(完結)貴女は私の親友だったのに・・・・・・

青空一夏

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 私、リネータ・エヴァーツはエヴァーツ伯爵家の長女だ。私には幼い頃から一緒に遊んできた親友マージ・ドゥルイット伯爵令嬢がいる。

 彼女と私が親友になったのは領地が隣同志でお母様達が仲良しだったこともあるけれど、本と甘いお菓子が大好きという共通点があったからよ。お互いの屋敷を行き来して、一緒に本を読みながら食べたお菓子は格別だった。

 幼い頃は主人公がわくわくするような冒険をする物語が大好きだった。もう少し成長すると、目の覚めるような美貌の男性にプロポーズされるヒロインのロマンス小説に夢中になり、マージと頬を染めながら読みふけった。

 もちろん、甘いお菓子を食べながら・・・・・・。私達はバターと砂糖がたっぷりのお菓子に目が無かったのよ。生クリームは飲み物、なんて言っていた私が太ってしまったのは当然だった。

 けれどマージは少しも太らなかった。

「私はね、なぜかいくら食べても太らないのよ。おかしいわね」

 首を捻るマージが羨ましかったわ。同じ物を同じ量食べても、マージは細いままで私だけ太っていくのよ。

(世の中って不公平な気がするわ)

 私は神様を恨んだ。






 15歳になって王都にある王立貴族学園に通いはじめて、私達は領地から離れて寮生活になった。多くの同じ歳頃の女の子も男の子も私より痩せている。今まで気にもとめなかった体型を気になり始めた瞬間だった。

 女の子達の華奢な身体を見る度に劣等感で目をふせた。こんなに太っていることが恥ずかしいと思ったことはない。領地で甘やかされて育った私に両親は「可愛い、綺麗」しか言わなかったけれど、実際は・・・・・・

「ちょっとダイエットしたほうがいいのかしら。私、太りすぎな気がしますわ」

「え? なんで? リネータは今のままが一番可愛いと思うわ」

 マージにそう言われるとつい安心してしまい、いつもダイエットは長く続かない。私は太ったままで、相変わらずお菓子ばかりを食べていたわ。

 でも、そんな私が恋をした。それはカルヴァン・ジャレル侯爵令息。金髪碧眼の優しい方だ。彼は私が体育の授業で走るところをバカにしなかったただ一人の男の子なのよ。校庭で無様に転んだ私に手を差し伸べてくれた方。それから気になってつい彼の姿を追いかけてしまう。目が合うとにっこり微笑んでくれるから嫌われてはいないはず。

(カルヴァン様とお近づきになれないかな。友人の一人になれるだけでいい。・・・・・・でも、こんな私といたら彼はきっと周りからからかわれるわ。せめて普通の令嬢のようだったら・・・・・・ダイエットを本気でしてみようかなぁ)

「決めたわ! マージ、私は本気で痩せたいの。もう間食はしないことにしようと思いますわ」

「え? そのようなことは必要ないと思いますわ。だって、リネータは今のままが可愛いのですもの。痩せてしまったら皆と同じになってリネータの個性がしぼんでしまいますわ」

 とても私のことを心配してくれるマージは優しい。だけど、私はそろそろ変わらなくてはいけないと思うの。
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