(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏

文字の大きさ
5 / 18

5 ジェイコブ・プリンシペ公爵嫡男の気持ち(イサベラの兄)

しおりを挟む
  僕は学園でも社交界でも『王女に気に入られた逆玉の輿男の子供』と揶揄された。これは幼い頃からだ。父上そっくりの藤色の髪と瞳は珍しく、その美貌を受け継いだ僕は女性からとても好かれた。

「またジェイコブの奴、女に囲まれてるよ。やっぱり父親と同じで女に気に入られてラッキーボーイとして生きていくんだよ。なんの功績もあげずに文官にも騎士にもなれなかった男が公爵になって、その無能な息子がまたそれを継ぐなんて世の中っておかしいなぁ」
 おもしろおかしく言う奴らは決まって僕と同じ程度の能力以下の者だった。抜きん出る奴らはそんなことも言わず黙々と努力していたから。


「でも、あのイサベラ様は王女殿下そっくりで気品があって、まさに王家の血筋だよな。やはり、高貴な方だからなにをやらせても優秀だしなぁ」

 同じ両親の間に生まれながらなぜこれほど評価が違う? 確かにイサベラは母上に似て音楽の才能もあり、賢妃とうたわれた王太后殿下に似て頭が良かった。



 イサベラの勉強を見ているとコンプレックスの塊になる。世の中にはテキストを一回読んで理解できる者と複数回読まないと理解できない者がいる。イサベラは明らかに前者で成績はいつもトップだった。

『努力は報われる』って嘘だよ。確かに頑張れば成績は上の下ぐらいまではいけたが僕にトップはとれなかった。剣や格闘関係はさらに無理だった。結果、いろいろなことを言われるんだ。




 そんなモヤモヤを抱えていた時にイングリッドがプリンシペ公爵家にやって来た。この子は全く可愛いだけの子だった。自分より下の者を見るのは安心するよな。

 このイングリッドならどんなに可愛がっても自分の地位を脅かさない。しかも、この子は言っちゃ悪いが頭は余り良くなかった。テキストを数回読んだだけでは理解できないタイプで、かなり時間をかけないと頭に入らないようだった。

 容姿だって小柄で小動物みたいだ。可愛いだけの女の子は一緒にいて心地よい。僕が理解できない数式を駆使して、いとも簡単に数学の難題をスラスラと解くイサベラよりも本当の妹の気がするよ。

 イサベラは強い子だしなんでもできる。だから、もう僕が守ってあげなくても大丈夫だ。これから守るべき対象はイングリッドだと思う。


しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

行ってらっしゃい旦那様、たくさんの幸せをもらった私は今度はあなたの幸せを願います

木蓮
恋愛
サティアは夫ルースと家族として穏やかに愛を育んでいたが彼は事故にあい行方不明になる。半年後帰って来たルースはすべての記憶を失っていた。 サティアは新しい記憶を得て変わったルースに愛する家族がいることを知り、愛しい夫との大切な思い出を抱えて彼を送り出す。 記憶を失くしたことで生きる道が変わった夫婦の別れと旅立ちのお話。

では、復讐するか

らがまふぃん
恋愛
ロットタニア王国王太子リスラン・ノーサテリテ・ロットタニアには、一つ年下のワーテラー公爵次女、ユセフィラ・サウロ・ワーテラーというとても評判の良い婚約者がいる。 そんな二人の関係は、学園に入ってから陰りが見える。 伯爵令嬢スウィーディー・オプトとリスランやその側近たちとの様々な憶測が囁かれていたある日、隣国に留学していた子爵令息のコノア・クルードが学園に編入してきた。 コノアは、噂の伯爵令嬢スウィーディーから聞かされる。 みんなはユセフィラに騙されている、だからリスランから離さないといけない、という内容だった。 周辺国にまで評判の良いユセフィラの噂は、隣国にいたコノアの耳にも当然入っている。 一方、スウィーディーの学園での評判は悪いものばかり。 評判の悪い自分は信じてもらえないことはわかっている、と自身の学園での評価も理解しているスウィーディー。 自分の見たものを信じるコノアは、スウィーディーと行動を共にすることになるのだが――。 ※ご都合主義です。ポンコツ作者の作品ですので残念感がすごいですが、鼻で笑ってくだされば。幕間含め全二十四話+番外編でお届けいたします。番外編は、気まぐれに投稿します。よろしかったらお付き合いください。 ※R6.7/9HOTランキング入りしておりました!ひとつ前の作品 精霊の使い?いいえ、違います。 に続いての快挙です。連載中の作品がランキング入りをするのが初めてで、続きがある状態でたくさんの方々の目に触れる機会に恵まれ嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、いいねを本当にありがとうございます。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/3に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

あなたにわたくしは相応しくないようです

らがまふぃん
恋愛
物語の中だけの話だと思っていました。 現実に起こることでしたのね。 ※本編六話+幕間一話と後日談一話の全八話、ゆるゆる話。何も考えずにお読みください。 HOTランキング入りをしまして、たくさんの方の目に触れる機会を得られました。たくさんのお気に入り登録など、本当にありがとうございました。 完結表示をしようとして、タグが入っていなかったことに気付きました。何となく今更な感じがありますが、タグ入れました。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

処理中です...