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25 仲がいいふりをする結月
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「同じクラスになれて良かったね」
そう言いながら柊君が私に近づくのを結月は不愉快そうに見ていたが、表情をさっと変えてあどけない笑顔を浮かべながらこちらにやって来た。
「紬! 同じクラスになれて、すっごく嬉しいわ! 双子って、やっぱり心が通じ合っているのねぇ」
眩しいほどに輝く笑顔で近づいてくるけれど、心が通じ合ったことなど一度もない。
「えっと、この子誰?」
柊君は戸惑いながら私に尋ねる。
そう言えば、私に双子の姉妹がいるなんて話したことはなかった気がする。私が礼子さんの姉の子供というのは話していても、どんな経緯で引き取られたかなんて説明はしていない。
だって、自分が『前のお母さん』から捨てられたなんて言いたくない。それは惨めで恥ずかしいことのような気がしたから。
「この子は……私の双子の……」
私が言いよどんでいると、結月がわって入ってきた。
「私は田中結月。この紬とは二卵性双生児なんですよ! この子は、お金持ちのレイコ・ササキが良くて養女になっちゃったけれど、元の姓は田中なんです」
その言い方に私はびっくりして……何も言えなかった。強くなろう! って決めていたのに、こんな時に上手に言い返す言葉が見つからなかった。
こんな教室で『私はお母さんから捨てられたのよ!』なんて、言い返せるわけがない。
「ふーーん。姉妹がいるなんて、僕は知らなかったけどなぁ」
「あら、紬って冷たいのねぇーー。私はいつも紬のことを考えていたよ?」
私がなんと言っていいか困っていると、背後から朗らかな声が響いた。
「初めまして! 佐々木さん。私は佐藤凛って言うの。同じクラスになれて嬉しいわ」
振り返ると、きりっとした綺麗な子が嬉しそうに微笑んでいた。
「あ、はい。よろしくお願いします?」
「うふふ。私、貴女の絵の大ファンなのよ。私も一芸推薦なの。佐々木さんとは全然才能が違うから恥ずかしいけれどお友達になってくれる?」
「あ……こちらこそ……」
早速友人ができた私を面白くなさそうに見ている結月は、また間に割って入ってきた。
「はじめまして! 私は田中結月。この紬とは二卵性双生児なのよ。紬は礼子叔母様の養女になったけれど、私とは姉妹なの!」
驚いた凛さんに、とてもいい笑顔をしたのだった。
そう言いながら柊君が私に近づくのを結月は不愉快そうに見ていたが、表情をさっと変えてあどけない笑顔を浮かべながらこちらにやって来た。
「紬! 同じクラスになれて、すっごく嬉しいわ! 双子って、やっぱり心が通じ合っているのねぇ」
眩しいほどに輝く笑顔で近づいてくるけれど、心が通じ合ったことなど一度もない。
「えっと、この子誰?」
柊君は戸惑いながら私に尋ねる。
そう言えば、私に双子の姉妹がいるなんて話したことはなかった気がする。私が礼子さんの姉の子供というのは話していても、どんな経緯で引き取られたかなんて説明はしていない。
だって、自分が『前のお母さん』から捨てられたなんて言いたくない。それは惨めで恥ずかしいことのような気がしたから。
「この子は……私の双子の……」
私が言いよどんでいると、結月がわって入ってきた。
「私は田中結月。この紬とは二卵性双生児なんですよ! この子は、お金持ちのレイコ・ササキが良くて養女になっちゃったけれど、元の姓は田中なんです」
その言い方に私はびっくりして……何も言えなかった。強くなろう! って決めていたのに、こんな時に上手に言い返す言葉が見つからなかった。
こんな教室で『私はお母さんから捨てられたのよ!』なんて、言い返せるわけがない。
「ふーーん。姉妹がいるなんて、僕は知らなかったけどなぁ」
「あら、紬って冷たいのねぇーー。私はいつも紬のことを考えていたよ?」
私がなんと言っていいか困っていると、背後から朗らかな声が響いた。
「初めまして! 佐々木さん。私は佐藤凛って言うの。同じクラスになれて嬉しいわ」
振り返ると、きりっとした綺麗な子が嬉しそうに微笑んでいた。
「あ、はい。よろしくお願いします?」
「うふふ。私、貴女の絵の大ファンなのよ。私も一芸推薦なの。佐々木さんとは全然才能が違うから恥ずかしいけれどお友達になってくれる?」
「あ……こちらこそ……」
早速友人ができた私を面白くなさそうに見ている結月は、また間に割って入ってきた。
「はじめまして! 私は田中結月。この紬とは二卵性双生児なのよ。紬は礼子叔母様の養女になったけれど、私とは姉妹なの!」
驚いた凛さんに、とてもいい笑顔をしたのだった。
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