(完)旦那様、あなたの愛はどこにあるのですか?

青空一夏

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(アラベル視点)

 裁判で私は参考人席に座り、ジュスタン様が私を「どうでもいい女だ」と言うのを聞く。ジュスタン様に媚薬を盛ろうとしたのは事実だけど、誘いにのったジュスタン様も、きっと私が好みなのだろうと思っていた。

 正妻にはなれないけど、男子を産めばきっと当主の母親くらいにはなれるはずだ。子供だって私が育てられると信じていた。でも、ジュスタン様に「子供を産む為だけの袋で人間じゃない」とまで言われる。いくらなんでも酷すぎない?

(殺してやりたい・・・・・・いつかこのジュスタン様を殺してやる。私をこんなにコケにしたのだから)

 ジュスタン様は「自分のものにならないなら死ね」と、ロズリーヌお姉様にナイフを投げた。自分のものにならないなら死ね・・・・・・か。言っている意味はわかる。あたしにだって似たような思いはあるから。



 幼い頃に飼ったインコ。とても綺麗なインコなのに少しも懐かなかった。近所の女の子が飼っていたインコは人間の言葉もしゃべって、自分から手に乗ってくるのに。私のインコは私が手を伸ばせば逃げて、少しも人の言葉を話さない。

(こんなインコ、いらない。どっかに行っちゃえ!)

 冬の寒い日に鳥を籠から出して追い立てた。戻ってこようとすると、石を投げて飛び立つように仕向ける。

(お前なんかいらない! 早くどこかに飛んでいけ!)

 インコはどこかに飛んでいき、その後はどうなったか知らない。多分、飼われていた鳥だから自分で生きていくことなんてできないだろう。それでも私は意地悪な気持ちで、「ざまぁみろ」と思った。

(私に懐かないから悪いのよ。ちゃんと懐いて人の言葉を話せたら、大事に可愛がってあげたのに)

 だから、ジュスタン様の気持ちはわかる。自分の思い通りにならないなら、それが生きていることになんの価値があるの?


 

 私は戒律の厳しい修道院に入れられた。こんなところは退屈だったけれど、子供を産むまではそこにいた。産んで身軽になれば逃げられるから我慢した。

 皆が寝静まる頃に、修道院を抜けだす。ところがここは山のなかで、危険な野生動物がたくさんいることを忘れていた。

 大きな熊が現れて・・・・・・「殺られる」と、思った瞬間山賊に助けられた。

「なんでもするから仲間に入れてよ」
 賊頭の女になって、一緒に盗みを働き人も殺した。

「お前はいい女だな。まるで俺の為に産まれてきたようだよ。ひとつ望みを言ってみな? 叶えてあげよう」

「本当に? だったらジュスタン・ギャール公爵の墓に行きたいわ。死刑になったはずなのよ。本当は私が殺してやりたかったけどね」

 



 しばらくして、賊頭が私に極秘情報を教えてくれた。

「そいつは死刑になってないぜ。シャンパトリタン辺境伯領の国境あたりにいるって話だ」

「そうなんだ。じゃぁさ、そこに行ってあいつを殺してきてよ。特徴はね・・・・・・」
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