(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏

文字の大きさ
14 / 18

14 最終話 私は幸せ

しおりを挟む
「はぁ? 父上、どうして・・・・・・」

「どうしてだと? お前は王太子妃品格保持費をなんだと思っているのだ? これは王太子妃の為の特別な費用だ。お前に許された使い道は王太子妃に内定していたイサベラへのプレゼントだけだ。それなのに、これは・・・・・・なぜアパルトマン(家具付きの高級アパート)を4部屋も借りているのだ? しかも、そこに娼婦を住まわせ生活費まで与え・・・・・・よだれかけと乳母車を買っただと?・・・・・・お前がよだれかけをかけ乳母車に乗り赤ちゃんからやり直せ! こんなことでは町中に王家の落胤が溢れかえってしまうわい! まだ王太子の身分でこれをやるとは」

「つっ・・・・・・確かに早すぎたかもしれませんね。ですが父上! サンマリラ国王1世は囲った女が30人いました。敬愛すべきご先祖様がそれなのですから、問題はないかと思います」

「はぁーー。王妃! このバカ者に説明してあげてくれ。なぜ、こんなバカに育ったのだろうか? 歴史は勉強したのだろう? なぜこうなった?」

「エンリケ、お前と初代の国王陛下とでは時代も背景も違います。しかも、初代の王は英雄であり神にも等しき方でした。そして、囲ったとは言ってもそれは愛人とは意味が違います。初代王は近隣諸国との戦の折、手柄を立てながらも戦死した忠義者の妻達を引き取り後宮に住まわせたのです。あれは愛妾ではありません。その生活を保障し面倒をみるために囲っただけです」

「ふっ。母上。そんな綺麗ごとを信じているのですか? 男なら女を後宮に住まわせたら普通は・・・・・・」

「浅ましい。後宮で面倒を見たのは新たに嫁入りするには年齢がいきすぎた夫人ばかりだった。彼女達はそこで清く正しく生活をしたのだ。それが今の修道院の始まりだと言われている。なぜこうも自分の都合の良いように解釈できるのか?」

「嘘だ! それこそ、サンマリラ一世を神格化したいだけの作り話だ。私は信じない!」
 わめき散らした王太子殿下はそのまま騎士達に連れていかれたのだった。国王陛下は憤慨しながらも情けない顔をなさっていたが、次の処分についてはこうおっしゃった。

「ジェイコブは規律が特に厳しい修道士だけがいる修道院で3年修行をしろ。その後の態度で処分を決める」

 お兄様らしき人は泣きそうな顔で膝から崩れ落ち、王家の騎士達に支えられて退場していった。このままではお通夜のような国王陛下の誕生パーティになってしまう。

 その場にいた貴族達は皆が何を言っていいものか途方に暮れているようだった。ところがレオ王太子殿下の言葉がその場の空気をガラリと変えた。

「余興は終わりです。さぁ、ここからが楽しい舞踏会のはじまりだ! 今こそ国王陛下の誕生を祝いましょう。そして新たに王太子になった私は日々精進し、皆の期待に応えることをここに誓う!」
 その言葉に貴族達の誰もが祝福の言葉を口にした。

「国王陛下、お誕生日おめでとうございます!」

「レオ王太子殿下万歳!」

「イサベラ様万歳!」

「国王陛下、おめでとうございます!」

 たくさんの祝福の言葉に私とレオ王太子殿下がにっこりしあう。私はこの方とずっと婚約者でいたような気分だった。

 悲しい記憶が戻らないのは神様の恵みかもしれない。幸せな今があれば過去はいらない。


「さぁ、イサベラ! 私と踊ろう。今までもこれからも私がずっと守っていくから少しも心配しなくていい」
 レオ王太子殿下にそう言われると全てがうまくいくように感じる。そっと頬にくちづけられるとほわんとした幸福感に包まれた。

「はい。レオ様がいらっしゃれば、なにもかも安心ですわ」

 私は心の底からそう思った。これは狂おしい燃えるような恋ではないけれど、絶対的な愛に裏付けられた安心感。私はそう感じられる男性の妻になれる。

 嬉しさに頬はピンクにそまり、瞳が生き生きと輝くのを自分でも感じた。王妃殿下は私にそっとおっしゃった。

「今まで見るなかで一番綺麗よ。それこそ恋する乙女の顔だわ」


 






ꕤ୭*おまけ

ー1年後ー



「そう言えば、このあいだオペラの観劇でイングリッド様に似た後ろ姿を見たのですが」
 私が王妃殿下にお話すると王妃殿下はクビを横に振った。

「それはイングリッドではないでしょう。生きてはいますが一番あの子にふさわしい場所からは出られません」
 王妃殿下はそうおっしゃっただけでそれ以上はおっしゃらなかった。私は想像するしかなかった。

 多分彼女は・・・・・・


しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!

たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」 「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」 「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」 「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」 なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ? この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて 「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。 頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。 ★軽い感じのお話です そして、殿下がひたすら残念です 広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。

行ってらっしゃい旦那様、たくさんの幸せをもらった私は今度はあなたの幸せを願います

木蓮
恋愛
サティアは夫ルースと家族として穏やかに愛を育んでいたが彼は事故にあい行方不明になる。半年後帰って来たルースはすべての記憶を失っていた。 サティアは新しい記憶を得て変わったルースに愛する家族がいることを知り、愛しい夫との大切な思い出を抱えて彼を送り出す。 記憶を失くしたことで生きる道が変わった夫婦の別れと旅立ちのお話。

彼女はいなかった。

豆狸
恋愛
「……興奮した辺境伯令嬢が勝手に落ちたのだ。あの場所に彼女はいなかった」

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

身代わりの恋だと思っていました〜記憶を失った私に、元婚約者が泣いて縋る理由〜

恋せよ恋
恋愛
「君を愛している。一目惚れだったんだ」 18歳の伯爵令嬢エリカは、9歳年上のリヒャルト伯爵から 情熱的な求婚を受け、幸せの絶頂にいた。 しかし、親族顔合わせの席で運命が狂い出す。 彼の視線の先にいたのは、エリカの伯母であり、 彼の学生時代の恋人で「初めての女性」だった……ミレイユ。 「あの子は私の身代わりでしょう」「私はあなただけなの」 伯母ミレイユの甘い誘惑と、裏切りの密会。 衝撃の事実を目撃したエリカは、階段から転落し、 彼と過ごした愛しくも残酷な二年間の記憶だけを失ってしまう。 「……あの、どちら様でしょうか?」 無垢な瞳で問いかけるエリカに、絶望し泣き崩れるリヒャルト。 裏切った男と、略奪を企てた伯母。 二人に待ち受けるのは、甘い報復と取り返しのつかない後悔だった。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

処理中です...