1 / 11
1
しおりを挟む
「お願いです。リーズ嬢。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」
「でもね、私には両親が決めたエルガー様がいるのよ。彼はバロワ侯爵家の三男でお父様同士が大親友だし、お母様達もとても気が合うのよ。幼い頃からずっと守ってくれた、兄のような存在だわ」
私がルーズ伯爵家四男ジャン様の愛の告白を断るのはこれで11回目だ。
「エルガー様は幼なじみですよね? ずっと昔から側にいたのでしょう?」
「えぇ、大抵そばにいてくれたわ。だって家族ぐるみのお付き合いですもの」
バロワ侯爵家とマイエ侯爵家がとても仲がいいのは有名だ。お互い家柄も家格も釣り合い、社交界でも同等の影響力をもつ。
「リーズ様は本当にエルガー様が好きなのですか? ただ幼なじみというだけで一緒になるなんてナンセンスです。婚約者なんて替えてもらうべきですよ」
「そんなことはできませんわ」
「わたしの愛は真実の愛です。リーズ様のことを考えただけで夜も眠れないし、綺麗な花を見ればリーズ様にあげたいと思い、美味しい料理を食べればリーズ様にも食べさせてあげたいと思う。つまり24時間常にリーズ様だけを思っているのです。恋とはこのように人間の心を支配してしまう激しい感情です。リーズ様はエルガー様から愛の告白をされたことはありますか?」
エルガー様は3歳年上でいつも冷静沈着。こんなふうに感情を表に出されたことはない。最近では私より、お父様とマイエ侯爵家の事業や領地のことを真剣に話していることが多い。そう言えば、愛しているとか好きなんて言われたことはあったかしら? ・・・・・・ないかも・・・・・・
「ないですわ。でも貴族の結婚ってこんなものだと思います」
「リーズ様。マイエ侯爵家は大金持ちだし、政略結婚なんて必要ない家柄だと思いますよ。だから、自分が好きな男を選ぶべきです」
「そうでしょうか? 好きな男性ねぇ・・・・・・」
「ちなみに、エルガー様が恋しくて眠れない夜はありますか?」
「ぷっ、ないわ。恋しい、というよりエルガー様はお兄様というかんじで、頼れるし一緒にいて安心なのよ」
「それは恋じゃないです。さぁ、わたしと恋をしましょう」
キラキラと輝く金髪に、碧眼の瞳は海のように深く蒼い。とても整った顔立ちは、伯爵家の四男なのに王子様のように気品があった。
(確かにジャンは容姿がとてもいいわ。でもそれだけじゃぁ、結婚相手には相応しくない)
ある日エルガー様のエスコートで夜会に出席した時に事件は起こった。エルガー様にバヤル・ギヨン様が話しかけてそのまま姿が消え、ジャン様が庭園に私を誘う。
「少し散歩でもしませんか? エルガー様も庭園にいたようです」
「まぁ、エルガー様も? それなら一緒に行きますわ」
なんの疑問も持たずに庭園を散歩していくと、エルガー様の後ろ姿が見えピンクのドレス姿の令嬢が抱きついたのだった。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
バヤル・ギヨン:ギヨン男爵家の三男。
「でもね、私には両親が決めたエルガー様がいるのよ。彼はバロワ侯爵家の三男でお父様同士が大親友だし、お母様達もとても気が合うのよ。幼い頃からずっと守ってくれた、兄のような存在だわ」
私がルーズ伯爵家四男ジャン様の愛の告白を断るのはこれで11回目だ。
「エルガー様は幼なじみですよね? ずっと昔から側にいたのでしょう?」
「えぇ、大抵そばにいてくれたわ。だって家族ぐるみのお付き合いですもの」
バロワ侯爵家とマイエ侯爵家がとても仲がいいのは有名だ。お互い家柄も家格も釣り合い、社交界でも同等の影響力をもつ。
「リーズ様は本当にエルガー様が好きなのですか? ただ幼なじみというだけで一緒になるなんてナンセンスです。婚約者なんて替えてもらうべきですよ」
「そんなことはできませんわ」
「わたしの愛は真実の愛です。リーズ様のことを考えただけで夜も眠れないし、綺麗な花を見ればリーズ様にあげたいと思い、美味しい料理を食べればリーズ様にも食べさせてあげたいと思う。つまり24時間常にリーズ様だけを思っているのです。恋とはこのように人間の心を支配してしまう激しい感情です。リーズ様はエルガー様から愛の告白をされたことはありますか?」
エルガー様は3歳年上でいつも冷静沈着。こんなふうに感情を表に出されたことはない。最近では私より、お父様とマイエ侯爵家の事業や領地のことを真剣に話していることが多い。そう言えば、愛しているとか好きなんて言われたことはあったかしら? ・・・・・・ないかも・・・・・・
「ないですわ。でも貴族の結婚ってこんなものだと思います」
「リーズ様。マイエ侯爵家は大金持ちだし、政略結婚なんて必要ない家柄だと思いますよ。だから、自分が好きな男を選ぶべきです」
「そうでしょうか? 好きな男性ねぇ・・・・・・」
「ちなみに、エルガー様が恋しくて眠れない夜はありますか?」
「ぷっ、ないわ。恋しい、というよりエルガー様はお兄様というかんじで、頼れるし一緒にいて安心なのよ」
「それは恋じゃないです。さぁ、わたしと恋をしましょう」
キラキラと輝く金髪に、碧眼の瞳は海のように深く蒼い。とても整った顔立ちは、伯爵家の四男なのに王子様のように気品があった。
(確かにジャンは容姿がとてもいいわ。でもそれだけじゃぁ、結婚相手には相応しくない)
ある日エルガー様のエスコートで夜会に出席した時に事件は起こった。エルガー様にバヤル・ギヨン様が話しかけてそのまま姿が消え、ジャン様が庭園に私を誘う。
「少し散歩でもしませんか? エルガー様も庭園にいたようです」
「まぁ、エルガー様も? それなら一緒に行きますわ」
なんの疑問も持たずに庭園を散歩していくと、エルガー様の後ろ姿が見えピンクのドレス姿の令嬢が抱きついたのだった。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
バヤル・ギヨン:ギヨン男爵家の三男。
152
あなたにおすすめの小説
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
「小賢しい」と離婚された私。国王に娶られ国を救う。
百谷シカ
恋愛
「貴様のような小賢しい女は出て行け!!」
バッケル伯爵リシャルト・ファン・デル・ヘーストは私を叩き出した。
妻である私を。
「あっそう! でも空気税なんて取るべきじゃないわ!!」
そんな事をしたら、領民が死んでしまう。
夫の悪政をなんとかしようと口を出すのが小賢しいなら、小賢しくて結構。
実家のフェルフーフェン伯爵家で英気を養った私は、すぐ宮廷に向かった。
国王陛下に謁見を申し込み、元夫の悪政を訴えるために。
すると……
「ああ、エーディット! 一目見た時からずっとあなたを愛していた!」
「は、はい?」
「ついに独身に戻ったのだね。ぜひ、僕の妻になってください!!」
そう。
童顔のコルネリウス1世陛下に、求婚されたのだ。
国王陛下は私に夢中。
私は元夫への復讐と、バッケル伯領に暮らす人たちの救済を始めた。
そしてちょっとした一言が、いずれ国を救う事になる……
========================================
(他「エブリスタ」様に投稿)
妹は私から奪った気でいますが、墓穴を掘っただけでした。私は溺愛されました。どっちがバカかなぁ~?
百谷シカ
恋愛
「お姉様はバカよ! 女なら愛される努力をしなくちゃ♪」
妹のアラベラが私を高らかに嘲笑った。
私はカーニー伯爵令嬢ヒラリー・コンシダイン。
「殿方に口答えするなんて言語道断! ただ可愛く笑っていればいいの!!」
ぶりっ子の妹は、実はこんな女。
私は口答えを理由に婚約を破棄されて、妹が私の元婚約者と結婚する。
「本当は悔しいくせに! 素直に泣いたらぁ~?」
「いえ。そんなくだらない理由で乗り換える殿方なんて願い下げよ」
「はあっ!? そういうところが淑女失格なのよ? バーカ」
淑女失格の烙印を捺された私は、寄宿学校へとぶち込まれた。
そこで出会った哲学の教授アルジャノン・クロフト氏。
彼は婚約者に裏切られ学問一筋の人生を選んだドウェイン伯爵その人だった。
「ヒラリー……君こそが人生の答えだ!!」
「えっ?」
で、惚れられてしまったのですが。
その頃、既に転落し始めていた妹の噂が届く。
あー、ほら。言わんこっちゃない。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
妹が私の婚約者と結婚しちゃったもんだから、懲らしめたいの。いいでしょ?
百谷シカ
恋愛
「すまない、シビル。お前が目覚めるとは思わなかったんだ」
あのあと私は、一命を取り留めてから3週間寝ていたらしいのよ。
で、起きたらびっくり。妹のマーシアが私の婚約者と結婚してたの。
そんな話ある?
「我がフォレット家はもう結婚しかないんだ。わかってくれ、シビル」
たしかにうちは没落間近の田舎貴族よ。
あなたもウェイン伯爵令嬢だって打ち明けたら微妙な顔したわよね?
でも、だからって、国のために頑張った私を死んだ事にして結婚する?
「君の妹と、君の婚約者がね」
「そう。薄情でしょう?」
「ああ、由々しき事態だ。私になにをしてほしい?」
「ソーンダイク伯領を落として欲しいの」
イヴォン伯爵令息モーリス・ヨーク。
あのとき私が助けてあげたその命、ぜひ私のために燃やしてちょうだい。
====================
(他「エブリスタ」様に投稿)
私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪
百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。
でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。
誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。
両親はひたすらに妹をスルー。
「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」
「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」
無理よ。
だって私、大公様の妻になるんだもの。
大忙しよ。
私を棄てて選んだその妹ですが、継母の私生児なので持参金ないんです。今更ぐだぐだ言われても、私、他人なので。
百谷シカ
恋愛
「やったわ! 私がお姉様に勝てるなんて奇跡よ!!」
妹のパンジーに悪気はない。この子は継母の連れ子。父親が誰かはわからない。
でも、父はそれでいいと思っていた。
母は早くに病死してしまったし、今ここに愛があれば、パンジーの出自は問わないと。
同等の教育、平等の愛。私たちは、血は繋がらずとも、まあ悪くない姉妹だった。
この日までは。
「すまないね、ラモーナ。僕はパンジーを愛してしまったんだ」
婚約者ジェフリーに棄てられた。
父はパンジーの結婚を許した。但し、心を凍らせて。
「どういう事だい!? なぜ持参金が出ないんだよ!!」
「その子はお父様の実子ではないと、あなたも承知の上でしょう?」
「なんて無礼なんだ! 君たち親子は破滅だ!!」
2ヶ月後、私は王立図書館でひとりの男性と出会った。
王様より科学の研究を任された侯爵令息シオドリック・ダッシュウッド博士。
「ラモーナ・スコールズ。私の妻になってほしい」
運命の恋だった。
=================================
(他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)
腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる