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(オリヤン視点)
新しく迎えた妻アデラーイデはマーリンより若く美しい。やはり女は若いのに限る。幸い女しか産めないマーリンだったから捨てるのも簡単だった。
アデラーイデは可愛くて従順なところがいい。少々、金遣いは荒いがそんなことでわたしの愛が揺らぐことはない。しかし、アデラーイデが産んだ子供も女だった。はじめはがっかりしたが、マーリンの時のように腹が立つことはなかった。
(やはり愛の力は偉大だ。どんなことも許せる自分の愛の大きさに感動だ)
しかし不幸は突然訪れた。思いがけぬ馬車同士の衝突事故。腰から下がまったく機能しない。医者はもう二度と歩くことはできない、と言った。
下半身が包帯だらけの私は寝室のベッドに横たわり、その傍らには涙にむせぶ可愛いアデラーイデがいる。
「こんな酷い話があるか? それでもアデラーイデがいてくれて良かったよ。君が支えてくれて可愛い娘もいるからわたしは幸せさ」
アデラーイデは優しい妻だから、わたしをそっと抱きしめて頬にキスを落としてくれた。
「旦那様、私はこれから病や怪我を治す神を祀った神殿に祈りに行きます。この子と一緒に旦那様の回復を祈りに行けば、奇跡が起こるかもしれません」
「奇跡! 確かに。しかし、わたしの為にそこまでしてくれるなんて、やはりアデラーイデは素晴らしい妻だ」
「いいえ、当然のことですわ。それで旦那様、神殿に寄付もしなければなりませんし、旅費もかなりかかりますので家令に言ってお金を頂いてもよろしいですか? それから一番上等な馬車を使わせてください」
「あぁ、いいとも。新しく家令に迎えたハミルトンは、若いのによく気が付く若者だな。さすがにアデラーイデが推薦しただけのことはある」
「はい、彼は私の専属執事でしたからいろいろとわかっております。では、旦那様。しばしの間留守にいたしますが、安心していてくださいね。神は常に旦那様の味方ですわ」
「ありがとう! 愛しているよ」
アデラーイデはそれっきり帰ってこなかった。ハミルトンと共にいなくなり、アーネル伯爵家の金がすっかり持ち去られていることに気が付く。だが、アデラーイデの実家は没落しており、文句を言いに行く両親も他界していた。
(捨てられたのか……このわたしがあんな小娘に……)
屋敷のメイドや侍女たちに聞いて回ると、アデラーイデと執事はとても仲睦まじかったという。そういえば、わたしとアデラーイデとの間の娘はわたしに似ていなかった。どちらかと言えば、ハミルトンに似ていたような……あぁ、そういうことなのか? いくら悔しがっても後の祭りだ。
(どうしたらいい? 誰か側にいてくれ。あぁ、マーリンだ。あいつを呼び戻せばいい。どうせ、実家のローセンブラード男爵家で肩身の狭い思いをしてるに違いない)
だが、ローセンブラード男爵家に行くと、喜ぶどころか浮かない顔でわたしを迎えた。後から弟バートがやって来て、甥達が言ったたわごとを聞きやっとその理由がわかる。つまり、マーリンは3人の子持ち女でありながら、バートと恋愛を楽しんでいたのだ。なんてふしだらな女だ! 3人の娘がいるのだぞ。女でいる時間は終わったのに、いつまでも女という部分を追い求めようとする浅ましさに腹が立つ。
(女は子供を産んだら、子育てをしていい母親になることだけを考えて生きていればいいんだよ!)
新しく迎えた妻アデラーイデはマーリンより若く美しい。やはり女は若いのに限る。幸い女しか産めないマーリンだったから捨てるのも簡単だった。
アデラーイデは可愛くて従順なところがいい。少々、金遣いは荒いがそんなことでわたしの愛が揺らぐことはない。しかし、アデラーイデが産んだ子供も女だった。はじめはがっかりしたが、マーリンの時のように腹が立つことはなかった。
(やはり愛の力は偉大だ。どんなことも許せる自分の愛の大きさに感動だ)
しかし不幸は突然訪れた。思いがけぬ馬車同士の衝突事故。腰から下がまったく機能しない。医者はもう二度と歩くことはできない、と言った。
下半身が包帯だらけの私は寝室のベッドに横たわり、その傍らには涙にむせぶ可愛いアデラーイデがいる。
「こんな酷い話があるか? それでもアデラーイデがいてくれて良かったよ。君が支えてくれて可愛い娘もいるからわたしは幸せさ」
アデラーイデは優しい妻だから、わたしをそっと抱きしめて頬にキスを落としてくれた。
「旦那様、私はこれから病や怪我を治す神を祀った神殿に祈りに行きます。この子と一緒に旦那様の回復を祈りに行けば、奇跡が起こるかもしれません」
「奇跡! 確かに。しかし、わたしの為にそこまでしてくれるなんて、やはりアデラーイデは素晴らしい妻だ」
「いいえ、当然のことですわ。それで旦那様、神殿に寄付もしなければなりませんし、旅費もかなりかかりますので家令に言ってお金を頂いてもよろしいですか? それから一番上等な馬車を使わせてください」
「あぁ、いいとも。新しく家令に迎えたハミルトンは、若いのによく気が付く若者だな。さすがにアデラーイデが推薦しただけのことはある」
「はい、彼は私の専属執事でしたからいろいろとわかっております。では、旦那様。しばしの間留守にいたしますが、安心していてくださいね。神は常に旦那様の味方ですわ」
「ありがとう! 愛しているよ」
アデラーイデはそれっきり帰ってこなかった。ハミルトンと共にいなくなり、アーネル伯爵家の金がすっかり持ち去られていることに気が付く。だが、アデラーイデの実家は没落しており、文句を言いに行く両親も他界していた。
(捨てられたのか……このわたしがあんな小娘に……)
屋敷のメイドや侍女たちに聞いて回ると、アデラーイデと執事はとても仲睦まじかったという。そういえば、わたしとアデラーイデとの間の娘はわたしに似ていなかった。どちらかと言えば、ハミルトンに似ていたような……あぁ、そういうことなのか? いくら悔しがっても後の祭りだ。
(どうしたらいい? 誰か側にいてくれ。あぁ、マーリンだ。あいつを呼び戻せばいい。どうせ、実家のローセンブラード男爵家で肩身の狭い思いをしてるに違いない)
だが、ローセンブラード男爵家に行くと、喜ぶどころか浮かない顔でわたしを迎えた。後から弟バートがやって来て、甥達が言ったたわごとを聞きやっとその理由がわかる。つまり、マーリンは3人の子持ち女でありながら、バートと恋愛を楽しんでいたのだ。なんてふしだらな女だ! 3人の娘がいるのだぞ。女でいる時間は終わったのに、いつまでも女という部分を追い求めようとする浅ましさに腹が立つ。
(女は子供を産んだら、子育てをしていい母親になることだけを考えて生きていればいいんだよ!)
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