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姉編

6ー1 結婚式 (カリスタ王女視点)

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「愛しいカリスタ。今日は貴女の妹のクリスティンも、母上も父上も来るからね。安心してほしい。私は愛する女性の願いぐらいは全て叶える」

 私はケンドル様からその朝言われて、狐につままれる思いだ。あのイグナ王と妹が私の結婚式に出席するなど、ありえない。だって・・・・・・クリスティンは生きていないかもしれないのに・・・・・・

 クリスティンは確かに愚かで私を排除したがっていたことは知っている。それでも、かわいいと思う。あの子はただ愚かなだけで、緻密に策略を巡らし計算し尽くされた罠に誘い込む強敵とは違う。

 ただ愚かなヤキモチと嫉妬。しかし、それも命取りになることがある。今回はきっと身にしみたはずだ。これからは、私も甘やかさない。クリスティンをもう少し、しっかりさせる。・・・・・・生きていれば・・・・・・の話だけれど・・・・・・


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


 私は、用意されたウェディングドレスをまとう。それは、私の身体にあつらえたかのようにぴったりだ。

「ねぇ、これは私の身体のサイズだわ。クリスティン用ではないわね?」

 私は傍らに仕えている侍女に尋ねた。

「そ、そうでございます。アリシア王妃様はカリスタ王女様こそ、生かそうとなさいました」

「つまりは、こうなることを見越していたと言うの?」

 侍女達が肯定の意味も含めて、一斉にひざまずく。なんてこと・・・・・・お母様は、どれほどの苦渋の選択だったことか・・・・・・

 この世は残酷だわ。力がないアーメッド王国は、私達王女をこのようにして嫁がせることしかできない。

 私は・・・・・・私の子供にはそんな思いはさせたくない・・・・・・

「カリスタ! そんなことは少しも心配しなくていい」

 ケンドル様がいつのまにか横にいて、にこにこしている。この方は、いきなり現れて消えて。消えてはまた現れる。私は、ケンドル様が怖い・・・・・・人間のはずなのに弱点がない・・・・・・

 それに、私の心がまるで読めるよう・・・・・・


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


 全て結婚式の支度が調ったところで、続々と各国の王族達が到着した。


「アーメッド王国の国王陛下とその妃殿下のお着きいぃーー」

 コーナー辺境伯家の侍従が声を張り上げた。

 まずは、私のお母様とお父様がご到着なさったのね。




「カリスタ! 今日ほど嬉しい日はないわ。おめでとう。まぁ、ウェディングドレスがぴったり。とても、よく似合っているわ」

「おぉーー、まさに、アーメッド王国が誇る第1王女だ。実は、カエル・・・・・・い、痛い。アリシア、なんで蹴るのだ?」

「おほほほ。お父様の言葉は気にしなくていいのよ、カリスタ! あぁ、本当に綺麗だわぁ」

 お母様達は通常運転。相変わらず、お父様は意味不明だし・・・・・・




「エメラルド王国のイグナ国王陛下と妃殿下のお着きいぃーーー」

 その声に私とお母様は振り返った。
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