子爵令嬢と婚約していた。

なんで、子爵令嬢なのか、ずっと疑問だった。ライト家は子爵のなかでも、それほど家柄も良くないし財産家でもないのに。

リリアンは綺麗な素直な子だったけれど、ただ、それだけだ。今、ひとつ、魅力は感じない。高位貴族のツンとした美人や、男爵あたりの尻軽な女が好きだった。

マドレーヌはその点、理想的だった。この子と遊びながら、リリアンを妻にする。最高じゃないか?

そんなことを考えていたら、今日、ドスの利いた声で彼女はこう言った。

「ドリュー・・・・・・久しぶりだな。また池に落としてやろうか?」

顔をまじまじと見て、やっと気がついた。この方は、富める大国である隣国のナベル侯爵家の嫡男だ。

イーストン様は、頻繁にライト家を訪れていた。そのたびに、私はこのイーストン様から池に落とされた。

理由を聞くと、いつも決まってこう言った。

「理由? リリアンに相応しくないことをしたからさ。いいかい? お前を池につきとばすのは5回までだ。6回目はもうない」

そして、今日は6回目・・・・・・


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


その夜、私は父上の執務室に呼ばれ、思いっきり殴られた。

「ばかもの! 男爵家の娘といい仲になっていたそうだな? リリアン様から婚約破棄を宣言された。」

「は? たかが、子爵家の娘でしょう? 勘違いにもほどがある!」

「・・・・・・リリアン様は子爵家の娘ではないそうだ。あの大富豪の隣国のナベル侯爵家の娘なんだとさ。双子は17歳になったらその存在を許される。もう不吉なものは浄化されたと考えられて、晴れてナベル侯爵家に戻れるんだ。お前は、大富豪の娘と婚約していたらしい」

何だよ?それ・・・・・・だったら、初めから言ってくれればいいじゃないか!
あぁ、だから、イーストン様が度々、ライト子爵家に来ていたのか・・・・・・気がつくべきだった・・・・・・
今、考えたら、ヒントはいっぱいあったんだ・・・・・・

試されていたのか・・・・・・それにしても・・・・・・騙すなんて酷いよ・・・・・・

ナベル侯爵家の娘なら、絶対に大事にしたのに・・・・・・
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