8 / 12
8 実はからくり本が大好き(ルーカスside)
ルーカス視点
「さぁ、私がルーカス様のお母様になって差し上げますわ! ママンと今日から呼んでくださって構いませんわよ。きっと母親の愛情が欠如していたからこうなったのでしょうね。まずは一緒にしりとり遊びをしてさし上げましょう。それとも積み木がいい? 幼児向け推薦図書の読み聞かせもいいわね」
およそ正気とは思えない発言をしながら病室に入ってきたリッチモンド家の平民女に俺は度肝を抜かす。しかも大きなバッグから取り出したのは”舐めても安全よい子の積み木”と情操教育にこの一冊をの”よい子の飛び出す絵本”であった。
「お前はバカなのか! およそ正気ではあるまい。俺に積み木と絵本を持ってきて、しりとり遊びをしようなんて・・・・・・叔父上、こいつ頭がおかしいです。俺を今すぐここから出してこいつを病院に入れたほうがいい!」
俺は必死になって叔父に意見をした。
(だって、そうだろう? 絶対、変だよ。おかしいだろう? 俺は幼児じゃない!)
「まぁ、恥ずかしがらなくてもいいですわ。さぁて、”リンゴ” はいどうぞ。さぁ、さぁ?」
「??」
「”リンゴ”と言えば”ゴリラ”でしょう。ゴのつく言葉は他にもたくさんありましてよ。ゴーフルとかゴンドラとかね。ちょっと難しかったですか?」
金持ち平民女が俺に憐れんだような眼差しを向けた。
「いやいやいやいや。ちょっと待て!! 俺の知能をバカにするのはやめろ。ゴのつく言葉なら簡単だからっ! いいか、待ってろ。強盗、強欲、極悪、ゴキブリ!! どうだ? 」
俺は胸を張って自慢げに鼻の穴を膨らませたのである。
「んまぁ、連想する言葉が闇すぎますわ。やはり情操教育のところで失敗したようですわね。そうしたら、みんなで力を合わせて一つのことを成し遂げようとする尊いお話を読んでさしあげますからね! 」
「・・・・・・やっぱりこの女、おかしいです」
俺は魚の死んだ目で叔父に目をやったが、叔父はキラキラと輝いた眼差しで金持ち平民女を見つめていた。
(あ、これはダメなやつだ。すっかりこの金持ち平民女に洗脳されている・・・・・・正気に戻れよ!)
「さぁ、読みますよぉーー。むかしむかしのこと。おじいさんが、にんじんのタネを植えました。どんどんおおきくなったそのにんじんはおじいさんよりおおきくなったのです」
「いや。にんじんが人間よりでかくなんてなんねーし」
俺はふてくされながらもそこは訂正したい。
「『よいしょ、よいしょ』ところが、にんじんはビクとも動きません・・・・・・おばあさんが手伝って・・・・・・お母さん・・・・・・お父さん・・・・・・隣のおじさん、おばさん、お姉さん・・・・・・孫に玄孫に・・・・・・馬ロバ羊鶏・・・・・・『よいしょ、よいしょ』・・・・・・どれだけ引っ張ってもにんじんは抜けなかったとさ」
「いや、どんだけ動員してんだよ? しかも抜けないってなんなの? おかしいだろ?」
「まぁ、それほど面白かったですか? すっかりこのお話に引き込まれましたのね。これはつまりどれだけ人を集めてもまたは悩んだとしても、解決できない問題がこの世にはあるのだから気にするなってことですわ! それよりもこうしてたくさんの種族を超えた者同士が協力して一つのことをする、これが素晴らしく尊いという教えなのですわ。結果を気にしてはいけません。努力が大事♪ それよりこの馬ロバ鶏の絵をそっと押してみて下さい。鳴き声が聞こえてきますのよ。場面に応じて音楽も流れます。ここを押してください。ほら音が聞こえてきた。これは最新式の絵本ですわ」
「え! ちょっと貸して。ふむふむ。本当だ。音まででるのか? これはどうやってでるのだろう?」
「音楽は極小のオルゴールをこの本の中に仕掛けてあります。動物の音が出る仕組みは企業秘密ですわ。リッチモンド家が経営する子供向け絵本作成事業部で最近開発した技術がたくさん詰まっているのですわ」
「ほぉ、すごいな、これは。とても気に入った。この登場人物の飛び出し方も斬新だなぁ。あらゆる方向に飛び出すんだな。すごい、すごい・・・・・・」
俺は一心不乱にその飛び出す絵本に見入っていると、叔父がしんみりとした顔でこちらを見ているのに気がついた。
「うんうん。そうか。お前はこういうことが好きだったんだな。もっと早く絵本をたくさん与えていれば良かった」
と叔父。
(ちがっ!!違うってば!! 俺はこの仕組みに興味があるだけだって!! ストーリーに興味があるわけないだろう? 誤解すんな)
「叔父上! 俺は絵本が好きなわけじゃないですよ!」
「いいからいいから。グレイス嬢このような絵本はまだあるだろうか? もっと読ませてやりたい」
「もちろんありますとも!! 開発途中の物も含めたら何百冊もございます。明日にでもまた持ってきましょうね」
「え! そんなに! あ、ありがとう」
俺は自然と頬が緩みお礼を言っていた自分に、はっと気がつき赤面した。俺はからくり本の作成に興味があるんだ。工作のような手を使って何かを作る作業は、剣術や学問よりもずっと好きなのだった。
୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧
有名なロシアの民話となんか似ておりますが気のせいです。結果も違う登場人物も違うので(笑)
ルーカス、更生しそうですかね・・・・・・この先の展開は作者にもわかりません(•́ε•̀;ก)💦
「さぁ、私がルーカス様のお母様になって差し上げますわ! ママンと今日から呼んでくださって構いませんわよ。きっと母親の愛情が欠如していたからこうなったのでしょうね。まずは一緒にしりとり遊びをしてさし上げましょう。それとも積み木がいい? 幼児向け推薦図書の読み聞かせもいいわね」
およそ正気とは思えない発言をしながら病室に入ってきたリッチモンド家の平民女に俺は度肝を抜かす。しかも大きなバッグから取り出したのは”舐めても安全よい子の積み木”と情操教育にこの一冊をの”よい子の飛び出す絵本”であった。
「お前はバカなのか! およそ正気ではあるまい。俺に積み木と絵本を持ってきて、しりとり遊びをしようなんて・・・・・・叔父上、こいつ頭がおかしいです。俺を今すぐここから出してこいつを病院に入れたほうがいい!」
俺は必死になって叔父に意見をした。
(だって、そうだろう? 絶対、変だよ。おかしいだろう? 俺は幼児じゃない!)
「まぁ、恥ずかしがらなくてもいいですわ。さぁて、”リンゴ” はいどうぞ。さぁ、さぁ?」
「??」
「”リンゴ”と言えば”ゴリラ”でしょう。ゴのつく言葉は他にもたくさんありましてよ。ゴーフルとかゴンドラとかね。ちょっと難しかったですか?」
金持ち平民女が俺に憐れんだような眼差しを向けた。
「いやいやいやいや。ちょっと待て!! 俺の知能をバカにするのはやめろ。ゴのつく言葉なら簡単だからっ! いいか、待ってろ。強盗、強欲、極悪、ゴキブリ!! どうだ? 」
俺は胸を張って自慢げに鼻の穴を膨らませたのである。
「んまぁ、連想する言葉が闇すぎますわ。やはり情操教育のところで失敗したようですわね。そうしたら、みんなで力を合わせて一つのことを成し遂げようとする尊いお話を読んでさしあげますからね! 」
「・・・・・・やっぱりこの女、おかしいです」
俺は魚の死んだ目で叔父に目をやったが、叔父はキラキラと輝いた眼差しで金持ち平民女を見つめていた。
(あ、これはダメなやつだ。すっかりこの金持ち平民女に洗脳されている・・・・・・正気に戻れよ!)
「さぁ、読みますよぉーー。むかしむかしのこと。おじいさんが、にんじんのタネを植えました。どんどんおおきくなったそのにんじんはおじいさんよりおおきくなったのです」
「いや。にんじんが人間よりでかくなんてなんねーし」
俺はふてくされながらもそこは訂正したい。
「『よいしょ、よいしょ』ところが、にんじんはビクとも動きません・・・・・・おばあさんが手伝って・・・・・・お母さん・・・・・・お父さん・・・・・・隣のおじさん、おばさん、お姉さん・・・・・・孫に玄孫に・・・・・・馬ロバ羊鶏・・・・・・『よいしょ、よいしょ』・・・・・・どれだけ引っ張ってもにんじんは抜けなかったとさ」
「いや、どんだけ動員してんだよ? しかも抜けないってなんなの? おかしいだろ?」
「まぁ、それほど面白かったですか? すっかりこのお話に引き込まれましたのね。これはつまりどれだけ人を集めてもまたは悩んだとしても、解決できない問題がこの世にはあるのだから気にするなってことですわ! それよりもこうしてたくさんの種族を超えた者同士が協力して一つのことをする、これが素晴らしく尊いという教えなのですわ。結果を気にしてはいけません。努力が大事♪ それよりこの馬ロバ鶏の絵をそっと押してみて下さい。鳴き声が聞こえてきますのよ。場面に応じて音楽も流れます。ここを押してください。ほら音が聞こえてきた。これは最新式の絵本ですわ」
「え! ちょっと貸して。ふむふむ。本当だ。音まででるのか? これはどうやってでるのだろう?」
「音楽は極小のオルゴールをこの本の中に仕掛けてあります。動物の音が出る仕組みは企業秘密ですわ。リッチモンド家が経営する子供向け絵本作成事業部で最近開発した技術がたくさん詰まっているのですわ」
「ほぉ、すごいな、これは。とても気に入った。この登場人物の飛び出し方も斬新だなぁ。あらゆる方向に飛び出すんだな。すごい、すごい・・・・・・」
俺は一心不乱にその飛び出す絵本に見入っていると、叔父がしんみりとした顔でこちらを見ているのに気がついた。
「うんうん。そうか。お前はこういうことが好きだったんだな。もっと早く絵本をたくさん与えていれば良かった」
と叔父。
(ちがっ!!違うってば!! 俺はこの仕組みに興味があるだけだって!! ストーリーに興味があるわけないだろう? 誤解すんな)
「叔父上! 俺は絵本が好きなわけじゃないですよ!」
「いいからいいから。グレイス嬢このような絵本はまだあるだろうか? もっと読ませてやりたい」
「もちろんありますとも!! 開発途中の物も含めたら何百冊もございます。明日にでもまた持ってきましょうね」
「え! そんなに! あ、ありがとう」
俺は自然と頬が緩みお礼を言っていた自分に、はっと気がつき赤面した。俺はからくり本の作成に興味があるんだ。工作のような手を使って何かを作る作業は、剣術や学問よりもずっと好きなのだった。
୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧
有名なロシアの民話となんか似ておりますが気のせいです。結果も違う登場人物も違うので(笑)
ルーカス、更生しそうですかね・・・・・・この先の展開は作者にもわかりません(•́ε•̀;ก)💦
あなたにおすすめの小説
妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました
日々埋没。
恋愛
「すまないが僕は真実の愛に目覚めたんだ。ああげに愛しきは君の妹ただ一人だけなのさ」
公爵令嬢の主人公とその婚約者であるこの国の第一王子は、なんでも欲しがる妹によって関係を引き裂かれてしまう。
それだけでは飽き足らず、妹は王家主催の晩餐会で婚約破棄された姉を大勢の前で笑いものにさせようと計画するが、彼女は自分がそれまで周囲の人間から甘やかされていた本当の意味を知らなかった。
そして実はそれまで虐げられていた主人公こそがみんなから溺愛されており、晩餐会の現場で真実を知らされて立場が逆転した主人公は性格も見た目も醜い妹に決別を告げる――。
※本作は過去に公開したことのある短編に修正を加えたものです。
異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。
殿下をくださいな、お姉さま~欲しがり過ぎた妹に、姉が最後に贈ったのは死の呪いだった~
和泉鷹央
恋愛
忌み子と呼ばれ、幼い頃から実家のなかに閉じ込められたいた少女――コンラッド伯爵の長女オリビア。
彼女は生まれながらにして、ある呪いを受け継いだ魔女だった。
本当ならば死ぬまで屋敷から出ることを許されないオリビアだったが、欲深い国王はその呪いを利用して更に国を豊かにしようと考え、第四王子との婚約を命じる。
この頃からだ。
姉のオリビアに婚約者が出来た頃から、妹のサンドラの様子がおかしくなった。
あれが欲しい、これが欲しいとわがままを言い出したのだ。
それまではとても物わかりのよい子だったのに。
半年後――。
オリビアと婚約者、王太子ジョシュアの結婚式が間近に迫ったある日。
サンドラは呆れたことに、王太子が欲しいと言い出した。
オリビアの我慢はとうとう限界に達してしまい……
最後はハッピーエンドです。
別の投稿サイトでも掲載しています。
甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラフェリアは、実家との折り合いが悪く、王城でメイドとして働いていた。
そんな彼女は優秀な働きが認められて、第一王子と婚約することになった。
しかしその婚約は、すぐに破談となる。
ラフェリアの妹であるメレティアが、王子を懐柔したのだ。
メレティアは次期王妃となることを喜び、ラフェリアの不幸を嘲笑っていた。
ただ、ラフェリアはわかっていた。甘やかされて育ってきたわがまま妹に、王妃という責任ある役目は務まらないということを。
その兆候は、すぐに表れた。以前にも増して横暴な振る舞いをするようになったメレティアは、様々な者達から反感を買っていたのだ。
愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。