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3 アクジョー視点 / デミアン視点 / エリザベス視点
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ꕤ୭*アクジョー視点
「えっと、本当にルルボン伯爵家の借金を割り増しで買い取ってくださるのですか?」
「えぇ、女に二言はなくてよ」
私はにっこりと笑いながら札束の入ったトランクを見せた。
「ありがたいです! あそこは伯爵家を笠に着てツケで商品を買いまくっちゃぁ、一向に払わないんですよ。そろそろ怖い組織に手数料を半分取られても我慢してお頼みしようとしていたところです」
「まぁ、それはやめたほうがいいわ。そういった組織のお世話になると弱みも同時に握られていいことはひとつもありませんわ! 良ければダメナノ伯爵家を頼ってくださいね。なにかの時には手数料は2割しかとりません! うふふ」
私はさらりと言ってのけ貴族の御用達になっている商会を一通り回った。どこの商会からも借金を抱えているルルボン伯爵家は破産寸前だったようだ。
まぁ、こんなことは妹のエリザベスにデミアンが近づいた時点でほぼわかっていたことだった。妹のエリザベスは少しだけ、いいえ、かなりお花畑な頭の子なのよ。人の話は都合のいいところしか聞かないのは昔からだ。
エリザベスの歴代の恋人達もみんな見た目はイケメン爽やか系だったけれど中身はクズしかいなかった。私は再三、妹には注意をしていた。
「ねぇ、あのハリーは遊び人よ? あなたの他に付き合っている女性がいるって噂だし、素行もよくないわ。お付き合いはやめなさいね」
私も初めはこのように丁寧に注意をしていたものだ。
ところが妹は、
「そんなの、ただの噂ですわ。私には彼が素晴らしい人だってわかりますもの」
と否定する。
仕方ないから私が遠ざけるために近づきお金や身体で気をひいた。と言っても、お金や身体を実際使うわけではなく、それを期待させる美味しい言葉で誘って妹から関心をそらせていただけなのだけれど・・・・・・エリザベスは私が男好きで自分を嫌っていると思い込んでいた。
本当に困った子だわ・・・・・・それでも可愛い妹は守らないとね!
亡きお母様が私におっしゃった言葉を思い出す。
「エリザベスは夢見がちだから姉として守ってあげて」と。
「さぁて、ルルボン伯爵家に突撃ですわ!」
ꕤ୭*デミアン視点
母上がエリザベスからお金がたくさん詰まったトランクを奪って数え始めた。僕はこれだけあれば賭博でもっと増やせるに違いないから借金を返すのはそれからでいいと両親に提案する。
「実にいい考えだな。これを元手にして数百倍に増やしてから借金を返せば良いものな」
父上が即座に同意した。
僕らは楽しく賭博場に行き人生の喜びを味わう。だってこの全身からアドレナリンのでてくるようなワクワク感は一度味わったら絶対やめられない。それがギャンブルの醍醐味なのさ。
だが、どんなに楽しいことにも終焉はやってくる。すっかりお金を使い果たすのに時間はそれほどかからない。僕達はエリザベスの持参金の全てを使い尽くしていた。
そして、いよいよ借金の集金日が来て取り立ての商人達にどう言い訳をしようかと頭を悩ませている。
どうしよう・・・・・・もう300フランベ(1フランベ=1円)しかないよ。
☆彡★彡☆彡
人相の悪い黒装束の男達がルルボン伯爵家に押し寄せ、その中央にはなぜかエリザベスの姉が腕組みをして僕を睨んでいた。
「え? なんでここにいるんですか? あっはは、妹のエリザベスならちょっと風邪をひいていまして・・・・・・」
「風邪なんて妹がひくはずがないでしょう。身体だけは元気な子よ?」
「えっと、ちょっとここには今いなくて・・・・・・」
「まさか身重の妹をメイド扱いしてお使いに出しているとか?」
「ひっ、してません、してません!」
「あんた達の考えることなんてお見通しよ。でもね、借金はすべてダメナノ伯爵家が買い取ったわよ。これがなにを意味するかわかる? あなた達は一生エリザベスの奴隷よ。妹をないがしろにしたらわかっているわよねぇ~~?」
ドスの入った声はまるでマフィアの親分かってぐらい怖かった。
「総額5億フランベの借金よ! 妹を少しでも泣かせたら即刻その身体で払ってもらうわよ。うんと辛い強制労働場にぶち込まれたくなければ妹を宝物のように扱いなさい。」
僕と両親はうなづくしかなかった。監視役の侍女5人はゴリラ並みの体型でルルボン伯爵家に居着いたのだった。
ꕤ୭*エリザベス視点
デミアン様が私の肩を揉み、身体は大丈夫かと聞いてくる。私はとても大事にされている。「なぜ、急にこのように優しくなったの?」
「うん? これが本来の僕だよ。今まで誤解をさせたのならごめんね。二度と悲しませないから」
デミアン様が震える声で私に囁いたが目線が傍らの大柄な侍女達に注がれている。
私はお姉様がここに来たことを知っているし会話の内容も知っている。だって侍女達にお姉様は手紙を渡していたのだもの。そこには私宛のメッセージが書かれていたわ。
おバカなエリザベスちゃんへ
ルルボン伯爵家は破産寸前でデミアンとその両親は博打好きよ。あなたのお金だけが目当てだったけれどすぐにその大金も使い果たす愚か者。莫大なルルボン伯爵家の借金はダメナノ伯爵家が買い取りました。デミアンとその両親は二度とエリザベスに頭が上がらないでしょう。とても優しく愛しているふりをするはずです。さぁ、お金の為にどれだけ人間が演技できるかその目で確かめたら戻っていらっしゃい!
だから私はお腹の子どもと詐欺師の生態を研究中なのだ。このお姉様からの課題をこなしたらお姉様には心から謝るつもりだ。
完
「えっと、本当にルルボン伯爵家の借金を割り増しで買い取ってくださるのですか?」
「えぇ、女に二言はなくてよ」
私はにっこりと笑いながら札束の入ったトランクを見せた。
「ありがたいです! あそこは伯爵家を笠に着てツケで商品を買いまくっちゃぁ、一向に払わないんですよ。そろそろ怖い組織に手数料を半分取られても我慢してお頼みしようとしていたところです」
「まぁ、それはやめたほうがいいわ。そういった組織のお世話になると弱みも同時に握られていいことはひとつもありませんわ! 良ければダメナノ伯爵家を頼ってくださいね。なにかの時には手数料は2割しかとりません! うふふ」
私はさらりと言ってのけ貴族の御用達になっている商会を一通り回った。どこの商会からも借金を抱えているルルボン伯爵家は破産寸前だったようだ。
まぁ、こんなことは妹のエリザベスにデミアンが近づいた時点でほぼわかっていたことだった。妹のエリザベスは少しだけ、いいえ、かなりお花畑な頭の子なのよ。人の話は都合のいいところしか聞かないのは昔からだ。
エリザベスの歴代の恋人達もみんな見た目はイケメン爽やか系だったけれど中身はクズしかいなかった。私は再三、妹には注意をしていた。
「ねぇ、あのハリーは遊び人よ? あなたの他に付き合っている女性がいるって噂だし、素行もよくないわ。お付き合いはやめなさいね」
私も初めはこのように丁寧に注意をしていたものだ。
ところが妹は、
「そんなの、ただの噂ですわ。私には彼が素晴らしい人だってわかりますもの」
と否定する。
仕方ないから私が遠ざけるために近づきお金や身体で気をひいた。と言っても、お金や身体を実際使うわけではなく、それを期待させる美味しい言葉で誘って妹から関心をそらせていただけなのだけれど・・・・・・エリザベスは私が男好きで自分を嫌っていると思い込んでいた。
本当に困った子だわ・・・・・・それでも可愛い妹は守らないとね!
亡きお母様が私におっしゃった言葉を思い出す。
「エリザベスは夢見がちだから姉として守ってあげて」と。
「さぁて、ルルボン伯爵家に突撃ですわ!」
ꕤ୭*デミアン視点
母上がエリザベスからお金がたくさん詰まったトランクを奪って数え始めた。僕はこれだけあれば賭博でもっと増やせるに違いないから借金を返すのはそれからでいいと両親に提案する。
「実にいい考えだな。これを元手にして数百倍に増やしてから借金を返せば良いものな」
父上が即座に同意した。
僕らは楽しく賭博場に行き人生の喜びを味わう。だってこの全身からアドレナリンのでてくるようなワクワク感は一度味わったら絶対やめられない。それがギャンブルの醍醐味なのさ。
だが、どんなに楽しいことにも終焉はやってくる。すっかりお金を使い果たすのに時間はそれほどかからない。僕達はエリザベスの持参金の全てを使い尽くしていた。
そして、いよいよ借金の集金日が来て取り立ての商人達にどう言い訳をしようかと頭を悩ませている。
どうしよう・・・・・・もう300フランベ(1フランベ=1円)しかないよ。
☆彡★彡☆彡
人相の悪い黒装束の男達がルルボン伯爵家に押し寄せ、その中央にはなぜかエリザベスの姉が腕組みをして僕を睨んでいた。
「え? なんでここにいるんですか? あっはは、妹のエリザベスならちょっと風邪をひいていまして・・・・・・」
「風邪なんて妹がひくはずがないでしょう。身体だけは元気な子よ?」
「えっと、ちょっとここには今いなくて・・・・・・」
「まさか身重の妹をメイド扱いしてお使いに出しているとか?」
「ひっ、してません、してません!」
「あんた達の考えることなんてお見通しよ。でもね、借金はすべてダメナノ伯爵家が買い取ったわよ。これがなにを意味するかわかる? あなた達は一生エリザベスの奴隷よ。妹をないがしろにしたらわかっているわよねぇ~~?」
ドスの入った声はまるでマフィアの親分かってぐらい怖かった。
「総額5億フランベの借金よ! 妹を少しでも泣かせたら即刻その身体で払ってもらうわよ。うんと辛い強制労働場にぶち込まれたくなければ妹を宝物のように扱いなさい。」
僕と両親はうなづくしかなかった。監視役の侍女5人はゴリラ並みの体型でルルボン伯爵家に居着いたのだった。
ꕤ୭*エリザベス視点
デミアン様が私の肩を揉み、身体は大丈夫かと聞いてくる。私はとても大事にされている。「なぜ、急にこのように優しくなったの?」
「うん? これが本来の僕だよ。今まで誤解をさせたのならごめんね。二度と悲しませないから」
デミアン様が震える声で私に囁いたが目線が傍らの大柄な侍女達に注がれている。
私はお姉様がここに来たことを知っているし会話の内容も知っている。だって侍女達にお姉様は手紙を渡していたのだもの。そこには私宛のメッセージが書かれていたわ。
おバカなエリザベスちゃんへ
ルルボン伯爵家は破産寸前でデミアンとその両親は博打好きよ。あなたのお金だけが目当てだったけれどすぐにその大金も使い果たす愚か者。莫大なルルボン伯爵家の借金はダメナノ伯爵家が買い取りました。デミアンとその両親は二度とエリザベスに頭が上がらないでしょう。とても優しく愛しているふりをするはずです。さぁ、お金の為にどれだけ人間が演技できるかその目で確かめたら戻っていらっしゃい!
だから私はお腹の子どもと詐欺師の生態を研究中なのだ。このお姉様からの課題をこなしたらお姉様には心から謝るつもりだ。
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🌟 🌟
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∧ ∧
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‹‹\(*´꒳`* )/››‹‹\( 🌃*)/››‹‹\( *´꒳`*)/››
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