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3 ゴドフロア叔父の嘘
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両親がいない状態で、ゴドフロワ伯父様の申し出を断ることはできなかった。この国の成人は16歳で、私はまだ14歳になったばかりだから。
「アリゼに不自由はさせないよ。ところで兄上の絵は3階のアトリエにあるだけかい? ずいぶん少ないと思う」
「……3階にあるだけですわ。最近は、あまり絵は描かなかったので」
私は反射的に嘘をつく。最近のお父様は、描いた絵をすぐにシアニア王国の画商に送っていた。売れた代金は、お父様が定期的にそこに赴き受け取っていた。私は何度もその画商に連れて行ってもらったことがあるけれど、それは決してゴドフロア叔父様に教えてはいけない気がした。
世界的に有名になってからのお父様の雅号は『レオナルド・ダ・ヴィンロン』で、謎のヴェールに包まれた画家として有名だった。顔も本名も公にはしていない。
「そうかい。それでも、まぁ相当な価値だな。これらの絵は、わたしが預かっておくよ。ほら、アリゼを引き取っていろいろ世話をしてあげるお金も必要だろう?」
ゴドフロア叔父様は、嬉しそうにお父様の絵を眺めて自分の馬車に次々と運び込んだ。
ドナシアン伯爵家に着きゴドフロア叔父様に連れられて居間に向かう。
「おかえりなさいませ、あなた。早速、そんな厄介者を連れて来たのですね? なぜ私達が引き取らなければならないのでしょう? 侍女の子供でシドニー様は勘当されたのですから平民でしょう?」
「いや、兄は勘当はされたが、ドナシアン伯爵家から除籍はされていなかった。だから、このアリゼはドナシアン伯爵令嬢の地位にある」
「嘘でしょう? なんで、こんな子もドナシアン伯爵令嬢なのよ? あんたなんて侍女が産んだ望まれない子だったくせに。貧乏人が伯爵令嬢になりたくてここに来るなんて図々しいわよ」
私の従姉妹らしき令嬢からいきなりなじられる。
「きっとお金が目当てね? あなたのお父様はとても優秀な方だったけど、国境近くのぼろ屋で生活に困窮していたのでしょう? よくも弟のゴドフロアからお金をせびっていたわね? 恥ずかしくないのかしら?」
こちらは、ゴドフロア叔父様の奥方ね。
「は? なんのことでしょう?」
私にはこの方達の言っている意味がまるでわからない。
「とぼけないでよ。お父様は度々、『困っているシドニー兄上にお金を貸しに行くよ』と、言ってお出かけになられたわ」
ゴドフロア叔父様を見ると、わざとらしく目を逸らし大嘘を言ってのけた。
「兄上は借金まみれで苦しんでいた。弟として助けることは当然じゃないか。それにアリゼはとても綺麗で伯爵令嬢に相応しい品格がある。引き取ってあげなければかわいそうだろう? アリゼが『ドナシアン伯爵令嬢になりたい』と、わたしに願い出たのだ。可愛い姪の頼みは断れないよ」
なるほど、このゴドフロア叔父様がいつも一人で来たのは、私達家族が裕福な生活をしているところをこの妻娘に見せない為だったのか。そして、自分がお金を借りたくせにお父様に貸したことにしていたのね。
「さぁ、アリゼはなにも気にしなくていい。王立学園もブロンシュと一緒に通いなさい」
「え? 貴族学園ですか? 私は通いたくありません」
私のびっくりした声音に、従姉妹は笑い転げた。
「あっははは。そうよね? 貴族の挨拶もマナーも、なにもかも知らない平民ですものね? 大恥かいちゃうもん。面白いから一緒に通いましょうよ。どうせ、お勉強もまともにできないのでしょう?」
私はこの失礼な従姉妹から思いっきりバカにされたのだった。
「アリゼに不自由はさせないよ。ところで兄上の絵は3階のアトリエにあるだけかい? ずいぶん少ないと思う」
「……3階にあるだけですわ。最近は、あまり絵は描かなかったので」
私は反射的に嘘をつく。最近のお父様は、描いた絵をすぐにシアニア王国の画商に送っていた。売れた代金は、お父様が定期的にそこに赴き受け取っていた。私は何度もその画商に連れて行ってもらったことがあるけれど、それは決してゴドフロア叔父様に教えてはいけない気がした。
世界的に有名になってからのお父様の雅号は『レオナルド・ダ・ヴィンロン』で、謎のヴェールに包まれた画家として有名だった。顔も本名も公にはしていない。
「そうかい。それでも、まぁ相当な価値だな。これらの絵は、わたしが預かっておくよ。ほら、アリゼを引き取っていろいろ世話をしてあげるお金も必要だろう?」
ゴドフロア叔父様は、嬉しそうにお父様の絵を眺めて自分の馬車に次々と運び込んだ。
ドナシアン伯爵家に着きゴドフロア叔父様に連れられて居間に向かう。
「おかえりなさいませ、あなた。早速、そんな厄介者を連れて来たのですね? なぜ私達が引き取らなければならないのでしょう? 侍女の子供でシドニー様は勘当されたのですから平民でしょう?」
「いや、兄は勘当はされたが、ドナシアン伯爵家から除籍はされていなかった。だから、このアリゼはドナシアン伯爵令嬢の地位にある」
「嘘でしょう? なんで、こんな子もドナシアン伯爵令嬢なのよ? あんたなんて侍女が産んだ望まれない子だったくせに。貧乏人が伯爵令嬢になりたくてここに来るなんて図々しいわよ」
私の従姉妹らしき令嬢からいきなりなじられる。
「きっとお金が目当てね? あなたのお父様はとても優秀な方だったけど、国境近くのぼろ屋で生活に困窮していたのでしょう? よくも弟のゴドフロアからお金をせびっていたわね? 恥ずかしくないのかしら?」
こちらは、ゴドフロア叔父様の奥方ね。
「は? なんのことでしょう?」
私にはこの方達の言っている意味がまるでわからない。
「とぼけないでよ。お父様は度々、『困っているシドニー兄上にお金を貸しに行くよ』と、言ってお出かけになられたわ」
ゴドフロア叔父様を見ると、わざとらしく目を逸らし大嘘を言ってのけた。
「兄上は借金まみれで苦しんでいた。弟として助けることは当然じゃないか。それにアリゼはとても綺麗で伯爵令嬢に相応しい品格がある。引き取ってあげなければかわいそうだろう? アリゼが『ドナシアン伯爵令嬢になりたい』と、わたしに願い出たのだ。可愛い姪の頼みは断れないよ」
なるほど、このゴドフロア叔父様がいつも一人で来たのは、私達家族が裕福な生活をしているところをこの妻娘に見せない為だったのか。そして、自分がお金を借りたくせにお父様に貸したことにしていたのね。
「さぁ、アリゼはなにも気にしなくていい。王立学園もブロンシュと一緒に通いなさい」
「え? 貴族学園ですか? 私は通いたくありません」
私のびっくりした声音に、従姉妹は笑い転げた。
「あっははは。そうよね? 貴族の挨拶もマナーも、なにもかも知らない平民ですものね? 大恥かいちゃうもん。面白いから一緒に通いましょうよ。どうせ、お勉強もまともにできないのでしょう?」
私はこの失礼な従姉妹から思いっきりバカにされたのだった。
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