(完結)妹と婚約者に殺されそうになりましたが、時間が巻き戻ったので全力で回避します!

青空一夏

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 コルデリアのお兄様マーロン様は考古学の専門で、遺跡に残されたものを手がかりにして、昔の人々の暮らしを研究するのが大好きだ。

「考えてみてよ。5,000年前の人々の暮らしはどのようなものだったのだろうか? それが想像できる遺跡は、ロマン溢れるものだと思う。生活スタイルは全く違うけれど、そこに生きていた人々はわたしたちの祖先だ。そして日々新たな発見もあるのさ」
 キラキラした瞳で語る顔つきはまさに少年そのもの。王家お抱えの学者様なのだけれど、どこか浮世離れしていて、私をいつも太古の世界にいざなってくれる。時間を遡る大旅行よ。

 私はプリース女侯爵として事業経営をし家を守る、マーロン様は想像力豊かでユーモアたっぷりに古代文明の話で私を笑わせる。バランスは悪くない。と、言うより最高かも。





「結婚していただけませんか? わたしは学者ですから気の利いたことは言えないし、ダンスもそれほど上手ではありません。ですが、ビアンカ様を一生愛して決して裏切らないことを誓いますよ」
 夢見るような眼差しは青空を切り取ったようなブルー。高い鼻梁に形の良い唇は、学者というより人気舞台俳優のようだ。

「裏切らないことは知っていますわ。だって、マーロン様の頭には古代ロマンが80パーセント。あとの20パーセントは私でしょう?」

「いいえ、逆ですよ。80がビアンカ様で20が考古学です」

「まぁ、嘘つきね。でも、そういうことにしておいてあげましょう」

 私もマーロン様の影響で遺跡が大好きになったから、夫婦で遺跡巡りも楽しそうだ。子供ができてその子が成人し私が爵位を譲ったら、絶対夫婦で各国の遺跡を旅して歩こう、と約束しあう。この方となら自分がお婆さんになっても、きっと楽しく暮らせそうだと確信したわ。




 




 マーロン様と結婚して子供を身籠もった頃に、王立図書館で偶然見つけた魔法の書。そこには禁断の時戻しの魔法が載っていた。

「最も愛する者の為に時を戻す者は、その身を捧げることによって死者を復活させることができる。まずは利き手が使えなくなり、時を戻した者の身体的機能は失われていく。生存期間はおよそ1年。みずからの命を懸けないと死者の時間は戻せないのである・・・・・・」

 私はその場に膝をついて涙を流す。グレイソンはこれをしたに違いない。彼はこれから弱っていく身体をみせられないから去ったんだ。

(どうしよう、あれからもう2年半が過ぎており・・・・・・私のお腹には新しい命が宿っている・・・・・・私だけ幸せになったんだ・・・・・・ごめんね・・・・・・グレイソン)


 と思ったら、その本には続きがあって・・・・・・


『時戻しの術を行った者はまた復活する。復活させた者の子供として生まれ変わるのだ』と。どういう意味? 死んだ者がグレイソンよね。ならば、グレイソンは私の子供として生まれ変わるってこと?

 私はそっとお腹を撫でた。
(ちょっと、もしかしてグレイソン! あなたはここにいるの?)
 お腹に向かって話しかけると、元気にお腹を蹴ってくる。


(なんてこと! 神様、感謝します。彼から受けた恩は、母親としてこの子に必ず返します!)





 


 ここはプリース侯爵家。私の可愛い息子はグレイと名付けられ、今年で6歳になる。グレイはとても暗算が得意で、私の執務室で帳簿を絵本がわりに見ている。素晴らしく賢いのは当たり前だ。

「なんだ! この子は天才だ! すごいぞ! グレイ」

 マーロン様はグレイの頭を撫でて誇らしそうだ。私もグレイを抱きしめていつも「愛している」と、言ってあげる。そんな時、グレイは泣きそうになって微笑むのだ。




「お帰りなさい。グレイソン。私の息子に産まれてくれてありがとう」
 私はグレイにだけ聞こえるようにそっとささやくのだった。



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