(完)悪女の姉から解放された私は・・・・・・(全3話)

青空一夏

文字の大きさ
1 / 3

1 姉は悪女

しおりを挟む
「酷いわ! なぜ私の恋人ばかりを奪うのよ? お姉様には常識というものがないの? 妹の恋人をことごとく奪ってなにが楽しいのよっ!」
私は泣きながら姉を責めた。ここはゴリッパ貴族学園のカフェテリアで、姉の横には昨日まで私の恋人だったハリーがベタベタと寄り添っていた。
「ハリーはこういう人なのよ。諦めなさい」
姉の冷たい声で私は涙が一筋こぼれた。

「ひ、酷い。最低ね!」

酷すぎる・・・・・・姉アクジョーはあまりにも私の恋人を欲しがりすぎる! いったいどんな手で男達を振り向かせているのだろう。きっと破廉恥な手で男性を虜にしているに違いない。

両親亡き今、学生でありながらもダメナノ伯爵家の女当主の姉はやりたい放題でいつも私の幸せを邪魔する悪女だ。大嫌いよ!
私はゴリッパ貴族学園庭園の隅で今日も涙を流す。

「どうしたんだい? このところ元気がないね。僕で力になれることは?」
ルルボン伯爵家の次男デミアン様が私に優しい言葉をかけてくださった。

「ありがとうございます。ですがデミアン様に申しあげることもお恥ずかしい家庭内の問題ですわ・・・・・・」

「いいからこの僕に話してごらん? 人は誰かに話を聞いてもらうだけでも気が晴れることもある」
お優しいデミアン様に私は心がほんのりと温かくなった。

「実は・・・・・・というわけなのです。何人かの男性とお付き合いしてきましたが、3日目には必ず姉のアクジョーに奪われます。まるでそうなることが決まっている運命のように・・・・・・」

「運命ね・・・・・・だったら僕が君の恋人になろう。これは演技でアクジョーの手のうちを君に全部教えてあげるよ。そんな酷い姉から君は解放されなければならない」

「まぁ、姉がどんなことをしかけてくるのか教えてくださるのですね? 解放・・・・・・そうですね・・・・・・お姉様の呪縛から解放されたいです。私は自由になりたいわ!」

「あぁ、応援するよ」
デミアン様はとても素敵な笑顔でそうおっしゃったのだった。

しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

強欲な妹が姉の全てを奪おうと思ったら全てを失った話

桃瀬さら
恋愛
幼い頃、母が言った。 「よく見ていなさい。将来、全て貴方の物になるのよ」 母の言葉は本当だった。姉の周りから人はいなくなり、みんな私に優しくしてくれる。 何不自由ない生活、宝石、ドレスを手に入れた。惨めな姉に残ったのは婚約者だけ。 私は姉の全てを奪いたかった。 それなのに、どうして私はこんな目にあっているの? 姉の全てを奪うつもりが全てを失った妹の話。

妹が処刑さる……あの、あれは全て妹にあげたんです。

MME
恋愛
妹が好きだ。妹が欲しい物はみんなあげる。それであの娘が喜ぶなら何だって。それが婚約者だって。どうして皆が怒っているんだろう。お願いです妹を処刑しないで下さい。あれはあげたんです。私が我慢すればいいのです。

王太子に婚約破棄されていたら「ずるいずるい」という妹が乱入してきました。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 「ずるいですわ、お姉さま!」

【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた

堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」  ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。  どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。  ――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。  ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。  義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。

【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)
恋愛
 一つの密約を交わし聖女になったわたし。  わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。  王太子はわたしの大事な人をー。  わたしは、大事な人の側にいきます。  そして、この国不幸になる事を祈ります。  *わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。  *ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。 ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。

【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。 刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。 可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。 無事完結しました。

愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。

処理中です...