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ライアン・エイゼルが帰郷する
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私は、ルドレア女侯爵の怒りをかって、エイゼル家を追い出された。そして、追い出された先は辺境地だった。
北の辺境地は、極寒でそこに住むだけでも辛かった。
「畜生ぉーー! なんで、私が、こんな目にあうんだ? おかしいじゃないかっ! 俺は悪くないのに・・・・・・」
そう思いながら、警備にあたる。先輩にどやされて、時には理不尽な扱いを受けて殴られた。おまけに、食事は驚くほど質素だった。パンと野菜のスープ。肉なんか食べられない。寒さに凍えて、空を見上げるとそこだけが、満点の星が輝き、夢のように美しいのだった。
少しでも、サボるとそこでは命はない。先住民や、隣国のならず者が絶えず国境を越えようとする。それを、追い返しては、次の襲撃に向けて戦いに備える日々だった。
先輩や同期が、死んでいくのもたくさん見た。ここでは、生と死は隣り合わせだった。私は、いつしか、文句を言う暇があったら手を動かすようになっていた。剣や小刀を研いだり、竹でできたスローイングナイフに痺れ薬を塗ったり。
これをすると、2倍の敵が倒せた。少しでも傷を追わせれば、相手は毒によって痺れて本来の動きができなくなる。効率もよく、その部隊では隊長までに上り詰めていた。ただ、がむしゃらに働いた3年だった。
「おい、ライアン・エイゼルはお前か? 任期の3年は終わった。どこへでも、好きなところに行け」
上司から、そう言われた時には、正直、夢かと思った。ここで、自分は一生を終えるのだろうと思っていたからだ。故郷に居場所があるとは思わないけれど、母に会って親不孝を詫びたかった。ジョセフィーヌにも、できれば会って謝りたい。
「今さらですが、ルドレア女侯爵にお会いできるものなら、お詫びがしたいのです。母にも親不孝なことをしたとわ謝りたい」
上司は翌日、許可がおりたと言ってくれた。
「エラ・フレークもルドレア女侯爵と会うそうだ。同じ日に来るようにとのことだ。なお、フレーク男爵夫妻は亡くなっている。フレーク男爵はジョセフィーヌ様の母上に媚薬を盛り暴行し、挙げ句は殺害したそうだ。死の直前に吐いたそうだ。鬼畜な男め! 死んで当然だな。 あぁ。ついでに言えば、そのエラっていうのは今は高級娼婦だとよ。娼婦ってだけでも最悪なのに、殺人者の娘だっていうんだから、このエラって子は一生、娼婦でいるしかねぇだろうなぁーー。気の毒なこった。まぁ、お前はこれ以上、関わらんほうがいいぞ!今のお前なら高位貴族の私兵ぐらいにはなれるだろうからな。がんばれよ」
私の上司は、ニヤリと笑った。そして、さらに私にこう言ったのだった。
「これからが、お前の本当の人生だ!」
北の辺境地は、極寒でそこに住むだけでも辛かった。
「畜生ぉーー! なんで、私が、こんな目にあうんだ? おかしいじゃないかっ! 俺は悪くないのに・・・・・・」
そう思いながら、警備にあたる。先輩にどやされて、時には理不尽な扱いを受けて殴られた。おまけに、食事は驚くほど質素だった。パンと野菜のスープ。肉なんか食べられない。寒さに凍えて、空を見上げるとそこだけが、満点の星が輝き、夢のように美しいのだった。
少しでも、サボるとそこでは命はない。先住民や、隣国のならず者が絶えず国境を越えようとする。それを、追い返しては、次の襲撃に向けて戦いに備える日々だった。
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「おい、ライアン・エイゼルはお前か? 任期の3年は終わった。どこへでも、好きなところに行け」
上司から、そう言われた時には、正直、夢かと思った。ここで、自分は一生を終えるのだろうと思っていたからだ。故郷に居場所があるとは思わないけれど、母に会って親不孝を詫びたかった。ジョセフィーヌにも、できれば会って謝りたい。
「今さらですが、ルドレア女侯爵にお会いできるものなら、お詫びがしたいのです。母にも親不孝なことをしたとわ謝りたい」
上司は翌日、許可がおりたと言ってくれた。
「エラ・フレークもルドレア女侯爵と会うそうだ。同じ日に来るようにとのことだ。なお、フレーク男爵夫妻は亡くなっている。フレーク男爵はジョセフィーヌ様の母上に媚薬を盛り暴行し、挙げ句は殺害したそうだ。死の直前に吐いたそうだ。鬼畜な男め! 死んで当然だな。 あぁ。ついでに言えば、そのエラっていうのは今は高級娼婦だとよ。娼婦ってだけでも最悪なのに、殺人者の娘だっていうんだから、このエラって子は一生、娼婦でいるしかねぇだろうなぁーー。気の毒なこった。まぁ、お前はこれ以上、関わらんほうがいいぞ!今のお前なら高位貴族の私兵ぐらいにはなれるだろうからな。がんばれよ」
私の上司は、ニヤリと笑った。そして、さらに私にこう言ったのだった。
「これからが、お前の本当の人生だ!」
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